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三人のレンガ職人の話

チームワークで仕事をする場合、リーダーの役割とメンバーとしての役割分担があります。全ての人がハードウェアとしてはほとんど同じ脳力を持っている集団の中で、どういう人がリーダーになるべきでしょう。

三人のレンガ職人の話

三人のレンガ職人が大きな修道院を建築していました。この修道院は完成までに100年かかると言われています。ある人がこの三人の職人に『あなたは何をしているのですか?』と尋ねました。

一人目の職人は『見ればわかるでしょう。レンガを積んでいます。こんな仕事はもうこりごりだ』と怒った口調でいいました。二人目の職人に同じ質問をすると『レンガを積んで壁を作っています。この仕事は大変ですが、賃金が良いのでここで働いています』と答えました。

三人目の職人に同じ質問をすると、『私は修道院を作る為にレンガを積んでいます。この修道院は多くの信者の心のよりどころとなるでしょう。私はこの仕事に就けて幸せです』と答えました。

それから10年が経ちました。最初の職人は以前と同じように愚痴をこぼしながらレンガを積んでいました。二人目の職人は『もっと条件のいい仕事が有った』と言って賃金の良い危険な仕事、修道院の屋根の上で働いていました。三人目の職人は色々な知識や技術を覚えた為、現場監督として施工を任されるようになりました。そして多くの職人を育てました。

この三人の違いは何でしょう。それは使命感や充実感を持って取り組んでいるかという事です。その事からすると考え方の根っこの部分は大事です。

仕事は全体像が見えていなければどんどん複雑になっていきますし、必然的にミスやロスが多くなってしまいます。全体像をとらえておくと余計なミスやロスが無くなり、よりシンプルに最短距離でゴールする事ができます。

植木職人の話

植木屋の親方は時たま手を休めてちょっと離れたところから若い職人さん達の働きを眺めています。これは一人だけサボっているわけではありません。そうかと言って職人さんたちの動きをチェックしているのでもありません。

枝の一つ一つの剪定が庭全体のバランスを崩していないかをチェックしているのです。もし親方までが職人さん達と一緒になって剪定作業に夢中になっていたら部分的には素晴らしい物ができるかも知れませんが、庭全体がちぐはぐなものになってしまうでしょう。

石切り場の話

石切り場にやってきた男が石工に『何をしているのか』と尋ねました。一人の石工は不機嫌そうな表情で『この忌々しい石を切っているところさ』とぼやきました。別の石工は満足げな表情で『大聖堂を建てる仕事をしているのだよ』と誇らしげに答えました。

完成した暁の大聖堂の全容を思い描く事ができて、しかもその建設工事の一翼を担っている石工はただ目前の花崗岩を見つめてうんざりしている石工よりはるかに満足しているし、生産的です。

何年かしたあと同じ石切り場を訪れると、ぼやいていた男は同じように石を切っていましたが誇らしげに言った石工は大聖堂建設の現場監督になっていました。ビジネスリーダーはプランを作り、人々にその完成図を示して建設への意欲を鼓舞するような人でなければいけません。

リーダーに相応しい人は?


ルーチンワーク

ルーチンワークとは本来考える事なしに出来る仕事です。『考える事なしに』という言い方が分かりにくければ無意識のうちにできる仕事と言い換えてもいいでしょう。要するに、車を運転する事や編み物するのと同じです。更に大組織の場合、平社員だけがルーチンワークを強いられているのではありません。

課長・部長・役員・社長、などの役職についても皆、似たようなものです。例えば大企業の社長が組織運営上の難題に取り組む事もルーチンワークです。大胆な改革を打ち出すために頭をひねるとしても、それは大企業では抽象思考とは無縁です。改革のアイデアは代々の社長がみな取り組んできた事の焼き直しです。

またコンサルタントにお金を払えば世界で行われた組織改革例の一覧がポンと目の前に出てきます。社長はそのメニューから好きな物を選べばいいだけの話です。このくらいの仕事なら車の運転や編み物と同じレベルです。

自分の脳で努力してでも抽象思考を繰り返し、命が尽きるまで成長を続けましょう。

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