ひとりきりにはなれない場所を選ぶ
近くに川があってよかったと思うのは、もう何度目だろう。
人目も憚らず芝生に仰向けになり、ぐんと伸びをする。靴下も脱ぎ捨て、夜露で湿った土に踵が触れる。普段は仰ぎ見ている立場の夜空を寝転びながら見つめていると、ようやく正対して「目が合った」という心地になる。そのままぼーっと何も考えず、星の瞬きと同調する。日々の重力を解いて、ひとりという単位に戻る時間。そんな風に誰にも侵されない時間を望みながら、ひとりきりにはなれない場所を選ぶ自分のか弱さを隣に連れ添って、いつか還る場所を見つめ