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挿絵小説『ラッキーボーイ』(全12話)〈luckyboy〉

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国境のないネットの世界では、入り口としての挿絵が重要なのではないか?という仮説から、ネット小説を再定義した作品です。
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2016年11月の記事一覧

挿絵小説『ラッキーボーイ』第11話

挿絵小説『ラッキーボーイ』第11話

「列車事故」ああ、なんということでしょう。この作品が映画化されても、JR各社がスポンサーに付いてくれるのは不可能になりました。だって列車事故ですよ!……それはさておき、前回上野駅構内のカフェで、二杯目のパフェを頼むかどうか迷っていた翔子さんは、激しい衝突音に驚いて構内の通路に出ました。すると立ち込める煙の中からたくさんの人たちが逃げて来たのでしたね。そして翔子さんは、老夫婦を心配して、危険を承知で

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挿絵小説『ラッキーボーイ』第12話(最終話)

挿絵小説『ラッキーボーイ』第12話(最終話)

「復活」葬儀場の一番小さな会場に、神崎家の案内板がありました。神崎は翔子さんの苗字ですね。彼女は身寄りもなく、交友関係のある知人友人もほとんどいませんでしたから、弔問する人もいません。その割には豪華な祭壇が設えられていましたが、もちろんこれは命を助けてもらった、満さんと純子さんの感謝の気持ちの現れでした。その祭壇の前に哲也君が一人でポツンと座っております。先ほどまで満さん、純子さん、松井さんも一緒

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