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水野良樹 「余白」インタビュー【前編】


新連載企画「余白」

新連載企画をスタートします。その名もずばり「余白」。

様々な分野で活躍する方々に、ものづくりにおいての「余白」をキーワードにお話を伺っていきます。歌においての余白は歌詞の”行間”であり、メロディの”休符”なのかもしれません。すべてを細かく表現しすぎず、聴き手の想像に預ける工夫はポップソングをつくるうえで大事な要素です。

もしかしたら他の分野のものづくりにおいても、そんな「余白」がたくさんみつけられるかもしれません。建築における余白(=空間?)、デザインにおける余白(=空白?)、演奏における余白(=グルーブ?)、小説における余白(=読者の推理?)、漫才における余白(=会話の間?)、法律における余白(=法律の運用?)、、、。シンプルで正しい答えばかりが求められてしまう日々のなかで、想像がのびのびと駆け出していけるような”余白”について考えてみたい。答えよりも、新しい”問い”をこの広場に投げ入れたい。そんな企画です。

初回はまず、HIROBAの主宰、水野良樹から「余白」を広げはじめます。


~単なる平凡なものと「余白」の魅力があるものの大きな違い~

― まず「余白」というテーマは、いつ頃から思い浮かんでいたものですか?

この『HIROBA』を始めたとき、スタッフのみなさんやいろんな方と雑談をしているなかで出てきた話題なんです。たとえば「ルパン三世のテーマ」を手掛けている大野雄二先生は、「あまりメロディーを書きすぎると良くない。無音の空間があるからこそ音がある。無音の場所はすごく大事なんだ」とおっしゃっている。作詞家の方もよく「行間を読ませる」「行間から滲み出る」みたいな表現をされる。そういう“埋めすぎない”とか“書きすぎない”ことによる「余白」って、受け取り側の想像力を広げたり、作品の個性になったりする大事なポイントなのかもしれないねって。そして、この「余白」は多分どの分野にも存在していて、それをテーマに様々なジャンルの方のお話を伺ったら、おもしろい共通点や、モノを作る上での工夫を訊かせていただけるんじゃないかなと。

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