「パターン、Wiki,XP~時を超えた創造の原則~」を読みました
今回は読書感想記事です。
もう絶版みたいで、マーケットプレイスからの購入です。
なぜこの本を読んだのか?
もともと、社内で「どうしたら暗黙知を形式知に変えられるだろうか・・・」ということを考えていました。
そこでFacebookで聞いてみました。
すると・・・
ということで川口さんのオススメを受けて読んでみました。
アレクザンダー氏の足跡
全体の構成としては「パタン・ランゲージ」でおなじみアレクザンダー氏の思想とパターンの歴史からその影響で生まれたWikiWikiWeb(Wiki)やeXtreamPrograming(以後、XP)の成り立ちなどに触れています。
建築設計の考え方としてスタートした"パターンランゲージ"ですが、ベック氏、カニンガム氏によってソフトウェア設計やWebサイトの世界に応用され、それが現在のAgile開発、Wikiといった形で浸透している背景を学ぶのは、歴史書を読んでいるような感覚で読み進めることができました。
建築の世界における影響
建築の世界では「オレゴン大学の実験」で提唱した「6つの原理」で"都市はツリー構造ではない"から始まる"無名の質"を都市や建築において体現することがアレクザンダー氏の目指すところでした。
この6つの原理の内の1つである「パターンの原理」によって、"パターンランゲージ"と呼ばれる一連の法則で生まれた建築を目指し、それを「漸進的成長の原理」と「診断の原理」、「調整の原理」で常に変化、成長させていくという考えは現代のAgileにおける考え方の礎になっているような気がします。
ソフトウェア開発における影響
ソフトウェア開発においてはパターンランゲージを元に「デザインパターン」が提唱されたことから始まりです。そこからCSM研修でおなじみコプリエン氏などを中心にプロセス全体を対象にした「プロセスパターン」が生まれ、それが後にXPの誕生へ繋がります。
XPはアレグザンダー氏の思想を深く理解し、ソフトウェア開発に適用しています。具体的には「有機的秩序の原理」を元に"ストーリーを少しずつ実現することでシステム全体を作っていく"という考えが生まれていたり、「テストファーストプログラミング」は「調整の原理」から着想を得ていたりします。
XPは効果的な広報活動も幸いし、現在でも高い知名度を誇っています。
Wikiにおける影響
Wikiの設計もまた、「有機的秩序の原理」を元に少しずつ形作られていくものです。このコンテンツが少しずつ形成されることに加え、「コミュニケーションパターン」として「パターンの原理」を体現しています。
さらには「観察可能の原理」を元に参加者が相互編集できたり、それを即座に確認できる状態が実現され、「収束の原理」に従い、徐々に情報が整理されていきます。
日常に取り込む
では、私が今回の学びをどう生かすか。まず思ったのは「暗黙知を"どうやって"形式知にするのか」というピンポイントな手法よりもっと大きな、"知を持続可能な形で束ねて、みんなの目を持って観察し、徐々に収束していく文化"をどう作るかというよりマクロな視点で考えること。
これによって一過性のシステムを構築するのではなく、持続可能な文化を形成するということにつながり、誰か一人の努力に依存するのではなく、文化として根付かせることができるのでは?と感じました。
では、改めて、この本に興味を持った方は是非とも手に取ってみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4774138975/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_HNOkDbKEJDP86