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お酒と遺伝

酒は百薬の長とも言われ、好きな人にはこの上なく美味しくて適度な量であれば健康にもいいものです。しかし世間にはこれが嫌いな人やまた、健康上飲めない人もいます。お酒が私たちの文化に与える影響について考えてみました。

お酒と遺伝

私の父は全くお酒が飲めませんでした。私は薬との飲み合わせで今は飲めませんが、もともと人並みにお酒は好きです。子供達は結構飲みます。娘と結婚した義理の息子はポーランド人で、いくら飲んでも酔わないように見えます。孫達はどうなるか楽しみです。娘の結婚式の披露宴を京都で披きました。その時私の父は赤い顔をして、『ケーキに交じっていたアルコールで酔ってしまい苦しい』と言っていました。

私達ホモサピエンスは黒人(ネグロイド)から白人(コーカソイド)そして黄色人種(モンゴロイド)の順に進化してきたと言われています。一見すると白人と黒人は肌の色が全く違うので大きく異なっているように見えますが、遺伝子的には黒人と白人は近く、黄色人種の方が離れています。

その事を立証する一つにアセトアルデヒド脱水素酵素の有無が挙げられます。白人と黒人はアセトアルデヒド脱水素酵素をたくさん作ることができる『N型遺伝子』を持っています。ところが、黄色人種の中にはこれを作れない『D型遺伝子』を持つ人がいます。この遺伝子を持つ人は黄色人種の中でも新種で、今から2∼3万年前に大陸で誕生したと言われています。

日本人は元々縄文人が住んでいた処に後から稲作文化を持った弥生人が大陸から渡ってきて両者が混血しながら今の姿になったと言われています。この大陸から渡ってきた弥生人がD型遺伝子の持ち主です。

ところで酒に強い奴の方が偉いという文化は世界中にあります。事実、酒の飲み比べのような事は世界中で行われていますし、日本でも昔は娘が結婚相手を連れてくると父親がつぶれるまで酒を飲ますという事が行われていました。高知や九州などでは今でも酒が強くないと生きていけないというくらいコミュニティでの地位に関係してくるそうです。

ポーランドの結婚式では3日3晩親戚が集まってウォッカを飲み続けるという事でしたので自分の健康を考えて、披露宴の開催はやめておきました。後で聞いた話ですが、京都での披露宴の時、向こうの親戚の女性の間で『日本人はなんであんな弱いお酒を少し飲んだだけで酔っ払っているんだろう』と話し合って、夜になってからホテルで飲み直していたらしい。

実際少し前まで日本でもお酒が飲めないというと男社会では『なんだ飲めないのか、ダメな奴だな』と嘲笑されたり『俺の酒がのめないのか』と無理やり飲まされたりするような事が行われていました。私の父は『軍隊の時には飲めない事で随分苦労した』と言っていました。

なぜ酒が飲めることが大事なのかというとそれが男としての強さと直結すると思い込まれてきたからです。体はある程度鍛えて強くすることはできますが、お酒に対する強さは先天的なものが大きいので鍛えると言っても限界があります。

そしてどんなに腕力が強い人でも酔っ払ってしまったところを襲われたら勝ち目はありません。飲み比べは暴力を使わずに正体を失わない強さを競い合う手軽な手段であり、遊びでもあります。だからお酒に強いという事が人間の強さの証明のように思われてきたのでしょう。しかしこのような風習は戦争をする上で大変不利になります。そこでイスラム教では簡単にこれを徹底する目的で『神により禁じられている』としたのでしょう。

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