博士後期課程の3年間で「良かった」と感じた5選

2023年3月27日、私は博士(理学)を取得しました。これまで支えてきてくださった皆様、誠にありがとうございます。
この記事では、博士後期課程を3年間過ごして、私個人が「良かった」と感じたことのみを5選としてまとめてみました。

私個人の自分史を語ってもいいかもしれませんが、この記事では研究内容や個人特有の話はなるべく避けて、「博士」をこれから目指す方にとって少しでも参考になればという気持ちでまとめています。


1. 同期がいて良かった

一緒に博士後期課程(以下、博士と省略します)を過ごす同期がいたことがとてもよかったです。私の場合は専攻で博士に進んだ同学年が私含めて2名だったので、同期1人と切磋琢磨しながら博士を過ごしました。
とはいっても、研究室も研究分野も異なり、ずっと研究の話をするわけではありませんでした。また、学部や修士のように定期的に受ける授業があるわけではないですし、COVID-19による感染拡大の影響によって自宅での研究活動がお互いに増え、長い時には半年に1回くらいしか会わない時もありました。

では同期がいて何が良かったかというと、
「何かあれば相談できる相手がいる」「同じ立場の人間がいる」
という安心感が大きいです。

私の過ごした研究科は教授と学生の距離も近く、後輩や先輩と話しづらいこともなかったので、相談する相手がいないということは無かったのですが、それでもやはり同期という対等に気兼ねなく話せる相手がいたというのは、安心感がありました。
また、悩んだことや突然のトラブルについても話せたことがとても良かったです。同期には感謝しかありません。

2. 研究室の雰囲気が良くて良かった

元々、「雰囲気が良い研究室に行く」は個人的に研究活動をする上でとても大切にしていました。
私は修士と博士で研究室を変える、というあまり例が多くない進学をしていたので、最初は何も研究室の様子が分からず少し不安もありました。
後輩からしたら、突然違う研究室から博士の先輩が入ってくるわけですから、少なからず戸惑いもあったかと思います。
でもそんな中、先生も後輩もあたたかく迎えてくれて、とても良い雰囲気で研究を進めることができました。
コロナ禍でたくさん交流ができたわけではなかったけれど、一緒に学会に行って温泉入りながら語り合ったり、ご飯食べに行ったり、遊びに行ったり、研究以外でも楽しく交流できて良かったです。

と、終わるかと思いきや、私の場合は博士の3年目(D3)でまたもや研究室が変わるという異例の事態があり、修士の頃にお世話になっていた研究室に戻りました。
この時も、異動先の研究室に所属する後輩からしたら、「突然違う研究室から博士の先輩が入ってくる!?」わけですから、戸惑いや驚きもあったかと思います。
ですが、ここでもまたあたたかく迎えてくれて、本当に素晴らしい雰囲気で博士論文をまとめることができました。
特に修士2年の後輩たちは、当時学部3年の頃に一緒だったこともあり、仲良くさせていただきました。

博士2年目(D2)までいた研究室の後輩とも継続して交流もできていましたし、博士3年目(D3)でお世話になった研究室の後輩とも新しく共著で研究できて、結果的にはとても充実した1年を過ごすことができました。

3. 若手研究者の知り合いがいて良かった

学部の頃に学会で知り合った他大学の学生と交流が続き、博士になってからはその人たちと研究して論文書いたりご飯食べに行ったりしました。
結果的に、その研究は私の博士論文の中に組み込まれ、研究テーマの一角となっているので、とても良かったなと感じています。
一緒に研究してるメンバーは修士を修了して社会人ではあるものの、企業でそれぞれ活躍されていて、中には社会人博士もしていたりと、話すたびに刺激がもらえる良い環境です。

また、他大学の博士や助教、講師、企業で研究されている研究者の方々と学会で交流できるようになったのはとても嬉しく感じています。
研究活動は一人で考える時間も多く、何度も「この研究やってて良いのかな」「これって世の中の何に役に立つんだ?」とモチベーションが下がることがありました。
そのようなときに、歳が比較的近い若手研究者の方と話していると、「このままじゃダメだ!もっと頑張らなきゃ!」と思ったり、「一緒に〇〇(トップ国際会議採択)目指そう!」と言われモチベーションが爆上がりしたりしました。(今でもします。)

もちろん一緒にゲームしたり、通話して雑談したり、飲み会したりする友達も心の救いになり、いて良かったなと思いますが、こと博士を過ごす、博士号を取得する、という意味では若手研究者の知り合いの存在はとても大きかったと思っています。

4. 学会やイベントに顔を出していて良かった

コロナ禍で学会がオンラインであることが多かったこともあり、自分が主著として発表しない学会にも気軽に参加できたことはとても良かったです。

一人でこもって研究することも時には大切だとは思いますが、やはり行き詰まることも多かったので、学会に参加して他の研究分野に触れたり、発表を聞いて刺激を受けたりできたことはとても良かったです。

