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HIROBA公式マガジン

水野良樹(いきものがかり)の実験的プロジェクトHIROBAの公式マガジンです。毎週金曜日にラジオ的長文コラム『そのことは金曜日に考えるから』が更新されます。その他の記事も随時更新…
ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式マガジンです。HIROBAは『つくる、考える、つ…
¥800 / 月
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#いきものがかり

「HIROBAビジネス」水野良樹×鶴岡裕太対談【後編】

~仮にまだ音楽という概念がなかったとして、今このタイミングで生まれたとしたら…~ 水野:すごく根本的な話なんですけど、インターネットで個人が力を持っていくこと、個人がエンパワーメントされていくことって、どういう価値を生み出すと思いますか? 意外とみんな詳しく分析したことってないなと。 鶴岡:複数の見方があるかなと思っています。ドライなほうで言うと、これだけSNSが普及していくと、世の中がそういう流れになっていかざるを得ない。今までの自分の立場を利用して、持っている利権を振

「HIROBAビジネス」水野良樹×鶴岡裕太対談【前編】

~王将を取ることがゴールであって、目の前の歩と歩の戦いで勝つことは重要ではない~ 水野:今日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。まず、すでにいろんなところで訊かれているとは思うのですが、こうして拡大している『BASE(ベイス)』というサービスの今の光景、普及率ってどれぐらいの時点で想像されていましたか? 鶴岡:始めた時点では、こんなに多くの方に触れていただけるとは思っていませんでした。今のサービスは『BASE』という会社を作る前に、僕がコードを書いてリリー

水野良樹×吉田尚記 対談【後編】~ミュージシャンって、人間というシステムのパスワードを知っている人なのかもしれない~

水野:だいぶ話が飛んでしまうんですけど、僕は落語ってすごいなと思っていて。すみません、自分がパッと思いついたことを話してしまいますけど。 吉田:いやいやいや、それで良いじゃない。 水野:落語ってずっと型が同じじゃないですか。筋があって、オチがあって、落語好きな人はそれをすべて知っていて、名人と呼ばれる方たちの音源も何回も聴いていて。だけど今の新しい落語家の噺を聞いて、上手い下手が出るっておもしろいし、なんで同じ噺をそんなに何度も僕らは新鮮に聞けるんだろうかって。そこに音楽

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水野良樹×吉田尚記 対談【前編】~いちばん最初に感動する“ファーストフォロワー”って大事だと思う~

水野:吉田さんの本、読ませていただきました。まずお伺いしたいのが、ラジオとかこういう対談とか、公開されることを意識した会話って“きょうぎせい”を持つじゃないですか。その“きょうぎせい”を超えたトークってあるのでしょうか。そこにやっぱりちょっと緊張しちゃうんですよ。 吉田:その“きょうぎせい”の“きょうぎ”って、二人で力を合わせる“協議”ですか? それともスポーツという意味での“競技”ですか? 水野:何かを達成しなきゃいけないっていう“競技”のプレッシャーですかね。 吉田

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「TOKYO NIGHT PARK」 ビッケブランカさん対談 HIROBA編集版 後編

【後編】AIが作曲したら? 水野 ここで話題を変えて、リスナーのメールを紹介します。せっかくなので一緒に答えていただいてもいいでしょうか。 ビッケ もちろんです! ラジオネーム ミーカさん 「私はネットでの買い物が大好きなのですが、最近のコロナによってさらにその頻度が上がっています。そこで問題なの問題なのが、『これを買った人は、これも買っています』という提案にまんまと乗せられてポチってしまい、さらに『これを買った人は、これも買っています』と薦められ、またポチってしまう。

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「TOKYO NIGHT PARK」 長谷川白紙さん対談 HIROBA編集版 後編

前編はこちら 【後編】混沌に統一性を持たせるという矛盾 水野 最新作の「夢の骨が襲いかかる!」はカバー6曲とオリジナル1曲という構成になっています。 誰かがつくった曲、旋律をもとに何かをつくるというのは、ご自身のオリジナルをつくるのとどういった違いがありますか?そんなに区別はないですか? 長谷川 そうかもしれないですね。もちろん、カバーはすでにメロディがあるという違いはありますけど、そんなに確固たる区別があるかと言われると…特にないですね。 水野 もう一回つくっ

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「TOKYO NIGHT PARK」 長谷川白紙さん対談 HIROBA編集版 前編

