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長期インターンは企業と学生にとってWin-Winとなりうる

日本でも徐々に長期インターンの流れが広まっているようです。

米国の大学で学び、インターンシップの恩恵に大いにあずかってきた身としては大変喜ばしいことだと思います。

私は夏休みといえば決まって長期インターンに参加していました。1年生の夏はボストンにあるスタートアップにて、2年生の夏はグーグルのマウンテンビュー本社にて、3年生の夏はPalantirという会社のパロアルト本社で働きました。そしてAsanaに就職後は、メンターとしてインターンを受け入れる立場に立ちました。

長期インターンを実施する難しさなどもあることは重々承知しつつ、一個人として感じた様々なメリットを以下体験談として共有できればと思います。文字数も気にし、この記事では1年生のスタートアップでのインターン経験、そしてAsanaでメンターをした際の経験にまずは焦点を絞りました。

スタートアップで働き、現実の厳しさを知る

アメリカの大学では5月から8月までが、学年をまたいだ夏休みです。私はコンピューターサイエンスを学んでいたのですが、仲間たちの多くはこの夏休みを活用して長期インターンに参加していました。

1年生の夏、プログラミングを始めてからまだ日が浅かった自分は、様々な長期インターンに応募したもののことごとく落選。結局、ボストンの社員4名のスタートアップから唯一オファーをもらい、そこで3ヶ月のインターンとして働くことになりました。

その会社はModItという製品を作っていました。これはブラウザを離れずに、自分でゲームを開発し、それを公開するまでワンストップでできるというサービスでした。インターンとして私に課されたミッションは「ModItを使ってなんでも良いから面白いゲームを作れ!」というものでした。

我ながら、私は成果を出すことができたと思います。好きなYouTubeのビデオをもとに、誰でも簡単にDDRや太鼓の達人のような音ゲーを作ることができるゲームを開発し、ModIt上で公開しました。ゲーム関連のメディアで取り上げられたり、ボストンのHTML5ミートアップでプレゼンするよう頼まれたりと、ゲーム自体はそれなりにバズりましたし、それによってModItという製品の知名度向上にも貢献したものと思います。

そして会社が潰れた

夏休みが終わり、大学に戻り、しばらくこのゲームのことは忘れていました。そしてある日久しぶりに何の気なしにゲームを開いてみたら、アクセスができなくなっていました。ModItが潰れていたのです。

我ながら3ヶ月心血を注いで作ったものが、いとも簡単に世界から消え去りました。また、私とは比べ物にならないくらいModItにエネルギーを注いでいた、人生をかけていた4名の社員の頑張りも、あっけなく水泡に帰しました。

社会とは厳しいところである。先生や親には幾度となく言われ分かっているつもりでした。しかし自分が作った製品、自分が知っている人たちの失敗を目にすることで、よりリアルに社会の厳しさを感じることができたように思います。この体験を学生のうちにできたことは非常に貴重でした。

Asanaでインターンを受け入れる側になって、チームワークの難しさを知る

それから数年が経ち、私はAsanaに入社しました。当時社員200人のサンフランシスコの会社で、中堅スタートアップといったところでしょうか。ここでエンジニアとして働いて1年ほど経った時、サマーインターンのメンターをやることになりました。

私が担当になったインターンはロシアの学生で、控えめに言ってめちゃくちゃ優秀でした。競技プログラミングで入賞した実績などもあり、彼がチームに数ヶ月でも来てくれるのはとても心強い、と胸が躍ったのをよく覚えています。

実際に、彼は素晴らしく貢献してくれました。私もエンジニアとして彼から教わり、教える中で、仕事は進み、互いの技術的な知識も深まり、非常に順調にインターンシップが進んでいきました。

しかし、ある時から彼が少し不機嫌な素振りを見せるようになったのです。

心理的安全性の重要性を学ぶ

彼は競技プログラマーとしては非常に優秀でしたが、それとソフトウェア開発とは知識や手法が異なる部分もあります。これを見た私はよかれと思い、積極的に彼に建設的な批判をしたり、指導をしたりしていました。

しかし私には彼を褒めるということが圧倒的に足りていませんでした。こうなると、彼の視点からは、自分は成果も出しているのに、この自分と歳もそうも変わらない日本人は細かい指摘ばかりしてくる、ということになってしまいます。

これには大いに反省しました。そこからは、彼のことをチームミーティングや1対1で話している時など、ことあるごとに感謝するように心がけるようになりました。

徐々に彼の心が開いていくようになったのを覚えています。結果的に、彼は私の言うことを再度聞いてくれるようになり、一時は怪しかったインターンのオファー(優秀なインターンはインターンシップの終了時に、翌年再度インターンとして戻ってくるオファーをもらいます)も出すこともできました。

こうした失敗・経験を実際の部下とではなく、まずはインターンと「練習」できたのは自分にとって非常に良い経験でした。



いかがでしょうか。私の経験上、インターンは学生としても、企業としても、非常に有意義なものになりうると感じています。運用面での難しさもあるものとは思いますが、多くの日本企業で検討をしてみる余地はあるのではないでしょうか!

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