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殴るより話し合う

アパレルの縫製業をやっていると結構な無理難題や一方的(に近い)な暴力にぶち当たることが多い。Twitterで製造業の方が、納品したものが全数戻ってきたと書いていたのでちょっと書いておく。ちょっと現場に寄った意見が多いけれど当然ながら不良品を納めても仕方ないだろ という事を言いたいのではない。それは絶対ない。
で、多かれ少なかれ工場であったり生産管理業をしていると経験はあると思うけど
・納品後の品質不良
・納期のズレ
・サンプルと工場サンプルの誤差
・サンプルと量産品や先上げの誤差
・量産品の品質安定性
・検品時の管理問題
・相互理解のズレ
etc....

こういったことは起きる。0に近づけようとはすれど人のやることに絶対はないしコピーのように同じものを作るのは無理に等しい。
このあたりのことは人間が生産や管理を行っている以上ぜったい起きないとは言い切れず、起きた際にどう対処するのかの方に重点が置かれていると思ってる。
さきに書いた一方的な暴力とは、上に書いたようなことが起きた際に
生産者サイドに大きな負担を強いることを指しておりますはい。
たとえば
・納期が何日遅れたので値引きだ。
・品質が悪いので値引きだ。
・量産品とサンプルが違うから引き取れない。
・300枚の中に10枚不良品があったので全部一旦返却する。
・販売機会ロスしたので売上を保証せよ

こういった状況を体験したことは長く業界にいれば1度や2度はきっとあると思う。
こういった場合、生産現場サイド側だけに過失があるのか。生産側のほうが大きな問題を起こしたから発生したと言い切れるのか。
個人的な見解ではあるけれど答えは【否】だと思う。
全部を細かく書くのは事象ごとに内容が違いすぎるので、上に書いたことをざっと分けて説明してみる。
①納期が遅れることについて
②品質が悪い(?)ことについて
③1や2の対処について

①納期が遅れる問題

納期が遅れた。遅れる。この場合にはどういうことが考えられるか。
現場サイドの納期管理ミスは当然有り得て、それを事前連絡なく納期前日や当日に「遅れます」の連絡。これは論外。現場が悪い。
ただ現場は実務として製造作業をしている為、やってみると予測よりペースが遅いなどの可能性は考えられるので、事前に「予定よりペースが上がらないので〇〇日遅れる」旨などを伝えていれば良くはないけれど、仕方のない部分もある。そこで何にも考えてない相手は
「人を増員してでもなんとかせよ」だったり
「残業増やしてでもなんとかしろ」
ということは言うことはできるけれど、そこで発生するコストは誰が負担するんだ?という話になる。(そこ踏まえての話ならまあまだ理解できる)
さらには材料などの投入がミスしたり遅れる場合もある。予定より仮に2日ずれて材料が届いたのに納期は変更なしでお願いしますなどと言っていたら、それこそ意味が分からない。遅れたものが届くまで何もせず待てということ?
あとは確認サンプルや先上げ等が品質OKと判断がおりない場合。いつまでたっても生産に入れないので当然最終の納期はずれていく。
つまるところ工場としては予定通りに材料を揃えて、予定通りに量産をスタートできる状態にあれば基本的に不測の事態でもなければ遅れてはいけない。
ただメーカー側が決めるべきことを決めず先延ばししたり、無茶な品質を求めたり、材料の投入を遅らせたり投入の状態の悪い場合は遅れる可能性を自分たちもばら蒔いているってこと。
 原因が明確にない場合は大体はお互い様ということが多いと思える。

②品質(クオリティ)が悪い問題

品質が悪いので。これについてはどうだろ。
勿論のこと指示書やパターンという設計図や説明書があって、そこの指示通りに作れていない場合は生産側に問題がある。(分かりやすくなかったり、パターンや指図書の整合性が取れてない場合は別)
品質サンプルとの差なども勿論問題にあがるポイントになる。
ただこれに関しても色々と問題点があって
品質とは何を指しているのか。
に行き着く。たとえば明確なものは3cm間に15針以上などの指示や製品の採寸。これらは分かりやすく物理的に不可能でない限りは対応しないといけないこと。(そしてこのあたりの指示はメーカー側が出しておくべきもの)
わかりづらいものは、ミシンの目の状態であったり糸継ぎであったり、糸切りなどのまとめ作業の精度であったり縫製の工程順番であったり…
機材や人の技術力・認識しだいで良し悪しの判断がかわるもの。

