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信頼関係を築くには

昨年夏の東京パラリンピックのマラソンで全盲の人が伴走者と襷(たすき)だけでつながって全力疾走している姿を見て感動しました。そこには練習によって築き上げられた二人の信頼関係があるのでしょうが、それはどのようなプロセスを経て築かれたのか、興味を持ちました。

日本の赤ちゃんはほぼ全員が、紙おむつを履いていますが、アフリカの国ではそんな便利なものはありません。ある時テレビ番組でお母さんが日本のTV局のインタビューに答えていました『そのような物は必要と思った事が無い。自分の赤ちゃんを背負っていると、赤ちゃんがおしっこやうんこをしたいと思っているかは背中の感触で分かる』との事です。どのお母さんの答えも一緒でした。

この頃、ペットと過ごす時間が増えました。すると、散歩に行きたいのか、おやつが欲しいのか、トイレに行きたいのか、つまりどうしてほしいのかがある程度分かるようになりました。また出来るだけ話しかけている事もあってか、彼もかなりの人間の言葉を理解してくれているみたいです。

僕のペット1歳になったステファンです

映画アバターのシーンで空飛ぶドラゴンを操縦する時や乗馬をする時、手綱のような物で自分の意志を伝えていました。同様に、オーストラリアやニュージーランドで乗馬をする時には乗せてもらっている馬と心を通わせ、その馬をスキになる事が第一ステップだと乗馬クラブのインストラクターの人に教えられました。相手が誰であれ、コミュニケーションの第一歩は信頼関係を築く事だと学びました。

仕事の伴走者を育てる

それでは職場で一緒に仕事をしていく仲間と伴走者のようないい関係を作っていくにはどうすればいいのでしょう。

第一に人気のある人は決して相手を否定しません。徹底的に肯定します。更にひたすら励ましてくれます。しかし中にはそれが本人の為になると考えて平気で嫌われ役を引き受けようとする人がいます。『僕は部下の事を思いすぎるあまり、時々グサッと相手を傷つけてしまう表現をしてしまうが、その辺りは理解してくれよ』と言いますが、それは違います。

人間は否定されると心が離れてしまいます。まして気付いてくれ、目を覚ましてほしいという気持ちが高じてついグサッとくるような致命的表現を投げつけてしまっては逆効果です。

『それを言っちゃ、おしまいよ』『もう立ち上がれない』というようなタブーがあるものです。もちろんタブーの連続では人望も人気も得られません。例えば仕事に失敗したり、なかなか成果が出せないような時のこういう表現には特にガックリきます。

『君この仕事、合わないんじゃないか?』『前から言おうと思っていたんだけれど転職真剣に考えた方がいいよ』これを明るい冗談顔で言われれば気にしないかもしれませんが、マジに言われたらもう再起不能です。

『この人、本当にそう考えているんだ。ずっとそう思っていたんだ。もう俺の事なんか匙(さじ)を投げているんだ。ショック』こんな言い方をされて『もっと頑張らないと』と前向きに考える人は少ないでしょう。一言で人を活かし、チームを明るくする事も出来る一方、一言で人を殺し、チームの士気を削ぐ事もあります。

伴走者

高みから指導されたり励ましてもらうより、同じ目線に降りてきて一緒に走ってくれるという実感があって始めてやる気が醸し出されてきます。言ってみれば『伴走者』です。

人間消防車

沈滞しているチームのムードを一気にしかも簡単に変えるコツはどんなにくだらない事でも成果が出たら単純に喜んで、しまう事です。チーム全体で喜ぶ中で、一体感や勢いが生まれます。

ところが暗い人間にはなかなかそれができません。実は質のいい人間に限って多くの場合そんな部分があります。一緒に喜べない、一緒に騒ぐ事ができない、お祭りが出来ずにどこか冷めている。どこか客観的でどこか他人行儀なのです。

だから折角灯(とも)った『やる気』という火を消してしまいます。こういう仲間から浮いてしまう人を『人間消防車』といいます。

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