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日々の暮らしを豊かにする「窓」とは?

↑ 住宅販売の安っぽいキャッチコピーみたいなタイトルになってしまった💦

採光や換気といった機能から欠かせない窓。しかしそうした観点からだけでなく、生活に彩りを加えるということからも、窓をどのように設置するかということは重要である。それよっては、建物はより魅力的になり、日々の生活も豊かになる。...かもしれない。


東京国立近代美術館(谷口吉郎)

この美術館の隠れた名所である展望室「眺めのよい部屋」。私のお気に入りでもあり、訪れた時は必ずココで休憩する。皇居と丸の内のビル群がよく見える。

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PUBLIC Hotel(ヘルツォーク&ド・ムーロン)

ニューヨーク・バワリーにあるデザイナーズホテルのロビー。オレンジ色の照明が効果的で、外の街路樹の緑との塩梅が良い。

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アラブ世界研究所(ジャン・ヌーヴェル)

ジャン・ヌーヴェルの初期の代表作としても有名。正方形の窓には小さな◯があるが、これは何枚ものアルミパネルを組み合わせたもの。カメラの絞りのように自動調整して、明るさに応じて可変するシステムになっている。凝ってるのだ。

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旧小笠原家書院

窓ではないけど...。開けられた障子から見える田園風景と紅葉が絵になっていた。

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Ray and Maria Stata Center(フランク・ゲーリー)

ゲーリーなので、どうしても建物の造形が目立ってしまうが、窓も面白い。規則的な配列ながら、工業的で荒っぽくもある。

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落水荘(フランク・ロイド・ライト)

言わずと知れた名作住宅。寝室の書斎コーナーで、森や川を眺めながらの読書は最&高だろう。

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サヴォア邸(ル・コルビュジエ)

これまた傑作住宅として有名。今では当たり前となった水平の連続窓はコルビュジエが提唱し、この住宅で特に有名になった。

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ロンシャンの礼拝堂(ル・コルビュジエ)

またコルビュジエの後期の傑作。その堂内を照らすのはステンドグラスを通して入り込む自然光。壁と天井の隙間にも注目。ちなみにこのカット、来場者のほぼ100%が撮ると思われる。もちろん私もその一人。

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聖アンセルモ目黒教会(アントニン・レーモンド)

目黒駅近くの線路沿いにある教会だが、この雰囲気もあってか、思いの外静かな空間となっている。朝夕はスリット窓から光が差し込んで、とても美しい。

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フィリップス・エクセター・アカデミー図書館(ルイス・カーン)

名門高校の図書館。その窓際にある読書コーナー。こんな素晴らしい環境で勉強できる高校生が羨ましい。

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スイス通りの集合住宅(ヘルツォーク&ド・ムーロン)

スイスといってもパリ市内にある。ファサードは折戸のようなパンチングメタルのパネルだが、その窓に飾られた花が彩りを加え、パリの住民たちの生活感が出ている。(でも家賃は高いと思う)

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Archiship Library&Cafe(飯田善彦)

設計事務所が街にひらいたカフェであり、建築やアートの本がとても充実している。もちろん誰でも訪れることが出来る。窓を通しての通行人観察も面白いかも。

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ヘリタンス・カンダラマ(ジェフリー・バワ)

これも窓ではなく、リゾートホテルの階段の踊り場だが、手すり・天井・柱が額縁となって、風景を絵画のように切り取って見せている。設計者であるバワもお気に入りのスペースだったらしい。

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Simmons Hall(スティーヴン・ホール)

MITの学生寮の一つ。約5,500枚の2フィート(61cm)四方の小窓が全面に設けられている。窓枠が赤・青・黄・緑等のカラーパネルになっていて、角度や光の方向によって印象が違って見える。

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ルイジアナ近代美術館

窓が良いのか、外の風景が良いのか、それともジャコメッティの彫刻が良いのか...。多分その全てだろう。いずれにしろ私のお気に入りの一枚。

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自由学園明日館(フランク・ロイド・ライト)

自由学園のかつての校舎であり、池袋駅近くにある。幾何学的なデザインの窓はライト以外の何者でもない。

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ソーク研究所(ルイス・カーン)

ノーベル賞受賞者を何人も輩出している生物医学系の研究所。その建築も有名。カーンはとても豊かな内部空間をつくるが、木枠の窓のあるこの研究室も、きっと居心地が良い研究室なのだろう。(中は見学していない)

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アアルト大学図書館(アルヴァ・アアルト)

図書館と窓(自然光)の相性は決してよくない。しかしアアルトは、窓、天窓、照明を使いながら、巧みに光をデザインしている。ココでも一日ずっと本を読んで過ごすことが出来そう。

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瞑想の森(伊東豊雄)

各務原市の斎場・火葬場である。ホールからは、池と里山という風景を眺めることが出来る。私のような罰当たりな建築ファンのために、時間限定ながら、見学も受け入れてくれている。

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聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館(ピーター・ズントー)

中世美術と現代美術を中心に展示する美術館だが、美術館という機能上、窓は少なめ。その数少ない窓から見えるケルン大聖堂が素晴らしい!

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「窓」は機能面だけでなく、外から見た時のデザインの面白さや美しさ、室内から見た時の風景やその切り取り方、あるいは光の入り方など色々な特徴がある。
例えば同じ風景でも、窓からそのまま見るのと、一歩下がって窓枠越しに見るのとでは印象が異なるかもしれない。それもまた建築の楽しみ方の一つだと思う。

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