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空港プロジェクト施工要員の日本研修とペルシャ日本両国の食文化の違い

イランの空港公団3名の方々が大阪に来られた。空港での設置と補修はテロリスト対策の為に公団内部の人以外は関係できない。現地での応札の条件に研修の実施条項があって設計と機器の修理は代理店でするが、研修は我々が担当する事になっていた。そうした中、地方空港10空港の入札が別々にあって当初3空港分の応札で我々のグループが落札した。

機器構成が複数メーカーになっているので、システムでまとまった対応をする為には我々の技術者が対応するほうが間違いが少ない。普通小さな日本の商社では技術者は不在。その点我々には優位性があった。たいていの研修内容は毎回問題なくこなせるが、できるだけ楽しんでもらう為に夕食には工夫が必要であった。

イスラム教とヒンズー教のお客様には宗教上の制約が多く特に食事には工夫が必要だ。観光立国になった今の日本ではハラール肉は結構一般的になってきて宣伝をしているお店まであるが当時はこれを提供してくれるレストランを探すだけでも難しかった。特にイランの人々は豚以外の肉は大好きだ。テヘランに出張しても毎回、昼と夕はケバブという串焼肉を頂く。レストランのケバブとヨーグルト、事務所で頂く果物は本当においしい。

どこの事務所にいってもお茶と新鮮なフルーツが出される。会議がペルシャ語でなされている時などは話についていけないので、様々なフルーツや夏野菜を賞味するのが楽しみのひとつだ。テヘランに出張するといつも体重が増える。砂地に適度の水と十分な太陽光があると大抵の果物や夏野菜はおいしくなるらしい。

大阪で研修中のある夕方に彼等と何を食べに行くかを話していると、シーフードは問題ないとの事だったので、会社近くのうどんすきを食べに行った。箸の使い方は比較的簡単に理解されて、食事は日本食やペルシャ料理の特徴などを語り合い、盛り上がっていた。

鍋料理の味は気に入って頂けたみたいだ。そこへテーブル担当の和服女性が来られて、海老の踊り食いの調理を始められた。生きた海老を熱い鍋に入れて、暴れないように箸で押さえつけるのである。この様子を見ていた3人はお互いに顔を見合わせて、その後は鍋に手を付けないようになってしまった。

これは野蛮な食べ方かも知れない。彼らはステーキも必ずウェルダンを選択する。たいていの人はナマ魚であるお造りも食べない。ただ卵ご飯だけは食べる。ご飯の上に黄身とバターを載せて混ぜてからゆかりを振りかけて食べるのだ。私もケバブは大好きだが一週間昼と夜に提供されるとこれも嫌になる。誰でも育った食の好みは変わらないみたいだ。

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