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英語にとって「数えられる」とは?

この記事から学べること

• 英語と日本語での「数え方」の違いが明確になる
• 可算名詞・不可算名詞を暗記する必要がなくなる

多くの参考書には「この名詞は数えられる」「この名詞には a がつく」といった表現が溢れています。けれど、英語はコミュニケーションためのツールなので、何かしらの目的があって、つまり伝えたいことがあって「名詞を数えている」または「a を必要としている」はずです。

「なぜ数えているのか」及び「何を数えているのか」という背景が理解できれば、暗記が不要になるだけでなく、コミュニケーションがより豊かになり、英語がもっと楽しめるようになります。

この記事では、ネイティブスピーカーの「数える感覚」について解き明かし、日本語との基準の違いを示したいと思います。次回以降の記事では、"information" や "luck" といった単語を取り上げ、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。

「数えられる」とは「単位として機能する」ということ

英語と日本語では「数える」基準に差異があります。この違いに気づかないまま英語を学ぶと、文法がデタラメに感じられることがあります。そこで最初に、両言語の「単位性」の違いを探ります。言葉だけでは理解が難しいので、イラストを使って解説します。

以下のイラストを見て、動物を日本語で数えてみてください。

おそらく多くの方が「サルが一、犬が二、猫が二、ネズミが三」というふうに数えるでしょう。サルや犬には「頭」という単位を使うこともできますが、回答の多くは「動物」を数えるための単位「匹」でカウントされます。

では、同じイラストをもう一度数えてみます。ただし、今度は英語で。

"One monkey, two dogs, two cats, and three rats.”

この比較から何が明らかになるのは、英語には「匹」といった大雑把な単位が使われていないことです。そしてさらに重要なのが、英語では数を数える際、名詞自体が単位として機能している、という点です。

この違いの理解が欠けていると、英語の名詞を見たときに「なぜ数えられないのか?」と混乱する原因になります。日本人にとってモノを数えるという行為は、その対象を収められる大きな枠組みを見つけることに他ならず「動物だから」「細ながいから」「薄っぺらいから」といったアバウトな理由さえあれば,それらを「数えられる」と判断することに慣れているからです。

一方で英語というのは、名詞自体が単位として機能している言語です。よって、名詞が数えられるかどうかは、その名詞に「one」として機能する明確な基準があるかどうかに依存しているのです。

"monkey" や "dog", "cat", "rat" といった名詞は「数えられる名詞」として扱われますが、その理由は、これらの名詞には "one" とする基準が明確に感じられるからです。一匹のサルをみて、"two monkeys" と数える人はいないし、二匹の犬をみて、"three dogs" と数える人もいない。つまりそこには、しっかりとした基準が存在しているわけです。

 ではここで "information" という純粋不可算名詞について考えてみましょう。"information" は日本語で「情報」と訳され、日本語の感覚だと「一つ、二つ」と数えることに正当性があるような気がします。

しかし、英語で数える際、その基準となるのは、あくまでも「"one" と数えられる基準が感じられるか否か」です。それが感じられるのであれば,"one information, two informations" と数えることには合理性があるでしょうし、"informations" という形も成立することになる。けれど、そうした基準が "information" にあるでしょうか?

 答えはもちろん「ない」となるわけですが,その説明は、次回の記事「なぜ information は数えられないのか」にて詳しく説明したいと思います。

今回、学んだこと

・英語と日本語では「数える」基準がことなる
・英語では名詞が単位としても機能する


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