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フォートナイトから感じるメタバースの風味

ブロックチェーン技術は、メタバースを実現する技術の一つとして期待されていますが、はたしてメタバースとはどのような世界なのか。

ブロックチェーン、そしてNFTによって実現される世界の解像度を上げるために、今回は、メタバースを匂わせるサービスとして最も注目されているもの一つである、フォートナイトから感じる、メタバースの風味を体験視点で考察してみたいと思います。

実は僕、フォートナイトのプレイヤーでして、ここ半年ほど、純粋にプレイを楽しんでおります。

メタバースの定義

メタバースとは元々、SF作家「ニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)」による著作「スノウ・クラッシュ」の作中で登場するインターネット上の仮想世界のことを示した言葉だったそうです。

現在、メタバースの明確な定義は存在しません。本記事では、便宜的にメタバースの定義を「仮想空間に存在する自立した世界の集合体」と仮定して、考察を進めていきます。

「自立した世界」が一つのユニバースで、それらのユニバースが何らかの形で繋がり、集合体となったものがメタバースであるという解釈です。

メタバース

自立した世界を実現する要素として、下記があると考えております。

・一つの世界として知覚できる没入感がある
・何らかの形でリアルな世界とのつながりがある
・コミュニケーション等によって人間関係や人間社会が形成される
・経済活動が行われ、経済圏が存在する(自立経済圏が必要かは不明)
・現実世界と同様に、常にリアルタイムで物事が進んでいる

今後、メタバースの実現が近づくにつれ、必要な要素がさらにはっきりと見えてくると思います。

また、繋がりの要件には下記があると考えております。

・オープンで自由に行き来できること(一部、クローズドで決められた人しか入れないユニバースもあり得る)
・ユニバース間の経済がつながっていること(現実世界で各国の経済がつながっているように)
・仮想空間内に所有という概念が存在し、ユニバース間で横断的に所有物を使える(土地など、横断的に使えないものが一部あっても良い)

【コミュニケーション編①】ゲームを中心に人が集まるコミュニケーションプラットフォーム

まずは、コミュニケーション編ということで、フォートナイトの仮想世界で繰り広げられているコミュニケーションを実例とともにご紹介します。

今後、メタバースが実現された先に、仮想世界で繰り広げられるコミュニケーションの風味を、少しでも感じていただけたら幸いです。

フォートナイトには、ボイスチャット(音声通話)という機能があり、ゲーム内の他のプレイヤーと会話をしながらプレイができます。

また、ゲーム内にはフレンドという機能があり、フレンド登録すると、お互いにゲームにログインしていれば、好きな時に誘って一緒にプレイできます。

現実世界の友人をフレンド登録して、一緒にゲーム内で遊んでいる人もいれば、TwitterなどのSNSで新たに友達を見つけて、フォートナイトのフレンドになるプレイヤーもいます。僕の場合は、Twitterで見つけたフレンドさんと一緒にプレイを楽しんでいます。

フォートナイトという共通の趣味で一緒に遊んでいるため、ゲームプレイをネタに会話が盛り上がり、直接面識がなくても自然と仲良くなります。

普段、同じような時間帯にプレイしているフレンドさんが多いので、「ログインしたら誰かいるだろう」という感覚でゲームにログインします。つまり、フォートナイトが友達との溜まり場のような感覚なのです。

そして、プレイしながら会話などのコミュニケーションを楽しみます。

こういった点で、フォートナイトはゲームでもあり、コミュニケーションプラットフォームでもあると捉えることができます。

ただし、ここまではフォートナイトでなくても、会話機能がついたオンラインゲームであれば同じようなことが成立していると思います。

【コミュニケーション編②】仮想世界への没入感を強めるエモート

フォートナイトで特徴的なのは、エモートというモーション機能があるところです。エモートによって、ゲーム内のキャラクターを踊らせたり、ジェスチャーをさせたりできます。

エモートは、ゲーム内のアイテムショップで販売されており、毎日、販売されているアイテムが変わります。

そして、新たなエモートが時折販売され、エモートの種類は継続的に増えています。つまり、フォートナイトが続く限り、モーションのバリエーションは増え続けるということです。既に、エモートはかなりのバリエーションがあります。

