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事務机の配置

多くの日本の事務所は基本的に『大部屋制』になっていてプライバシーは在りません。しかも直属の上司が部下全員を見渡せる場所に座っていて、さながら監視されているような状態で仕事をしています。

一方人種のるつぼで個人主義が根付いた米国ではそれぞれの机がパーティションで区切られていたり、半個室のような状態で仕事をする所が多いものです。社員同士のコミュニケーションという意味では日本の大部屋制はいい。しかし生産性の観点から考えると他者、特に上司の視線を感じずに済む方が仕事がはかどります。

日本のドライバーが駐車場を利用する時はほとんどの人はバックで入庫して前進で出庫します。それに対して米国では反対に前進で入庫してバックで出庫します。

他者の視線について米国の大学で調査をしました。ショッピングモールの駐車場から出ようとする車200台のドライバー達を観察しました。すると自分が出て行った後のスペースに入れようとする車が後ろで待っている場合、出発までの時間が39秒掛かりました。一方誰も待っていない時は32秒でした。

つまり他者からジロジロ見られると、わざとゆっくり動いたり、逆にストレスで普段通りに動けなかったりしてしまうのです。だから部署全体の生産性を上げたいと思うなら部下たちの仕事ぶりをジロジロと見る事はやめたほうがいいでしょう。

ある程度部下を放置して、見て見ぬふりを決め込む位がちょうどいい。もちろんスペースに余裕があって可能であれば机ごとにパーティションで区切るのが望ましい。管理職の仕事は『管理』であって『監視』ではありません。

管理

そもそも管理とは、人を信じていない事から始まります。ダメな会社は何かミスがあると再発を防止するという目的の為にやたらと印鑑の数が多くなります。経営者の立場からすると管理部門や経理部門の人から『再発してもいいのですか?』と問われると『それは困る』と言わざるを得ません。それは正論だからです。そしてまた一つ書類に印鑑の欄が増えます。

管理は働きが悪い人を少し働かせる事が主な目的です。例えば悪事を企んでいる人は元々それを隠そうとしますので効果は薄いです。そこで責任が自分に回ってこない様に管理や経理の人が考えるのが印鑑を増やす事です。また営業の中間管理職の人は、事あるごとに『ホウレンソウ』と言って普段の部下とのコミュニケーション不足を忘れています。

これを続ける事でトップランナー達はやる気を無くしていきます。更には管理される事に慣れてしまうと言われた事しかしない指示待ち族になったりします。そして、そのうち言われた事すらしなくなります。

管理職だからと言って部下を『自分だけのルール』や『固定観念』で縛り付け、そこから少しでもはみ出すと罰するというのは愚の骨頂です。仕事はあくまでも会社のものであり、ひいては社会のものです。中間管理職のつまらないエゴやプライドで仕事を進めてはなりません。

部下を信用すると不思議といい結果がついてきます。仕事とはそういうものです。本来の正しい姿は『規律の中の自由』です。時にはアドバイスも必要ですが後は信じて任せると人は本来の能力を発揮します。経営者や部門責任者は本当に社員の人、部下の人の幸せを願い、いつくしむ心を持つ事が大切です。

『慈悲の心を持たず、理論やテクニックだけで人を使おうとしても、人は心から喜んで仕事をしないだろう』と松下幸之助さんはおっしゃっています。聞きかじりの経営学を盾に上から目線で説教などしていては部下のやる気を削ぐだけです。部下は人間です。理外の理を知るという事は大切です。管理職の人が第一にすべきことは自分の人格を研くことです。

経営者はどれだけ周りに有能な人を集めることができるかも重要です。その為には常に自分の人間的魅力を高めていかなければなりません。経営者の役割はいかに人物を集めて、その人たちに最大限の能力を発揮してもらえるように動機付け、方向性を与えるところにあります。

管理しない

フランチャイジーになりたい人はえてして独立心の強い人が多いものです。人に使われるのが嫌で自分でやりたいというタイプです。そういう人の場合、フランチャイズチェーンの大きな方針に反しない限り大元はリードをのばしてやるといい。

つまり自由に自分の意志で事業を行っている様に思ってもらう事が大事です。大元の方針に外れるようなやり方が目に付いたらボタンを押してリードを引き戻す。その出し引きの加減が経営をうまく回すコツです。

社内の場合も同じです。部下としては犬がリードの愉しくないのと同じように自由が無いというのは面白くありません。経営者や中間管理職に取って部下をうまく使う極意はそういう事ではないでしょうか。

いい仕事をすると売り上げが上がり、利益がでます。内部で事務をしている人でもパフォーマンスの結果が出ます。そこを見ていればいいのに、行動を管理するから社員のやる気が下がるのです。部下を信じていないので『今日はどの会社に行ったのか』とか『訪問件数は何社か』などを報告させます。

お客様情報の共有ならいいのですが、大抵は情報の共有というよりは管理の為です。管理ばかりされているとその内、言われた事しかしなくなり、いわゆる指示待ち族になってしまいます。

ステファンちゃん

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