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視る・観る・察する

NHKの番組に『チコちゃんに叱られる』というのがありますが、有意注意で生きてないと簡単な質問に答えられなくて『ボーと生きてんじゃねーよ』と叱られます。

視ると観る・察する

論語の為政篇に『その為すところを視、その拠る所を観、その安んずる所を察す』とあります。これを一生に当てはめてみますと、

30歳以下は『視る』………特に注意せず、ざっと世間を見るというイメージ
30歳から50歳は『観る』…有意注意と言い、自分の意志を持って世間を見る
50歳から70歳は『察す』……内省して思考する
70歳以上は霊体としての自覚を持ち世界を俯瞰しながら、来るべき来世に備える

同じ見るですが、それぞれの文字が微妙に異なり、特徴があっておもしろい。

この様に人生の終盤で世界の道理が分かって生きている事を楽しめるようになるというのは簡単なように見えて難しいものです。『察』が出来るようになると余裕が生まれて人に対して優しくなれます。

ゆったりして和らぎ、喜ぶ気分は精神修養が十分に熟した時だからこそそうなれるのではないかと思います。儒学の祖である孔子はいつも穏やかであったと言われています。老化すると怒りっぽくなる人もいますが、自分はそうはなりたくないと思います。

『廃棄ロス』をどう見るか

私が幼かった頃日本は敗戦の後で、ほとんどの庶民は貧しくモノを大切する習慣がありました。時代が進んで、コンビニが日本中に溢れて特に食品の『廃棄ロス』が多くの人に注目されています。売り手は特にこの事に目を奪われます。これは人間の心理に起因します。

経済学は合理的・経済的に損得勘定や確率計算を行いそれに基づいて商品やサービスから得られる満足感が常に最大になるように判断して行動すると想定されています。その時には心理的な影響について考えるのはタブーとされています。

しかし現実にはそれが出来る人間は少ない。人は健康に害があると知りながらタバコを吸ったり、同じ一万円の出費でも被服費については二の足を踏んでも飲食費については躊躇しなかったりと財布が別々で必ずしも合理的に判断するとは限りません。

そこで人間の心理を考慮しないこれまでの標準的な経済学に対して心理を重視する『行動経済学』という新しい分野がここ数年注目を浴びてきました。その中でもプロスペクト理論は有名です。

『人間は同じ金銭であっても利得から得られる満足や喜びより損失から受ける不満足や苦痛の方が2倍から2.5倍大きく感じてしまうものです。これは金銭的な利得や損失だけでなく成功や失敗、ひいきチームの勝ち負けなども含まれます。

自分はこの歳になっても小売店を営業している部分があって、決算セールをする時などは仕入れの失敗を認めざるを得ない事からどうしても躊躇してしまいます。まだまだ自分の金銭的損得に目が行ってしまいます。修行が足りていない証拠です。

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