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QUALITY & SAFETY RESOURCES Work Group on the Implementation of TG-100 - Failure Modes and Effects Analysis (FMEA)を見て

※ 「TG-100を読んでみたきっかけ」は、「TG-100を読んで 総目次」をご参照してみてください。(*- -)(*_ _)ペコリ

はじめに

Medical Physics for World Benefit(MPWB)さんの「リスクベースの品質管理(AAPM TG-100の概要)」(Youtubeの再生画面下部の歯車マーク(設定)→字幕→自動翻訳(英語から日本語)」で日本語の字幕で表示され、英語で見るよりも理解しやすいかなと思います。)というWEB講演を見て「これは論文よりも敷居が低く、私にも参考になる」と思いました。

そこで、AAPMの「QUALITY & SAFETY RESOURCES…」のHPのプロセスマッピング、FMEA、FTA、QMプログラムの作成、のうち、Failure Modes and Effects Analysis (FMEA) から読んでみたいと思います。

※ 参考として、「放射線治療における品質マネジメント(提言2) 別添 リスクマネジメントの実施例」にも「リスクマネジメントの実施例 」としてFMEAの解析方法が掲載されています。

なお、私は英語原文の日本語訳(ChatGPT or DeepL)で読んで(ビデオを見て)おります。慎重に読んでますが間違があるかもしれませんので、その点はご容赦願います(m(__)m)。

要約

  • FMEA(Failure Modes and Effects Analysis)は、リスク評価ツールで、プロセスの弱点や欠陥を特定するために使用されます。

  • 故障モードは、プロセスステップが所望の結果を生み出さない方法を指します。

  • FMEAの目的は、プロセスの弱点を特定し、それらの失敗モードがどのように生じ、どのように患者に影響を与えるかについての質問をすることです。

  • クリニックでの分析はプロセスマップから始まり、各ステップの故障モードを考え、評価します。

  • FMEAを始めるためのヒントには、異なる部門からの代表者を含む多様なチームを結成すること、簡単なプロセスから始めて分析すること、そして可能な限り多くの故障モードを考えることが含まれます。

  • 各故障モードは、それが存在する可能性(発生)、その効果の重症度(重症度)、及びその失敗がエラーを防ぐために時間内に検出されない可能性(検出可能性)という3つのパラメータを用いて評価されます。

  • 異なるグループが異なるFMEAを作成することは可能で、それぞれのリスク評価が注意が必要なプロセスの部分や失敗経路を強調します。

感想

Failure Modes and Effects Analysis(FMEA)

「FMEAとは何ですか?」 「故障モードとは何ですか?」 「FMEAの目的は何ですか?」 「私のクリニックでこの分析をどのように行いますか?」(1ページ)

‐ FEMAとは、プロセスの弱点や欠陥を特定するためのリスク評価ツール
‐ 故障モードとは、何かが間違った方向に進む可能性のある方法
‐ FMEAの目的は、プロセスの弱点を特定すること
ということなんですね。

FMEAの具体的な例が示されています。
プロセスステップは「画像を計画システムデータベースにインポートする」です。
表の作成。列は、「潜在的な故障モード」「潜在的な原因」「潜在的な影響」。
「潜在的な故障モード」を考える際、「なぜこの失敗モードが最終的に発生したのか?」について想像力を働かせるということですね。
この例では「潜在的な故障モード」の行は、「間違った患者の画像をインポート」「間違った画像(たとえば、4Dの間違ったフェーズや間違ったMRシーケンス)をインポート」「破損したデータをインポート」

「次に、それぞれの失敗の潜在的な原因を記録しましょう。一般的な原因のリストには、人間のエラータイプ(注意散漫や注意不足)、ソフトウェアとハードウェアのエラー、誤解、不十分な訓練やスキルが含まれます。これは考えを始めるための一部です。」

私の経験からもだいたい人間が間違えるということが圧倒的に多いですよね。

この例では「潜在的な原因」に対する行は、「単に間違った患者を手動で選択したため」「適切な画像を取得するための不十分な訓練、またはチーム内でどの画像が適切かについての誤解」「ソフトウェアエラー」となります。

「潜在的な影響」を考えるに当たり、「この失敗が患者にどのような影響を及ぼすか?」について想像力を働かせます。
この例では「潜在的な影響」に対する行は、「間違った線量分布や間違ったターゲットボリュームになる」「間違った線量分布や間違ったターゲットボリュームになる」「患者の画像の喪失/間違った線量分布や間違ったターゲットボリューム」です。

「それでは、我々が記録した情報を考慮して、各故障モードをスコアリングします。… 最初のパラメータ、発生またはOは、特定の故障モードの特定の原因が存在する可能性を表します。… 重症度またはSは、失敗が検出されずに修正されない場合の最終結果に対する影響の重症度を表します。「この失敗が患者に到達すれば、その影響はどの程度深刻か?」と自問します。… 検出可能性またはDは、エラーを防ぐために失敗が時間内に検出されない可能性を表します。」

TG-100に記載されているのは10段階で、値の小さいほうが個々のリスクが小さいということです。

「各故障モードに対して、RPN(Risk Priority Number)を算出します。これは発生、重症度、検出可能性のスコアを掛け合わせたもので、最大値は1000です。RPNは、どの故障モードに優先的に対処すべきかを判断するのに役立ちます。より高いRPNは、より高いリスクを示しています。そのため、RPNが高い故障モードについては、リスクを軽減するためのアクションプランを考え、実施する必要があります。」

これがFMEAの最終目標ですね。ランク付けされて誰が見ても見やすいですね。RPNの算出方法は、”O × S × D” です。

参考例に従い、表を作ってみました。

プロセスステップからRPN算出までの例

まとめ

私が理解して範囲でなんですけど、FEMAとは、
1.想像力を働かせて失敗する事柄(故障モード)を書き、原因と影響を洗い出し、具体的な数値で評価する
2.多様なチームで議論する
ということかなと思います。
うちの病院でこれを実行するのはなかなかハードルは高いけど、できるとこからやって行くべきだと思います。

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July 17, 2023

#学問への愛を語ろう #医学物理がすき

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