フォートナイトのプレイヤー以外で知っていそうなダンスですと、カンナムスタイルやBTSのエモートが過去に販売されました。

エモートはコミュニケーションに花を咲かせる

このエモートがゲーム内でのコミュニケーションに花を咲かせ、なんとも楽しい雰囲気を作り出すのです。

ゲーム内のフレンドさんと、ボイスチャット(音声通話)をしながら、エモートをして、ノンバーバルなコミュニケーションとバーバルなコミュニケーションの両方で楽しむことができます。

先日、僕のフレンドさんがエイリアンに可愛いダンスを踊らせていて、キモかったので、「それやめてもらっていいですか〜?笑」と言って、盛り上がりました笑

また、ボイスチャットがなく、エモートのみの場合にも、なんとも言えない無言の愛嬌があり、それはそれで面白いのです。

ボイスチャットできないフレンドさんが、対戦で負けて泣いているエモートをしていると、「〜さん、泣いて悔しがってますね〜笑」と言って、他のフレンドさんと会話が盛り上がったりします。

言葉で伝えられない気持ちや意思をエモートで伝える様子が、なんとも愛嬌があるのです。言葉を喋れない赤ちゃんや動物の愛嬌に似ているかもしれません。

つまり音声ありと音声なしでは、面白さの質が違い、それぞれの良さがあるのです。

対戦相手とのコミュニケーションも生み出してしまうエモート

さらに、ゲームで戦っているはずの相手と、なぜかエモートでコミュニケーションが発生することがあります。

例えば、対戦中にエモートで愛嬌を出している敵を見逃したり、勝利(ビクロイ)を譲ったり、なんてこともたま〜にあったりします。

僕もエモートしている敵を見て、愛嬌を感じ、何度か戦いを見送ったことがあります笑

その雰囲気を存分に味わえる動画がこちらです。
※念の為言っておきますが、フォートナイトは銃で撃ち合い、相手を倒すゲームです笑

そして、ゲームの中でお店を開いて遊ぶ、なんて人がいたりします。

なぜか戦い相手のはずのプレイヤーと友情が芽生えてます笑

エモートは、キャラクターに感情や意思をのせ、没入感を高める

このように、エモートによって、キャラクターを介した感情や意思の表現が大幅に広がり、多種多様なコミュニケーションが生まれているのがフォートナイトの特徴です。

エモートによって自分の感情や意思をキャラクターにのせることができるので、キャラクターをアバター(自分の分身)として認識する要素が強いのではないかと思います。

アバター(自分の分身)として認識する要素が強ければ、その世界にいる感覚も強くなります。そのため、エモートが仮想世界への没入感を上げているのではないかと思います。

つまり、エモートが、フォートナイトの世界に「一つの世界として知覚できる没入感」を作り出していると考えています。

とはいえ、完全に自分の意思や感情と同期した表現までは遠く、自分とのシンクロ率は多くて10%程度といった感覚です。

完全に一つの世界として知覚するにはまだまだ距離があります。

しかし、フォートナイトのエモートから、メタバースで交わされるコミュニケーションの風味を感じられることは確かだと思います。

今後、メタバースを志向するサービスは、仮想世界への没入感を高めるために、プレイヤー自身の動作や表情をキャプチャーし、キャラクター(アバター)に反映させるような技術を導入していくと思われます。

また、VRデバイスのように視覚、聴覚をはじめとした五感で、仮想世界を知覚できる強度を強めていくことは確かです。

そして、キャラクター(アバター)がかなりの度合いで自分とシンクロし、仮想世界に自分が存在すると完全に錯覚するようになった時、ユニバースに必要な「一つの世界として知覚できる没入感」が成立すると考えています。

