【乳房にがん】13日目

2020/06/03

今日は大学病院に行ってきた。

まず驚いたのが、先生がとても物腰が柔らかくて患者に威圧感を与えなかったこと。

以前父を亡くしたとき、最後の担当医のあまりの粗暴なものの言い方に、父を殺したのはその医師だと思わざるを得ない経験をした私からすると、こんなにも医師によって診てもらう側の気持ちが違うのかって程だった。

母からしてみたら、乳房にあるしこりが、一年前までは良性だったのに、癌化していることに(しているだろうことに)焦りを感じていたらしい。

先生は、開口一番「びっくりしたでしょ」と言った。

まるで、患者の気持ちがわかるかのように。

そして母の焦りに対して、「このしこりがいつからあっていつ大きくなったのかはわからないですよ」と

「生検で調べないと進行性かのんびり屋さんかわからないしね。なによりまだ癌かもわからないですからね」

そう、まだ癌かは確定してない。

ただ、米粒どころかビー玉大になっているしこりがあることは間違いない。

先生は、希望と現実をゆったりとした口調で綯交ぜにしながら説明してくれた。

母が泣きそうになると、それに耳を傾ける。決してカルテだけを見ていない。母の顔色、空気そう言ったものをきちんと捉えてくれていた。

驚かされたことに、生検の結果次第では、今月末に手術だという。

(はやい!早すぎる!)

母と私は同じことを思っていた。

先生曰く、「コロナの影響で手術の予約が取りやすいからね」とのこと。

「ラッキーでしたよ。まあ、不幸中の幸いですけどね」

専門的なことはわからない。早く取るべきなのか、薬で小さくするべきなのか。

しかし、このお医者さんについていくことがいいことなんだと思わされることばかりなので、とにかくお願いしますと。それだけだった。

診察を終えると、中待合で涙ぐむ母。

「迷惑かけちゃってごめんね。」

いや、散々迷惑かけてきたのはこっちですからね。付き添いくらいはしたいし。

「引越しの週に手術かぶるなんて」

そう、今月末に引越しを考えていた私は、たしかにその時期はテンテコ舞いになるだろう。でも、母のそばにいること以上に大切なものがあるとしたら、というか、大切だろ!と言われたら、そのものに対して一生の嫌悪感を示すだろう。それくらい、私にとっては付き添うことが大事。

ただ、大学病院は、検査や説明で、とにかく歩き回らねばならない。私はいいが、膝を痛めている母からしたら、歩き回ることは大変だ。

とりあえず、検査とその後の加療に関して、良き医師と出会えたようで良かった。

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