そして品質確認用サンプルなど(いわゆる1STサンプル)は一人が1着を1~10まで対応して丁寧に仕上げる(ゆえに量産時よりコストが高い)ので品質で言うと安定していて高い部類に入ることが多い。
ただし、量産時と同じ機材や工程を踏んでいるわけではないのでサンプルと全く同じものは全く同じ条件でないと物理的には作れない。その誤差を埋めたり納得できる線引きをするために工場サンプルや先上げサンプルという工程を挟む。「サンプルと全く同じものを作成せよ」というのであれば、サンプルと同条件(値段も含め)にて制作を進めよとなってしまう。
サンプルと同じでなければ詐欺じゃないか。量産は同じものが全数同様に生産されてなければ詐欺じゃないか。と言われる方がおられたら
サンプル同様のコストを投じられるのかを考えて欲しい。限られたコスト内でベストのパフォーマンスを出すべきではあるけれど、限界はある。
UNIQLOさんやラグジュアリーブランドさんなどの店へ行き、同じ商品同士を見比べてみてほしい。全く同じものではないことがわかるはず。

当然ではあるけれど、相手が納得できないものを納品して良い。
何てことを言っているわけではなく、実際に工程上の問題や違い、人が制作するものであることによる誤差は確実に存在するし、その差を埋める努力を双方しましょうね。という意識をもつこと。
てことが品質を守るということだと思う。

 工場側としては納期の問題はでるけれど、メーカー側が納得するところまで先上げサンプルをやることも必要だし、最終OKのでたソレに対して量産品は同じに極力近づけて行かないといけない。そこを「この程度でいいだろ」と自分たちで線引きはせず伺いを立てる。
 メーカー側は明確な基準や水準をもって工場に伝える。設備による限界を理解する。不安な要素があるのであれば納期が差し迫っていても優先すべきが品質であるなら納得いくまで確認して納期は変更する。逆もしかり。
 どちらも服は人間が作っていることを考えて進めていかないといけない。
『早く・安く・上手く(美味く)』は、そこそこ美味くしかならない

③不良品や納期遅れ・その対処

最後に
量産数の中に一部不良品などがある場合。
これによる販売機会のロスや、納期の遅れなどによる販売機会ロスなどの際の対応はどうだろう。
基本として不良品があった場合は良品に直して再納品する
これが作る側の責任だと思う。
直すことができない状態で1から作り直さないといけない場合なんかは材料を工場側で負担することも有り得る。
余程工場側が不義理なことをしない限りは、このあたりの対応が限界だと思う。
 ここで不良品に対してや、納期のズレによる販売機会ロスでの上代での買取をしろ(最近は聞かなくなってきたけど10年前くらいは結構聞いた)なんてことを言ってる人間がまだいたら正直どうかしてると思う。
例外として露骨におかしいミスをしたり材料を無駄にしたりの場合はちょっと色んな対応が発生すると思うけれど。
 よく考えて欲しいのは、工場が得ている利益額とメーカーが得ている利益額は全く違う。当然在庫のリスクなど工場とは違ったリスクがあるので、通常時にそこに文句は基本的にはない。ただ問題が起きた時に意味のわからない金額をふっかけてくる場合は文句がある。
 なにか問題が起きたときは工場もメーカーもどちらかが無くなれば困るのだから、お互いに赤字を生まない限界値で処理をして欲しい。 
 工場側はメーカーに対して誠実にミスが起きたら対応しないといけないし、メーカー側も相手の状態考えて潰しにかかるようなことはしない。これが基本だと思う。責任が圧倒的に現場側にあるのなら比率こそ変わることはあれど。


さて、こういった事が起きる背景には、契約が明確でなかったり(書面での確認とか)指示の曖昧さやニュアンスで進行することが多いのも理由の一つになると思っていて、口頭でも仕事がどんどん進行する世界だからということもある。
 そこには良さもあるのだけれど、問題が起きた際にこじれると明確な線引きがしづらくなる。今後はこのような曖昧さを少しずつ減らして明瞭な取引をできるようにも変えていけない部分は双方ともにあるな、と感じる。
 かなりやりづらく堅苦しくなることも増えると思うけれど、ものを作ろうとしている工場へ依頼する側は知識の希薄な人もふえていることや、工場側も自動化できる部分がすくなく安定できない部分がある以上は、お互いの身を守る必要性を感じる場合も含め、変えていくべきポイントのひとつにはなりそうだな、と。
…ひとつのツイートから随分長くなってしまった…。
申し訳ないです。読んでくださった方、感謝です。

ではまた。

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