【ユニバース編①】ユニバースを匂わせるクリエイティブマップ

ここからは、ユニバース編ということで、フォートナイトで展開されているユニバース的なものから、メタバースにおけるユニバースのカタチを考察していきます。

メタバースにおいて、個々のユニバースがどのように存在し、どのように繋がりを作るのか。解像度を上げていければと思います。

多種多様な遊びを提供するクリエイティブマップ

フォートナイトは、バトルロイヤルというジャンルのゲームがメインコンテンツなのですが、それ以外にもクリエイティブマップというコンテンツで遊ぶことができます。

クリエイティブマップは、ユーザーが作ったミニゲームのようなものです。

いわゆるUGC( User Generated Content)です。

クリエイティブマップは、自由度高く作ることができ、非常に多くのユーザーによって作られているため、内容は多種多様です。

例えば、下記などがあります。

・ファッションショー
・出会い系マップ
・野球ゲーム
・アスレチックゲーム
・脱出ゲーム
・バトルロイヤルの練習用マップ

雰囲気がわかるように「出会い系マップ」の動画を載せておきます。

クリエイティブマップを繋ぐポータルの存在

フレンドさんと遊ぶときは、バトルロイヤルだけでなく、クリエイティブマップで遊ぶことも多いです。

フレンドさんとボイスチャット(音声通話)を繋げたときは、最初に「まず何しましょうか〜」という会話から始まります。

そして、クリエイティブマップで遊ぶことになった場合、クリエイティブハブというスペースに移動します。

クリエイティブハブ自体が一つのマップとなっており、様々なクリエイティブマップを繋ぐポータルとなっています。

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フレンドさんとクリエイティブハブに移動した後、「どこのマップで遊びましょうか〜?」という会話になり、遊ぶクリエイティブマップを選びます。

クリエイティブマップが決まったら、そのクリエイティブマップをロードし、移動します。

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この画像のように、クリエイティブマップをロードすると、ゲート(入り口)が現れます。キャラクターがゲートをくぐると、ロードしたクリエイティブマップに移動できるのです。

そして、クリエイティブマップで遊び終わると、フレンドさんと「一旦、ハブに戻りましょう!」と会話し、ハブに集合します。

現段階では、クリエイティブマップはミニゲームという感覚であり、ユニバースと言えるほど広大なものでもなければ、先にあげたユニバースに必要な要素は満たしてません。

しかし、クリエイティブマップをユニバースに置き換えて考えるとどうでしょう。

クリエイティブハブとクリエイティブマップを行き来する体験は、まさにユニバース間の移動。様々なユニバースが繋がり、自由に行き来できる、メタバース的な体験が垣間見えるのではないでしょうか。

このような点で、クリエイティブハブとクリエイティブマップはメタバースを匂わせる体験になっているのです。

クリエイティブマップを徐々に進化している

なお、フォートナイトの開発・運営会社であるEpic Gamesは、より広大で多様なクリエイティブマップが作れるように、徐々にアップデートを繰り返しています。

例えば、下記の要素をアップデートしています。

・マップへの参加人数(現在:最大50人)
・マップサイズ(現在:155×155タイル)
・コンテンツの自由度

特に、クリエイティブマップ用のエディターがUnreal Engineに対応することが2020年末に発表されており、今後、コンテンツの自由度が大幅に高まることが予想されます。

このような動きから、クリエイティブマップは今後、ユニバース的なものに近づいていく可能性が伺えます。

【ユニバース編②】異世界を繋げるコラボ

フォートナイトはこれまで様々なコンテンツとコラボを行い、スキン(キャラクター)を販売してきました。

日本でも知名度があるものですと、

・バットマン
・スターウォーズ
・マンダロリアン
・ストリートファイター
・ターミネーター
・アベンジャーズ(アイアンマン、ウルバリンなど)

などがあります。

フォートナイトと異世界を繋ぐ演出

単純なキャラクターコラボだけであれば、多くのゲームで行われているのですが、フォートナイトでは、ユニバースを匂わせる演出がされています。

こちらの動画はストリートファイターとのコラボの際に、ゲーム内で演出されたものです。

ストリートファイターの世界からフォートナイトの世界にキャラクターが転送される様子が演出されています。

つまり、この演出では、ストリートファイターとフォートナイトが、それぞれ一つのユニバースとして設定されており、キャラクターがユニバース間を転送される様子を描いているのです。

さらに、この転送の演出は、フォートナイトのゲーム世界のストーリーともリンクしています。

演出動画に出てくるスーツを着たキャラクターは、フォートナイトの主人公のような存在で、ミッション遂行のために異世界から協力者を集めています。つまり、ミッション遂行のために、ストリートファイターのキャラクターをフォートナイトの世界に呼び寄せた、という設定になっているのです。

このように、フォートナイト世界のストーリーとコンテンツコラボの演出・設定をリンクさせることで、コラボ先の世界とフォートナイト世界の繋がりを感じられる体験を作り出しています。

ユニバースに合わせて変化するキャラクターのアートスタイル

Epic GamesのCEO「ティム・スウィーニー(Tim Sweeney)」は、メタバースに触れたインタビューで下記のように話しています。

“Fortnite has been bringing brands into its universe in an art style that matches the game world, which is more cartoon-like. In the future, those brand assets could be automatically stylized to match the world that they’re going to be used in.”

