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「不見の月」裏話 ~星雲賞授賞式に向けて

かなり貴重な裏話をします!
時期合わせといいましょうか、2021年7月4日に、遅れに遅れた第51回星雲賞の授賞式が行われますので。
私はすでに発表のときに出演させていただきましたが、もしかしたらまたお邪魔するかもしれません。だって、嬉しいんだも~~ん!

日本SF作家クラブのpixivファンボックスでは、日本SF大賞に合わせた企画(吉田隆一さんの分析・十日町たけひろさんの貴重な原画とラフ)に続き、私も次に原稿や世界設定を出します。

なので、こちらでは星雲賞受賞の短篇としての「不見(みず)の月」の話をしようかと。

日頃は「完成原稿がすべて。あまり言い訳をしないように」と自戒していますので、私としては珍しいことです。
ネタバレ含みます。よろしくお付き合いください。
『二重カッコ』は単行本名、「カギ括弧」は短篇名です。

重圧 + 重圧

〈博物館惑星シリーズ〉を再開するにあたって、どれほどのプレッシャーと戦っていたのかについては、単行本版『不見の月』の後書きに記したとおりでございまする。

 やっぱ続編ってダメじゃんねー、とか、スガヒロエ終わったな、とか、幻の声が響き渡る中、なんとか!なんとか!なんとかする!とあがきながらの執筆。

 しかもこの〈ルーキー〉(兵藤健が主人公のもの)がボリューミーになりそうだったので、途中で巻を変えることにして。

 して。

 したのはいいけど。

 続編でみんな固唾を呑んでいる中、話の途中で一回シメるってどうよ!

 ここで一冊終わりなの? とか言われるかもしんないし、もうここでいいや、と思われるかもしんない。なにせ話の決着がまだなので、半端感が中途半端ない、もとい、中途半端感が半端ない。あれ、ややこしいな、をい!

 とりあえず、私、どんなマゾなんだよと自己嫌悪に陥りながらも、作品のためならそうするしかないわけで。

 他の話に比べてもかなり時間をかけて準備をした次第です。

目論見

1)ちょっとは区切り感のある話
2)それにふさわしいシリーズ通してのキーとなる話
3)事件もいつもより大きめ

 最低限の条件はこの三つでした。

 で、1と2をひっくるめて、ここは尚美ちゃんがどうして口が悪いのかの謎解きをやっちゃおう、と。

 ひっぱっていた謎が解けると、そうだったのか、てなもんで、納得による一区切り感が出ますからね。

 でもって、健との距離も縮めておく。シリーズ中盤という位置は、健が尚美への理解を深めるのにいいタイミングではなかろうか。

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