また、修士と博士で研究室を変えたこともあり、先生から誘ってもらえることで修士までは触れることがなかった研究分野の学会やイベントの情報も入り、たくさんの刺激を受けました。

さらに、2.3.の話とも被りますが、色々な人と出会い、交流することができたことはとても良かったと感じています。
大学や分野によって修了要件が異なるので一概には言えないかと思いますが、修了を目指すだけであれば、ジャーナル論文誌や国際会議の採択など質の良い研究・論文のみに取り組めば良いと思いますし、そういう方も多いかと思います。

私も博士1年次には、そういう研究の進め方をしなくては修了できないと思った時期もありました。(コロナ禍でほとんど動けなかったこともありますが)
しかしながら、私の性格上、そのような研究の進め方はあまり効果が出ず、結局行き詰まり、成果も出ず、精神をすり減らし、体調を崩し、完全な悪循環になってしまいました。

それから、一度修士までの研究スタイルに戻し、査読の有無関わらず、多くの研究会や学会、イベントに参加するようにしたところ、結果として成果も増え研究の質も上がっていきました。

行き詰まったらとりあえずなにか参加してみる、というのは、良い効果を得られることもあるかもしれない。と、博士で過ごして気づいたことです。

5. トレーニングジムに行って良かった

ここにきて急に筋トレ!?となるかもしれませんが、これはとても効果があったと感じていて、良かったと思っています。

博士になるとき、博士経験者の方々が書いている記事をたくさん読ませていただいたのですが、
「博士は精神安定が一番大事!体力勝負!筋トレ!」
といった内容の記事を読んで、「本当かよ」と思っていました。

実際に3年間過ごしてみて、今の感想は
「精神大事!!筋トレ大事!!!」です。

何度も言うように、コロナ禍で外出制限もあり、家にいる時間が長かった3年間でした。
修士の終わり頃から、ジャーナル論文誌の締め切りが近づいてくると腹痛に襲われるようになり、提出が終わると急に体調が良くなる、という完全に精神的なダメージが身体に影響が出るようになっていました。
その後、博士の1年目は成果もなかなか出ず、生活習慣も乱れまくりました。
博士2年目に入ってすぐの頃、論文締め切り近くで腹痛に加え、めまいや身体がほてる感覚や、ふらつきも起き、流石にやばいと思って病院にいきました。いろいろ検査してもらったものの、結果異常は特になく、お医者さんからは「生活習慣を正しましょう」とだけ言われました。

そこで、まずパーソナルジムに通うことにしました。
(正直とても高価だったのですが、体調が不安定な期間がずっと続くことを考えると必要経費だと思い決断しました。結果としては良かったと思っています。)

それから今日まで、たまに体調が悪くなることはあるものの、前に比べて随分とよくなりました。
ジムでトレーニングしている間は必死すぎて研究や色々なことを考える余裕がないので、結果として気分転換になっています。
また、最初は全くできなかったトレーニングもできるようになったり、身体がカチコチになっていた部分をストレッチで柔らかくしたり、筋肉もついてきたり、目に見えて身体が健康になっていることがわかってモチベーションも上がりました。

(2024年6月追記)
社会人として1年間過ごして気づいたことは、この「パーソナルジムに定期的に通う」という"時間の縛り"があったことも良かったのかなと思っています。
社会人になると、どうしても仕事の方が時間の縛りがあるためジムに行くのは「スキマ時間に行く」ほうがやりやすいと感じています。博士の頃は、強制された時間の縛りが少なかったため、定期的に決められた時間にトレーニングをすることがリフレッシュになって良かったと思っています。

おわりに

博士号を取得するまで3年間過ごした中で、特に良かったなと思ったことをまとめてみました。
いや、ほとんどコミュニケーション系の話じゃん!と思われた方、すみません。
もちろん、研究活動も個人的には頑張ったつもりですし、3年間の成果をしっかりとひとつの博士論文としてまとめたことは、博士に行った価値だと感じています。
ただ、その博士として活動した3年間の過程で、たくさんの素晴らしい方々と交流できたことは、これからの人生にも大きな意味を持つと思いますし、博士だからこそ味わうことのできた素晴らしい経験だったと感じています。

書きたいことはたくさんあるので、また気が向いたら自分史を書こうと思いますが、今回は良かったことだけをまとめて書きました。

この5選以外にも、これまで支えてきてくださった親友、友達、家族、皆様に感謝申し上げてこの記事を終わりたいと思います。本当にありがとうございました!

もし、この5つを選んだ理由や裏話を知りたい方、博士3年間お疲れ様と投げ銭をいただける方がいましたら、泣いて喜びます。

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