「フォートナイトは、自身のゲーム世界にマッチするカートゥーン風のアートスタイルに変換し、ブランドを自身のユニバースに招き入れてきました。将来的には、これらのブランドは、使われる先の世界に合わせて、自動的にスタイル変更されるようになるでしょう。」

このインタビューから、Epic Gamesは、メタバースが実現した世界では、ユニバース間の移動時に、移動先のユニバースの世界観に合わせて、キャラクターの見た目(アートスタイル)が変化するような世界を描いていると思われます。

先のストリートファイターのコラボ動画でも、転移前は、昔ながらのストリートファイターのビジュアルで描かれており、転移の瞬間にフォートナイトの世界に合わせたビジュアルに変化しています。

こういった点において、フォートナイトのコラボでは、メタバースの実現を意識したコンテンツ連携や演出などが試されているのだと考えられます。

【ユニバース編③】マルチバースをつくり出すバットマンコラボ

ここ最近、Epic GamesのCCO(Chief Creative Officer)であるドナルド・マスタード(Donald Mustard)が非常に高い熱量で、バットマンとフォートナイトのコラボを進めています。

このコラボは、バットマンとフォートナイトの世界(ユニバース)が相互接続したマルチバースを作るというビジョンのもと行われており、バットマンとフォートナイトが交差(Crossover)した世界を描くコミックが発売されています。

このコミックの第一話では、バットマンがフォートナイトの世界に転移してしまうところから物語が始まります。今後は、フォートナイトの世界で繰り広げられるバットマンの物語が綴られていくと思われます。

そして、ゲームの中でもこのコラボに対応したバットマンのキャラクター(スキン)が販売され、コミックの世界とリンクするのではないかと推測してます。

コラボの鍵となるマルチバースという概念

なお、マルチバースとメタバースは似た雰囲気の言葉であるため混同しそうになりますが、少し由来が異なります。

マルチバースは、「宇宙は一つではなく複数存在し、パラレルワールドがいくつも存在する」という考え方です。物理学や宇宙論などで議論されているそうです。つまり、メタバースが仮想空間を対象にした概念であるのに対して、マルチバースは現実世界を対象とした概念だと言えます。

マルチバース

一方で、本記事の序盤で仮定した「仮想空間に存在する自立した世界の集合体」という定義と照らし合わせると、マルチバースとメタバースは非常に共通点の多い概念だと捉えられます。

そもそも仮想空間は、物理法則や自然現象、生態系、人間社会など、現実世界の構成要素を参考に作られるものですから、メタバースもまた、マルチバースという現実世界の概念を参考に作られていくのだと思います。

実は、バットマンのようなアメコミでは、マルチバースの考え方が多く取り入れられてます。アメコミは長い歴史があり、新しい世代の読者を取り込むために、時々世界観をリセットして、新たな視点でストーリーを作り直し、新シリーズを始めたりしています。

昨今では、人種や性別などの多様性に着目し、もともと原作コミックでは白人だった主人公を、別作品では黒人に変えて作られたりしているそうです。

詳しくはこちらの記事で解説されています。

このように、マルチバースという概念が根付いているアメコミとコラボすることで、フォートナイトの世界と他の世界とのリンク(接続点)を直感的に理解できるように、ストーリーを設定しているのだと考えられます。

空想世界との接続点となるフォートナイト

また、バットマンとのコラボコミックに関して、ドナルド・マスタードをインタビューした記事では、このように述べられています。

The world of Fortnite is specifically presented as a sort of nexus point between realities, allowing characters from any number of familiar universes to drop in and intermingle.

フォートナイトの世界は、いくつものユニバースのキャラクター達が立ち寄ったり、交わったりするための、現実との接続点(Nexus Point)としてはっきりと描かれています。

つまり、フォートナイトを、アメコミなどの空想世界のキャラクター達と現実世界を繋げる役割を担う接続点として位置付けているのです。

これは単にコミックの中の設定ではなく、将来的にメタバースが実現した時に、フォートナイトを空想世界のキャラクター達と現実世界を繋げるユニバースに発展させて行こうとしているのではないかと推測されます。

メタバースの上位概念となるマルチバース

おそらく、マルチバースの中に空想世界、仮想世界(メタバース)、現実世界が並行して存在するという考え方なのではないかと思います。

マルチバース2

つまり、Epic Gamesは、メタバースよりさらに広範な概念として、マルチバースの世界を描いているのではないかと推測しています。

バットマンとのコラボは、フォートナイトのユニバース(世界)と他のユニバースとの接続点を増やし、この壮大なマルチバースを築くための布石、もしくは実験的施策だと考えられます。

