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【第22話】 道路脇の整体師🇲🇲

昼食を済ませると、ヤンゴンの街をぶらぶら歩き始めた。中心部から少し外れたところまで行くと、高架下に椅子を並べておばさんがなにやら男たちの相手をしている。寄っていくと「マッサージどう?」と声をかけられた。どうしようかなと思ったが、あまり考えず聞いてみた。「これ、あなたのお仕事ですか?」おばさんは笑いながら返してくれた。「そうよ、仕事よ、マッサージどうかしら?」

笑顔が優しい
常連か友達か
路上の耳かき
爪の手入れ
タナカという日焼け止め
赤いマニキュア
涼しい風が吹いていた

敬虔な仏教国。みんながみんなというわけではないが、やはり人当たりが穏やかだ。ある日、路上で「日本円を両替するよ」と声をかけられ、「レートは?」と返すと、それが銀行レートよりも随分といい。「じゃあ1万円」と言うと、なぜか路地裏に連れて行かれそこで華麗な手品を見せられた。つまりまんまと騙されたのだ。喧嘩で暴力を振るう男たちを目にしたこともあるし、人間のすることはやはりどこへ行っても同じなのかもしれないとも思う。

ミャンマーに行こうと思ったのはなぜだろう。何度か旅行で回ったことがあったし、この国の日系企業でインターンをしたこともあった。日本に戻るといつも、もっとミャンマーにいたかったな、もっと見てみたいな、と思う。知らないことばかりだけど、いや知らないことばかりだからこそ、きっとこの国が好きなのだ。

マッサージと耳かきと爪の手入れよ
毎日ここでやってるわ
朝10時から夕方の5時までね

お金がなきゃ食べられないでしょ
生活のために仕事をするの
だからお金が一番重要なのよね

でもお腹を満たす以外に「良いことやってる」って気持ちになるの
お客さんが健康になるんですもの
お世話をしてあげてるんだから

この仕事は好きよ
やりがいがあるわ 楽しいです
やる価値があると思ってるわ
「良くなったよ」と言われた時は嬉しいわよね

子どもはしっかり教育を受けないとダメよ
勉強しなきゃ発展しないもの
じゃなきゃこうして道路脇の仕事になるんだから

Street Massager in Rangoon MYANMAR summer 2018
www.monologue365.jp

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