シンガーソングライターの長谷川白紙さんを迎えた J-WAVE「TOKYO NIGHT PARK」の対談。 長谷川さんの作品に息づく“混沌”が、混沌のまま成立しているのはなぜなのか? その背景についてじっくりと伺いしました。 頭をフル回転してオーバーヒート寸前の内容を 前後編のHIROBA編集版としてお届けします。 【前編】ポップスとして成立させるために必要な軸 水野 長谷川さんとお話しするのは今回が初めてになりますね。よろしくお願いします。 長谷川 ありがとうございます。

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「HIROBAビジネス」水野良樹×柳川範之対談【後編】

~届けてくれる曲や歌詞って、想像の卵のプレゼントなんですよ。~

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「HIROBAビジネス」水野良樹×柳川範之対談【前編】

~中途半端にわかり合えていると思っちゃうと、逆に大きな失敗をする。~ 柳川:もう伝わっているかもしれませんが、うちは家族全員いきものがかりの大ファンで、ファンクラブにも入っているんですよ。アルバムもすべて持っていますから。 水野:えぇ!? 想定外すぎます!恐縮です! 柳川:最初にコンサートに行ったのが2011年。それ以来、毎年行っていまして。娘は当時5、6歳の幼稚園生で、もう今14歳になるんですけどずっと大ファンなんです。去年はZepp Sapporoが当たったので、家

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水野良樹 「余白」インタビュー【前編】

新連載企画「余白」新連載企画をスタートします。その名もずばり「余白」。 様々な分野で活躍する方々に、ものづくりにおいての「余白」をキーワードにお話を伺っていきます。歌においての余白は歌詞の”行間”であり、メロディの”休符”なのかもしれません。すべてを細かく表現しすぎず、聴き手の想像に預ける工夫はポップソングをつくるうえで大事な要素です。 もしかしたら他の分野のものづくりにおいても、そんな「余白」がたくさんみつけられるかもしれません。建築における余白(=空間?)、デザインに

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水野良樹さん「余白」インタビュー【後編】 ~聴いてくれたひとがそれぞれ“自分の話をしてくれる”のがいちばんいい~

― いきものがかりの楽曲で「余白」を作るために、ギリギリまで迷ったフレーズやメロディーってありますか? これ絶対にいろいろありますね!まず「ありがとう」には、実は大サビがあったんですよ。実際に作品になったものにはないんですけど、最初のデモにはあるんです。昔のデモをいろいろ漁ったときに「ありがとう」が出てきて、こんな感じだったなぁって聴いていたら、途中でまったく覚えのないメロディーが流れ出して(笑)。多分、邪魔だからカットしたんだと思います。僕はどうしても、展開をたくさんつけ

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【後編】音楽文化と社会の結びつき

「TOKYO NIGHT PARK」柴那典さん対談 HIROBA編集版 水野 話題が変わりますが、柴さんはなぜ音楽ジャーナリストの道に進んだんですか?こういうことを聞く機会はなかったのですが。 柴 あくまで僕の定義ですが、音楽ライターの仕事と音楽ジャーナリストの仕事を分けて考えているところがあります。 水野 なるほど。 柴 音楽ライターになったのは間違いなく雑誌「ロッキング・オン」に就職したのがきっかけです。アーティストが新作に込めた思いなどを取材したりライブをレポー

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『あれはきっと魔法使いのしわざだ』〜そして歌を書きながら(共同通信社連載)〜

2019年春から、共同通信社より各地方新聞社へ配信される水野良樹の連載コラム「そして歌を書きながら」(月1回)。こちらではそのコラムに加筆修正を加えたHIROBA編集版を、お届けします。 あれはきっと魔法使いのしわざだ音楽番組のスタジオ。きらびやかな照明が司会席を照らしている。 小さい頃からテレビで見てきた有名芸人さんが司会をしていて、その隣にはこちらも毎日テレビで顔を見ない日はない人気アナウンサーが秒刻みで予定が組まれている生放送の番組進行を完璧にこなしていく。自分たちは

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えぐい曲が録れたと思う

そう、ラストサビは”熱く”なのだ。 今日の譜面には”一言ディレクション”が書き込んであった。 なんせ”5C”と書いてあるのだから、サビを5回やっているということなのだ。それだけでもう十分に熱い。熱苦しいと言ってもいいのかもしれない。 そんな、良くも悪くもどこか熱量が過剰な曲というのはけっこう自分は書いてきたつもりだ。洒脱に品良く、コンパクトにまとめられている…というのがどうしても得意じゃなくて、「なんか足りない気がする」と思って、展開を足してしまったり、キメをつくってしま