余談ですが、日本で布石づくりとして、同様のストーリー展開するのであれば、最近アニメで王道となっている異世界転生系の設定は、マルチバースと非常に相性が良いと思います。

【未来像編】フォートナイトが示唆するメタバースのカタチ

最後に、未来像編ということで、フォートナイトが示唆するメタバースのカタチを推測していきます。

バットマンコラボから読み取れるマルチバースの考え方とクリエイティブハブの体験から、メタバース及びマルチバースの世界はこのようなカタチがあり得ると考えています。

ハブユニバース

冒頭で、メタバースの定義を「何らかの形で繋がったユニバースの集合体」であると仮定しましたが、その「何らかの形の繋がり」をつくるものの一つとして、ハブユニバースが存在するカタチです。

「様々なユニバースを繋ぐハブとして機能する」という点で、ハブユニバースと仮称してます。

このカタチでは、ハブユニバースは、メタバース内だけでなく、現実世界や仮想世界、空想世界などの様々なユニバースをつなぎ、マルチバースを横断的に体験できる接続点として、役割を担います。

また、ハブユニバースを介さないユニバース間の繋がりも存在するものの、効率良く多数のユニバース間を行き来する場所としても、ハブユニバースが存在し得ると考えてます。

ハブユニバースは、インターネットでゆうところの検索サイト(Google、Yahooなど)のような役割になると思います。

インターネット上のサイトは、それぞれ独立して存在し、サイト内のリンクやURLの直接入力などで、検索サイトを介さずにアクセスすることができます。

しかし、効率良くサイト(記事やWebサービス、会社、お店など)を見つけるために、検索サイトが頻繁に使われています。

同様に、メタバースならではの利便性を得るために、ハブユニバースが存在する可能性が大いにあると考えています。

そして、フォートナイトはハブユニバースの一つになる可能性があると思います。​

その布石となるものがクリエイティブハブやバットマンコラボだと考えています。

ユニバースをつなぐ空間となり得るクリエイティブハブ

ご紹介した通り、クリエイティブハブは既に、クリエイティブマップへの移動拠点となっています。

現在、クリエイティブマップはフォートナイト内のミニゲームという規模感ですが、先に紹介した通り、規模の拡大や自由度を高めるアップデートが徐々に行われております。

このアップデートの先に、クリエイティブマップが一つのユニバースとして成立するレベルにまで進化する可能性は十分にあり得ます。(道のりはかなり長いですが。)

現在のクリエイティブマップは、ツールやサーバー環境などがフォートナイトに依存した状態ですが、進化の過程で、サードパーティー製ツールや自前サーバーでのクリエイティブマップ運営も提供される可能性もあります。

そして、クリエイティブマップがユニバースとして成立すると、クリエイティブマップのハブ(クリエイティブハブ)を備えたフォートナイトは、自ずとハブユニバースになります。

また、クリエイティブマップではなく、第三者が独自に作ったユニバースが、クリエイティブハブに繋がる可能性も十分にあり得ると思います。

クリエイティブハブ

ここまで来ると、オープンに開かれたメタバースが実現すると考えています。

ストーリーと設定で繋がる空想世界

先に紹介したバットマンコラボでは、ストーリーや設定によってバットマンの空想世界とフォートナイトの仮想世界を繋ぎ合わせています。

バットマンコラボ

現時点(2021年4月)では、ストーリー展開がコミックのみであるため、フォートナイトの世界(仮想世界)が空想世界(コミック)側に寄ったカタチになっています。

しかし、このコミックで活躍しているバットマンが、フォートナイトのキャラクター(スキン)として現れたらどうでしょう。

さらに、コミックとリンクするストーリーや設定も合わせて登場したら。

おそらく、「空想世界のバットマンがフォートナイトの世界(仮想世界)にやってきた」という感覚が生まれ、プレイヤーの頭の中に空想世界との繋がりが生まれることと思います。

量子力学的な考え方に近くなりますが、「プレイヤーが認識すれば、繋がりは存在する」と解釈できます。特に、多くのプレイヤーが同様の認識を持ち客観性が増すほど、その繋がりは現実味を帯びていき、実在する繋がりへとなっていきます。

人々の空想(もしくは幻想)が現実となっている例をあげると、お金です。お金は元々、価値が不明な金属や紙切れに対して、人々が価値があると幻想を抱くことで成り立っています。

