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「成長と挑戦の方向性」に振り回されたホロライブReGLOSS

前回ホロライブの新グループ、リグロスに関して「しばらく遠巻きに見守る」なんて記事にしたものの、実は暫くこのユニットに関して「集中して配信を視聴しよう」という気力がなぜか一向に湧いてこなかった。

収益化が決まった時点でそろそろ記事にしたいなと考えてはいたが、評価のために配信をみるのも違うな、と思ってなんとなく先延ばしに先延ばしを続けていた。

今回はその理由について、自分の主観的判断に基づいた心情を述べていきたいと思う。

したがってホロライブ云々というより、とあるユーザーの推し活に対する心情やリグロスへの印象の変化について率直なイメージだけで構成している。

客観的なデータや数字は心象のノイズになると考え、あえてなにも調べていないので、曖昧な表現が多くなるのは許して欲しい。


ホロライブじゃないなら後回しでいいや感

さて、リグロスはファンの一部から暫く「方向性が見えない」と言うことで、デビュー当時からアレコレ騒がれていた。

そのあたりは改めて説明はしないが、なんやかんや言われた結果、公式からリグロスは新しい「成長と挑戦」をするタレントグループであるという声明が出されることに。

「hololive DEV_ISは従来のVTuber活動に加え、何か一つの内容に特化した新たな"挑戦"をユニット単位で行い、皆様と共に"成長"していくことをテーマにしたグループとなっています。」

カバー株式会社 公式noteより


それでも「挑戦と成長」という曖昧なメッセージから、いったい何をどう挑戦するのか分かりにくい、応援しにくい、という声が多くのホロリスの間から聞かれ続けていた。

試行錯誤の末、あれやこれやで稟議を揉んだ結果、10月31日のカバー公式noteから「挑戦」とは「歌やダンス」です。

ですので「これから頑張るので皆さん成長を見守ってください」との万人に受け入れてもらえるようなメッセージが加えられた。

ReGLOSSがこれから”挑戦”していき、またその過程で”成長”を見せていく内容は「歌とダンス」です。

上記noteより引用


うーん、それって体のいい逃げ口上じゃないか?

第一印象に付いての所感はすでに前回記事にしたが、歌やダンスは他のメンバーも注力しているので、特段なにか変わった印象はない。

運営のアプローチは従前と変わらず。


曲に力を入れるのは結構だけれども、これなら従来のホロファンは「今のとこリグロスは後回しでいいや」と思ってしまう。

だって既にリグロスよりもハイパフォーマンスで愉快なエンタメを見せてくれる先輩方がいるのだから。

ひょっとしたら「成長」というワードから運営は「成り上がりの物語」を想定していたのかもしれない。

ReGLOSSのメンバーたちが集まるライブハウス「超VeryBad」(通称『ちょべりば』)。
かつては連日のようにライブが開かれ、賑わっていた痕跡を端々に感じられるが、踏み入れた当時は埃を被っているような状態だった。

ホロライブ公式HPより https://hololive.hololivepro.com/special/9491/

第一印象からリグロスには「ぼっち・ざ・ろっく」っぽい雰囲気を感じたが、そもそもデビュー時に強烈なホロライブーストを受けているのだから、そもそもクランクインからストーリーが成立していない。(貧乏エピソードとかあったらまだ良かったけど、まぁ嘘くさくなるよね…)

その「成り上がり物語」の末にVtuber界のトップに君臨しているのが今のホロメンの中心メンバーなのだから、思い入れの強い今までのファンからの優先順位はどうしても後回しになる。

具体的なデータはないけれども、デビュー配信以降の盛り上がりの反応を見る限り、そんな空気が数字として表われてしまったのではないか、と思っている。

「方向性」に振り回されたファンが本当に知りたかったこと


多くのホロリスが「方向性を示して欲しい」ぼかかした言い方をしているが、本当に知りたいことは何なのか、この場でハッキリしておきたい。


それは「お酒をのみまーす」、「タバコも吸いまーす」の次に「男と絡みまーす」があるかどうか、その一点だけだ。


ほんとこれだけ。

ユニットを分けたので「男女混合路線」の余地が透けた。

だから「どっちに行くのかハッキリしろ」としつこく迫られている。

これが答えだ。

断っておくが、自分はホロライブ特有の「世界観」(ホロライブのブランド)を壊さなければ、男女コラボでも何でも別に構わないと考えている。

許容範囲の大小はあるだろうが、おそらく多くのホロリスの人もそう考えているんじゃないだろうか。


世界観についての魅力はこちらの方が論じているので個人の参考までに。
この辺の考察はまた別の機会にまとめたい。

リグロスの問題はキャラ付けRPや方向性も不明瞭で、世界観が発展途上で未成熟なままであったがゆえに、みんなが7期生として接した方がいいのか、定まっていなかったことにあった。

そう考えるとコラボ解禁は早急だったとしか言い様がない。

とはいえ、運営も手札のカードは多く残しておきたいし、新グループで「挑戦と成長」と祭り上げた手前「数字減ったから男NGにします」はさすがに言えない。

だからあのように何とでも取れるような曖昧なメッセージを出したのだろうと思っている。

プランA(男女混合)がコケたらプランB(準七期生路線)に移行するよ、でもプランB(後輩ムーブ)で数字が伸びたら今度はプランA(男女混合)に引っ越すよ、だってファンタジーやアイドルじゃなくてアーティストなら画面に実写の若い男性が映っても問題ないからね。

実際、こんなやり取りが行われていたかは推測でしかないが、おそらくどちらにも舵が切れるような余地を残したかったんじゃないか?

