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素直な心

70年以上生きてきた中で少しだけ素直な心を持ち始めたような気がするのはついこの間の事でした。もっと早く気付いておけばよかったのにと思います。

お釈迦様の教え

素直な心とは自分自身の至らなさを認めてそこから努力するという謙虚な姿勢の事です。とかく自分は能力があると思っている人や気性の激しい人は往々にして人の意見を聞かず、たとえ聞いても反発します。しかし本当に伸びる人は素直な心を持って他人の意見を良く聞いて反省し、自分自身を見つめる事の出来る人です。

そうした素直な心で居るとその人の周りにはやはり同じような心を持った人が集まってきて物事がうまく運んでいくものです。自分に取って耳の痛い言葉こそ本当は自分を伸ばしてくれるものであると受け止める謙虚な姿勢が必要です。

お釈迦様は仏教の教えとして一番に『精進』を挙げておられます。修行をするにしても働くにしても一生懸命に行うという精神が先ず初めにあります。しかし自らの欲望のみを追いかけてひたすら努力をしても、その成功は長続きしません。

人間の欲望には限度がありませんから、ほどほどにという意味で『足るを知る』事が大事だとお釈迦様は説いています。世の中を良くする為にもっと働きたいというような美しい心を描く願望であれば限度が無くても構いませんが個人的な野望については、出来る限り抑える努力をすべきです。

決して卑屈になって現状に甘んじるという事ではなく、自らの欲望を抑える為に『足るを知る』という事なのです。

スリランカは仏教国です

松下幸之助さんの教え

幸之助さんの原動力は『素直な心』でした。歳をいくつ重ねても『自分には学問がない。学校を出ていない』と言って『耳学問であっても、他人様に教えてもらって自分を成長させよう』という姿勢を変えようとはされませんでした。その為、人の意見を聞いて物事を学び、それを通じて生涯発展進歩を遂げていかれました。

『素直な心』は自分の至らなさを認めて、そこから努力する謙虚な姿勢です。それが成功の鍵なのです。幸之助さんは『素直』である事が成功の礎であると説いておられました。確かに成功している人は素直だと感じる事が多いものです。新製品を作る時、使う人の意見を聞けないようでは売れる商品は作れません。

『素直力』は常に鍛えていないと伸びません。なぜなら『分かったつもり』や『無駄なプライド』といった誰もが持っているものが邪魔をするからです。素直になる事は単に人のいう事に従うという意味ではありません。

『素直力』は『吸収力』です。人の言葉や行動をいかに吸収するかが大事です。ISO9000による世間からの声を遮断するような行為はメーカーにとっては自殺行為でした。

人から受けた意見をまずは『受け止める』スポンジの様に身体に浸み込ませた後に自分なりに料理する。たとえ相手の意見が自分の価値観と違ったとしても受け入れる事を先ず優先する。それだけで吸収力は上がり、素直力も一気に成長します。本当に強い人は素直な人です。素直な心にはレベルに差があります。上には上があるので、一生精進をすべきです。

ところが、聴く事は想像以上に難しいものです。『聞く』ではなく『聴く』には『心』という字が組み込まれています。相手に対する強烈な好奇心を持つと無意識に呼吸やしぐさも心が開いていく方向に向かっています。強烈な好奇心は自分の中に潜んでいる力を引き出してきます。無理に聴こうとしなくてもいつの間にか最強の聴き上手になっています。

また聴き上手は自分の内なる声もしっかり聴く事ができます。自分に対する強烈な好奇心が内なる声に対する聴き上手のコツでもあります。これは自分の成長に繋がります。元米国大統領のビルクリントン氏は相手が誰であろうともホテルのベルボーイでも大学教授でも国家元首でも、ほかの人が誰もいないかのように大切に相手の話に耳を傾ける人だったそうです。

人でも組織でも知らず知らずのうちに謙虚さを失っていきます。リーダーとしてある程度の成功を修めていればなおさらです。しかし部下や顧客の話からも学んでいく謙虚な姿勢が無いといけません。話を聴く事で自分のやってきたことへの反省になるし、話している方も『聞いてくれているのだ』と喜びます。大事なポイントは、自分は十分ではないと思っていないと聴く姿勢はできません。

部下から学ぶ事で部下も上司のやり方を学んでくれます。真に任せられる人材を育てるという意味でも部下から学ぶ姿勢は大切です。部下が自分の代わりに難しい仕事をやってくれるようになったら、こんな嬉しい事はありません。


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