多くの人が幻想を共有し、共同幻想となることで、お金は価値があるものとして実在できているのです。

そのため、バットマンコラボのようなストーリーや設定が仮想世界と空想世界の繋がりを実在するものに変えることも、あながち夢物語ではないと思います。

そして、バットマンコラボのようなコミックを初めとし、ストーリーや設定をつくり込むことで、様々な空想世界とコラボを広げ、フォートナイトは空想世界とのハブになっていく可能性を秘めています。

メタバースを広大に広げ、さらに広範なマルチバースにまで広げる一つのアプローチとして、「ストーリーや設定で人々の頭の中にユニバース同士の繋がりをつくる」という手段は、重要な役割を担っていくのではないかと思います。

最後に

フォートナイト推しのような内容になってしまいましたが、具体例を交えて考えると、解像度高くメタバースの世界観をイメージできると思い、フォートナイトを中心に考察を進めさせていただきました。

まだまだ定義が曖昧で、言葉や概念だけが一人歩きしている感もあるメタバースですが、具体例を交えることで、少しでもメタバースの輪郭が見えてくれば良いと考えております。

また、フォートナイトと冒頭のメタバースの定義(仮定)を比較して、違いを浮き彫りにすることで、メタバースの実現に必要な要素を考察しようと思っていましたが、記事が恐ろしく長くなるため断念しました。またの機会に考察したいと思います。

その他、本記事では、技術視点での考察やオープンメタバース、クローズドメタバースなどに触れることができませんでした。今後、これらの観点でもメタバースに関する考えを深めていきたいと思います。

なお、本記事で最初に仮定したメタバースの定義は、オープンメタバースを志向した定義になります。あくまで、メタバースがとり得る一つの可能性を仮に定義したものだと捉えていただければと思います。

参考記事

今回、メタバースに関する考えを整理するにあたって、いくつか記事を参考にさせていただきました。

いずれも示唆に富んだ内容でしたので、簡単にご紹介させていただきます。

オープンメタバースの議論

本記事で深く触れることができなかった、オープンメタバースとクローズドメタバースに関して、詳しく解説されています。

フォートナイト・マルチバースを拡大するバットマンコラボ

バットマンコラボとマルチバース構想に関して、Epic GamesのCCOのドナルド・マスタード(Donald Mustard)にインタビューした記事です。バットマンとのコラボで、フォートナイトがどのような世界観を作ろうとしているのかが詳しくわかる記事です。

Epic GamesのCEO「Tim Sweeny」が考えるメタバース

メタバースに対する考えを、Epic GamesのCEO「ティム・スウィーニー(Tim Sweeney)」にインタビューした記事です。Epic GamesおよびそのCEOのメタバースに対する考えがわかる内容です。

メタバースを構成し得る各種技術によって生み出される世界

元スクウェア・エニックスの社長でもあり、僕の元上司でもある和田洋一さんの記事です。本記事は、メタバースをテーマとしてはいませんが、5G、AI、IoT、Blockchain、XR、Cloudなど、メタバースを支えると期待されている技術を中心に、世界に起こる変化がイメージできる記事です。

おまけ:フォートナイトのバーチャルライブだけ見た人が感じ取れなかったであろう感覚

2020年、フォートナイト上で、有名ラッパーのトラヴィス・スコットや米津玄師のバーチャルライブが開催されて話題になりました。

ITベンチャー界隈を中心に、メタバースを予感させるという話題性もあり、フォートナイトのプレイヤー以外でもイベントに参加した人は多いのではないでしょうか。

僕も当時は、非プレイヤーでありながら、米津玄師さんのバーチャルライブに参加しました。

しかし、プレイヤーでなかったこともあり、そこまで大きな感動はありませんでした。

もちろんバーチャル空間で、キャラクターを自由に動かしながら、ライブを体験できる楽しさはありましたが。

しかし、フォートナイトの世界にどっぷりと浸かった人にとっては、全く違った体験だったと思います。

もし、今、フォートナイトで自分の好きなアーティストのライブが開催されたら、間違いなく感動する思います。

これは、昔、大学の学園祭で好きなアーティストのライブが開催され興奮したあの感覚に近いと思います。

つまり、「自分の居場所にアーティストが来る」という感覚がプラスアルファの感動や興奮を生み出すのではないかと考えています。

メタバースが実現し、自分が日頃滞在するユニバースができると、そのユニバースで有名アーティストがライブを開催すること自体が感動や興奮を生み出すことになるかもしれません。

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