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コミュニケーションの心掛け

部下にとって、特に新人にとっては上司の存在やその話は会社そのものの意思表示と受け取られます。上司が部下に接する時、特に注意すべきコミュニケーションの心掛け3点を述べさせて頂きます。

水平コミュニケーション

指導する、教えるには上から下に言って聞かせる、説教するなどの上から目線イメージが伴っています。日本人は長年縦社会の中で生きてきましたから、今でも上下意識が強い。その為、人を育てる場合でも『教えてやる』等の上から下へのものの言い方が習慣のようになっています。褒める時は『褒めてやる』と勿体ぶった態度になります。またしかる時は『叱りつける』などと相手を見下した言い方をします。

部下から見た場合、指導に対する反発はこうした態度やもの言いに向けられる事が多いものです。コミュニケーションの面から言えば、水平を心掛ける必要があります。相手と同じ背丈、同じ目線で話したり、聞いたりするのが水平コミュニケーションです。人が育つには水平のやり取りが望ましい。

営業の現場、体育会系の人達、年配の管理職などによく見られる厳しい序列意識のもとに相手を『お前』呼ばわりし、何かにつけて呼びつけ、声を荒らげて叱りとばす、といった環境では、自分で考え、自発的に行動する部下は育ちにくいものです。

人は年齢、性別、経験、能力、考え方など、それぞれ異なり決して同じではありません。その違うところを認め合い、人として等しく接するのが人を活かすコミュニケーションの原点です。

双方向コミュニケーション

コミュニケーションは話す側と聞く側の双方向のやり取りです。どんなに上手に喋っても、話す一方ではコミュニケーションになりません。発信には受信が伴い、受信には発信が伴います。説得する時や相手の自覚意識を喚起する時でも、こうしてほしいと話す一方では単なる押し付けにすぎません。俗に押し売りと呼ばれる行為は次から次に喋って相手に無理にYesと言わせるもので、説得コミュニケーションとは別のものです。

頭のいい人、仕事のできる人が必ずしも教え上手、育て上手とは限りません。有能な人は自分を育てるのは上手だが、相手を育てるのが上手でないのは、自分基準で喋りすぎるからです。相手にとっては自分に合わない話を一方的にされるので、何のことか理解できないばかりか、自信まで失ってしまいます。

仮に話の内容が理解できたとしても有能な人のやり方が誰にでも通用するわけではありません。育て上手な人は相手を知り、相手に応じた育て方を考え、工夫します。自分のやり方を押し付けるのではなく、相手のやり方で考えるのです。自分のやり方を理解させるより、相手の理解が先です。それには『話すと聞く』の双方向を心掛けましょう。

言語外情報(ノンバーバルコミュニケーション)

同じ注意を部下に伝えているのにA部長が言うと角が立ち、B部長が話すと爽やかな気分になる。同じ事業提案をしているのに、C君が論理的に説明すると気の毒なくらい反発を買い、Dさんはかなりアバウトに説明しても受け入れられる。それは受け手の右脳の情報処理、すなわち印象によります。

文字に起こしたら同じことを言っていても、話し手の思いや感情が異なると受け手の印象は随分違ったものになります。『言葉の上で誤魔化そうとしている』『よからぬことを考えている』『責任を他の人に転嫁しようとしている』こうした話し手の思いが本人の意思とは裏腹に言語外情報として聞き手に伝わり、反発をかうのです。

言語外情報とは声の抑揚であったり、張りであったり、表情や態度であったりします。人間はこうした情報には右脳を使って分析し、全体的な印象として判断をくだします。たとえ文字にすると全く同じ事を話していても人によって聞き手からの受け止め方が異なるのは異なる言語外情報が発信されている為です。

言語外情報の中でも重要な要素は話し手の感情や性格です。相手を説得する為には心の底から説得したいと思わなければなりません。言葉の上だけで要領よく説得しようと思っても聞き手の右脳は無意識のうちにお見通しです。

『何となく信用できない』『何となく好きになれない』このような第6感は言語外情報が右脳によって処理されて生まれてくるものです。人を説得する為には先ず自分の人格そのものを磨かねばなりません。その事をふだんから心掛けておきましょう。

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