情報と数える概念:なぜ "information" は数えられないのか?
前回の記事では、英語と日本語の「数え方の違い」について掘り下げてみました。
今回の記事では、その前提に基づいて、"information" という単語が、なぜ "a information" や "informations" といった可算の形をとりえないのか、この解説を進めていきます。
"information" を数える難しさ
前回の記事で紹介した「英語における単位性」を理解していれば、"information" が不可算名詞である理由は論理的に説明できます。
ここではその理由を示すため、下の画像の中に、いくつ "information" があるのか考えてみましょう。
上の画像に示された「情報」は、ニューヨークに実在するBOOK OFFのものです。アドレスと電話番号は実際のもので、アメリカでこの手の情報を表記するときに用いられる典型的なフォーマットです。
では、この紙にはいくつの "information" があるでしょうか?
日本語と英語の「数える基準の違い」を理解していないと「住所が一つ、電話番号が一つ、地図が一つ、全部で三つ」もしくは「ブックオフに関する情報がひとつ」のように数えたくなるかもしれません。けれど、この感覚は日本語に根ざしたものです。
名詞とは単位そのもの。しかし、"information" にはその基準がない
前回の記事で説明したとおり、英語を話す人たちが名詞を「数えられる」と判断するとき、それは「単位として機能できるか」という意味に他なりません。ある人が "one information" として数えたものを、別の人が "three informations" と数えるのであれば、その名詞は単位としての役割を果たせていない。つまりそれは「数えられない名詞」ということになる。
それでは、「情報」を "one information, two informations" として数える基準は何でしょうか?
「見当もつかない」としか答えようがありません。
英語の感覚をもちいて、画像の情報を数えるなら、"one address, one phone number and one map" といった方法が考えられます。"address," や "phone number," "map," こうした名詞は「数えられる名詞」として扱われますが、それは "address" や "phone number" が数える基準を感じさせるからです。
言ってみれば、画像から "two phone numbers" のように読み取る人はいない。常識からいって、可能性がないわけです。
一方で、"information" というのは、そうした基準が感じられません。例えば "49 West 45th Street" の一部だけ取り上げてみても、"4" は情報ですあり、"49" も"W" も "West" も情報です。さらに言えば、「大文字や小文字」「色」「手書き」も情報と言えるでしょう。
このように information には、決まったフォーマットがなく、無形有形あらゆる形で存在しています。よって数える名詞としては使えない。単位として用いることはできないのです。
結論
繰り返しになりますが、英語にとって名詞というのは単位そのものです。"two informations" や "three informations" という形にして使いたいのであれば、そもそもその根拠となりうる何らかの基準、"one information" が確立されていなければなりません。
しかしながら、これまでに説明してきたように、"information" にはそうした基準がありません。よって、"a information" や "informations" といった形を取ることのない純粋不可算名詞に分類されるのです。
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