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2022年4/8(金)の朝。いよいよオープンを迎える

4月8日、お釈迦さまの誕生日、LIGHT & DISHES Lab.は無事グランドオープンを迎えた。この日に決めたのは実家が寺というのもあり、ちょうど今年2022年は金曜日だったので週末はきっと人も集まりやすいのではないかとと言うあまり面白くもない理由だ。今年に入ってからここまで、本当にいろいろあったしもちろん簡単な道のりではなかった。それを言うならば、今年どころか去年の10月くらいに遡らなければいけないのだけれど、そう過去を振り返ったところで時間は止まらず前に進んでいるので、明らかに今後の明るい未来につながるようなことを踏まえて書いてみたい。


1月と2月は、自分との闘い

解体後の現場。天井が4.5m。

LIGHT&DISHES Lab.の場所は、縁に導かれ思いが通じたようなところ。1Fが駐車場と中二階になっていて、その上の階を含めて1棟貸しだ。立地は北向きで、昼間それほど日光の影響を受けない。大家さんと不動産屋さんの計らいで、とても良い条件で借りれた。のだけど、中身が古く、、そして光の効果を見せるには天井が高いほうが効果的という理由から、中二階を無くすのと上の階を倉庫と事務所にするべく解体、そして施工というプロセス。解体まではなんとかスムーズで、そして現れた天井高4.5mという願ってもない環境、、ということはお金がかかるということ。そう、出てきた施工見積もりは・・予想以上に高った。今回の事業は、事業再構築補助金の採択が決めてでもある。がしかし、思いのほかお金がかかる内容に、一気に気持ちが凹んだ2022年の初め。諦めることと貫くことの選択と、これはいずれ誰かがやらなければならないことという決心、そんな自問自答な日々だった。2月は補助金事務局と何度も電話でやりとり。あまりに複雑でどんどん混乱するような状況に入り込み、現実逃避したくなった。
自分のリサーチ不足、予算取りの力不足に情けなくなり、冬の寒空に悲しく泣きたくなることしばしば。でも容赦無くどんどん現場の施工は進んでいった。

3月は、もう未来しかない ! オープンへ怒涛の日々

3月の中旬、椅子とテーブルが入る。照明はまだ。天井からコネクターが剥き出しで出ている。

3月3日桃の節句の日、待ちに待った補助金の交付決定の連絡があった。これは、採択通知の時よりうれしかったのではないだろうか・・! これで、申請どおりのことを行えばきちんと申請したお金がおりるのだ。2月のどんよりした気分はもうすでに無かった。現場も、照明以外ほぼ完成に近づいていた。みるみる変わっていく空間に鳥肌が立つ。4.5mという天高は思った以上に迫力だ。3月の半ばには、椅子やテーブルの家具が納品されて、ハイカウンターの無垢のウォールナット天板の存在感、同じくウォールナットのテーブルTIME&STYLE  / Bridge acrossと、マルニ木工 Tチェアが入る。空間力半端ない。同時並行し、厨房備品を手配したり、江東区保健所に届出と毎日があっという間に終わっていった。オープンのお知らせ案内状の手配もしていた。
あー !! 残すは照明のみ。。

照明のための空間だからこそ光の質で表現できることがある

排煙窓から天気の良い日は午後必ずこの日差しが差し込む。北向きの立地だが、気に入っている

そもそも、この場所をつくりたいと思った理由がある。ずっと照明に関わってきて、独立してからのこの7年近くの間にいろんな経験をさせてもらった。その中で、照明は他のデザイン分野の中でもマイノリティなのだということを強く感じた。ネットで買い物が当たり前にできる時代、見た目で決めた
照明器具や名作照明はポチれるが、その後はどうだろう ? 形で選んで、環境に合う合わないの問題が発生する。"名作だからしょうがない" "きっとこれしかないし、照明は難しいから"という最もらしい言い訳で過ごしていることが多いと思う。独立してから飲食店をやりながら、照明に関する取材やリサーチをさせてもらう中で至った見解だ。店に来る人たちは、白熱光を調光で絞った温かみのある光の下で心地よく過ごしている。もしかしたら照明の詳しいことなんて、知らなくても本当は良いのかもしれない。でも、もし興味を持って知っていったら、生活が必ず変わるはず。そう思ったのはLEDのメーカー、シチズン電子 と開発したLEDが料理を美味しく見せると確信したからだ。
照明を理解してもらうには"空間で体感する" ことが一番の方法だ。そのための場所が必要だった。この開発したLEDは、市場初。まだどこの照明メーカーも使ったこがない。だから、製作してくれたライティング創さんは、大変だったと思う。そしてやっと3月の後半3/23に全ての照明が設置され整った。点灯した時、スマホで写真を撮った。その写真がすごく綺麗で、今まで空間視点で見た光の中で一番美しかった。LEDは、まさに質の時代に入ったのを実感した。

同じことは続けない。その延長線上に新たなことが待っている

完成後、公式撮影したファサード。photo : Masaya Yoshimura

小さい規模だったが飲食業をやってきて、コロナ禍の2020から2021は本当にいろいろ考えた。飲食をやっている人たちは皆少なからず、考えたと思う。これからどう飲食業と向き合うか。もちろん、テイクアウトなど多少スタイルは変わってもこれまで通りの飲食業を続けるも有り。飲食からいっさい足を洗う人もいただろう。そして、「飲食」をツールに事業を再構築する人も。私は、再構築することを選んだ。もともと同じことを続けることが苦手だし、新しいことや好奇心もあるので、補助金事業ではあるけれどタイミングがよかった。これまでやってきた「たにたや」のお客さんからはそのままスタイルで続けて欲しい、移転しても通常の飲食店として営業してほしいという意見ももらった。もちろん7年やそこらで一人前の飲食経験者なんてさらさら思っていない。ただ、私にはその飲食の世界の人たちのために出来ること、7年やそこらで少しは飲食側の立場も経験したからこそ出来ることがあるんだとミッションのように思い始めていた。そのタイミングが今なんだと状況と時代に背中を押されたような気がするのだ。

写真では100%伝わらないが、料理との相性は常に研究していくつもり。
photo : Masaya Yoshimura 


LIGHT  & DISHES Lab.は時代と新しいニーズに柔軟に応え、発信していく場

今年に入り、立ち上げをずっと助けてくれた20代の女子たち。保健所に行った帰り、桜が満開だった時。

新しいウェブサイトが4/28に完成した。去年から約6ヶ月以上かかったかもしれない。会社としてのステイトメントが出だしにある。「美味しさ・生きる・光」だ。これを胸に、この場所から生まれることは無限のような気がしている。そこにキーとして「光」があり、ほか何にも限定されない。だから" Lab."なのだ。そして、自分の子供くらいの世代の仲間が側にいて支えてくれる。いや、側で私の頭が硬くならないように常に刺激を与えてくれる。同じ未来の方向を向いて一緒に歩いていってくれる彼らと、光の面白さ、良さを美味しく伝え、発信していきたいと思う。
この場所をつくるにあたり、多くの企業や各分野の方々の支援があった。心からその思いに感謝を申し上げ、期待に応えていきたい。

株式会社 LIGHT  & DISHES 代表   谷田宏江

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