コンセプトを決め打ちしすぎたせいでデビュー配信がピークに終わった、holoXの失敗は繰り返さない、という運営からの強い決意も感じられる。

体のいい逃げ口上といったが、あの曖昧模糊な発表からはそんな運営の苦悩のような、会議を重ねたせめぎ合いの跡も透けてみえた。

リグロスを様子見してた理由

ただ、そんな自分もついにリグロスの配信に興味をもつきっかけがあった。

始めはぺこらとのアソビ大全での初コラボである。

以前リグロスについては「アニメを三話切りするか迷うオタクの心境」と述べたとおり、デビュー配信や切り抜きなどでちょっとだけ見た程度で、正直なところあまり刺さってこなかった。

ぶっちゃけた話、新人特有の不自然なキャラ造りに違和感があって視聴に耐えられなかったのも理由にある。(特に火威青

喩えるならバラエティ番組に呼ばれた新人アイドルグループが気合いを入れて自己紹介のフレーズをぶっ込むも、盛大に空回りして大御所の司会に苦笑いされる、アレである。

まぁこれは新人あるあるなので、自分はそれで評価を下げたりはしないが、緊張しまくっていたReGLOSSメンバーがホロライブの王にフルボッコにされてフォローされる様子をみて、なんだが「応援」するというよりも「同情」してしまったのでなんとなく距離をとっていたのだ。

オフコラボで空気感がみえてきた

そんなこんなもあってリグロスの初見イメージはさほど印象に残るものではなかったが、ホロメンとのコラボした繋がりもあって、せっかくなので関連の切り抜きをいくつか見てみることにした。

未視聴のスピンオフ作品のキャラが本編の重要シーンに絡んできたから、スピンオフを遡って消費する、あの現象である。

所感としては、それこそ最初のころはガチガチに固かったものの、メンバー同士のオフコラボを重ねてるうちに、自然体になれる時間がとれたのか、当初の不自然なキャラ設定がいい感じに解れていったように思えた。

例えば初期のらでんは高い声でまくし立てているのものの、明らかに台本を読んでいるのがバレバレだった。

それがグループと一緒にいる時間が増えるにしたがって、緊張が和らいだのか、少しずつ仮面の裏の素顔が見えた気がした。

ほかにもクールが売りだった青はカメムシの一件でメンバーの中でも一番女っぽいところがみえたのが面白い発見だった。

前評判が芳しくなかったみたいだが、ギャップ萌えにくすぐられる人も増えるかもしれない。

多くは語らない

ある程度方向性が固まって、肩の力を抜いて初期設定に縛られずにホロメンもリスナーも扱い方が分かってきたのか、お互い踏み込める距離感のつかみ方を覚えてからキャラが化けた気がする。

ラミィがデビュー当初は清楚キャラだったのが、いつの間にか「○○してもろて~」な酒豪キャラに化けて、結果的に案件にまで繋がったパターンに似ている。

デバイスの明日はどっちだ

リグロスに関して言えば「ぼっち・ざ・ろっく」の楽屋裏的な空気感が維持できれば、多くのホロリスから受け入れられると思っている。

本人にその気があれば、何らかの「成長の物語」の一つとして楽器をやらせてみるのもよい手かもしれない。

ギターもベースもスカート衣装との3Dライブでの相性は悪いが、彼女らにはそのハンデがないというメリットもあるからだ。

公式HPにあるライブハウス「超VeryBad」(通称『ちょべりば』)

やり方次第で新しい道が花開くかもしれない。

もっとも安定した結果を出したいなら、アイドル路線の準7期生として先輩の持ち上げ役に徹して、バックダンサーやってた方がいいし、デバイスのメンバーも数打ちゃ当たるでガンガン増やしていった方がいい。

現にAKB48はそれで成功した。

ただ「挑戦と成長」と銘打って新規開拓を目指すなら、デバイスは覚悟を決めてあえて茨の道に進まなければならない。

今の運営はマーケットと睨めっこして、リスクを避けて平坦な道をいいとこ取りで狙う癖があるが、それはどちらを選んでも軋轢を生むし、中途半端な結果しか残せない。

威勢良く公式声明で「成長と挑戦」と声を挙げるのは結構だが、その実運営がもっとも「挑戦」から逃げ腰でいる気がしてならない。

上場企業がゆえにしがらみがあるのは理解できるが、だったら始めから余計なことをしなければいい。

そう考えればYouTubeからTwitchに移行して、衛門チームとのヴァロラント大会で結果を残したラプラス・ダークネスのほうがよほどチャレンジャーである。

キャスト本人とユーザーがやりたいこと、楽しめる方向に一緒になって進めれば、それは既に「挑戦と成長」なのであって、あえて運営が無理に手を突っ込む必要はない。

そういった点では成長の幅をユーザーに委ねたホロインディーは評価している。ファンダムとホロメンとの「共創関係」によって、ホロライブIPを活かした新たなクリエイターの土壌が生まれることが期待できる。

当初は運営主導による「方向性」に振り回された感があったリグロスだが、今後どの方角に舵を切ったとしても、遅くとも来年の夏頃には成長の結果が出ているだろう。

これから彼女たちが進む道に注目したい。


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