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My Love〜高校生編・第15話「ジェニーはご機嫌ななめ」

🎵君とイチャイチャしてる所を見られちゃったわ🎵

ひとみちゃんとの隠微なデートから帰ってくるなり、家の電話が鳴った。




「もしもし荒木です。」



「……裕華だけど…。」



「お、裕華どうしたの?」



「…どうしたの?私が聞きたい、どうしたの?」



「え?何のこと?」



「見ちゃったんだ…ひとみちゃんと歩いているのを…。」



「え?どこで?」



「マルニデパートの向かいのミスドから出てきたでしょ?マルニで買い物していたら偶然見えて…楽しそうに出てきた…。」


 

一字一句、間違いのない実況にしらばっくれるのは無理だと思った。


「ごめん、裕華…ひとみちゃんに隆行のことで相談があるって言われて…あそこで待ち合わせていたんだ。何もないよ、何も…。」




本当はその後、川のほとりを腕組んで散歩していたがそれは今は言わなくていいと思った。しかし裕華は




「何もないなら、どうして金曜日の日、友達と遊ぶって嘘をついたの?やましいこと考えてたんでしょ?」



「いや、それはほんとに違う!隆行とひとみちゃんがうまくいくことを考えてあげたくて、それで……裕華が考えているようなことは一切ないよ!」



その時点では確かにそうだった。裕華はしばらく黙ったあと、話し出した。




「裕華はね…裕華はね、ヒロちゃんがひとみちゃんと会ったことを怒ってるんじゃないの、嘘ついて友達と会うって言われたことがショックだったの、嘘をつかれた私の気持ち、わかる?」


裕華は、もうは半べそ状態だった。




「ひとみちゃんと会うって私に言ったら、何か言われるって思った?」


「当たり前だろう、他の女の子と会うんだから、じゃあ、ちゃんと会うって言ったら、いいよ! わかったよ!って了解してくれたのかい?」



「そんなわけないけど…きちんとした理由があるんだから、私はヒロちゃんを信じて、いいよ!って言ったよ。でも、嘘をつかれると何もかも信じられなくなる。」

その通りだ。何も言えない。そこまで裕華は僕のことを信じていてくれていたのに…僕はそれを嘘ひとつで壊してしまった。どうしようもなかった。



「でも…裕華に対する気持ちは少しも変わらない、これだけは本当だよ!」



必死に言えば言うほど、軽く聞こえるのだろう。裕華は


「今はそんなこと言われても受け入れられないし、聞きたくもないわ…ごめんなさい。しばらくはそっとしてください…さよなら!」 






「……もしもし、もしもし、裕華?ゆうかぁ~!」




電話は切られた。全てが終わったかの如く、体中の力が抜けた。これで裕華とは終わった。誰が悪くもない、すべて自分の軽率な行動、判断
が招いたことだ。自業自得、こんな終わり方になるとは思わなかった。

だが、ここで終わってしまったら裕華に対する僕の思いを否定することになってしまう。最後にもう一度、自分の思いをきちんと伝えて別れよう。このままでは僕の青春の思い出に大きな傷をつけてしまう。
しかし、今はそっと過ぎる時間を待つしかない。まずはひとみちゃんに電話をした。




「ひとみちゃん、実は………。」



「え~?ホントに?やばいね、それ……で、どこを見られたの?」



「ミスドから出てきた所!」

「じゃ、イチャイチャしていたことは言ってないのね。」



「うん」


「わかった。私にも責任があるから、私から裕華に話して見る。」 



「ありがとう、頼むよ。」




実に男らしくない。この期に及んでまだ裕華に嘘をつこうとしてる。ひとみちゃんとイチャイチャしてることをごまかそうと…いかん!



ひとみちゃん、やっぱ、全て話していいよ!君といちゃいちゃしていた事も全部…それで嫌われたら仕方ない、悔いもないよ」



「ヒロちゃん、いや…荒木君かっこいい!くやしいけれどやっぱり裕華一筋なんだね…」

「…とにかく…僕の話を聞いてくれるようにしてくれるだけでいいから…お願いします。」







月曜日、気が重かった。裕華の顔を見なければならない。いつものように裕華は遅刻ギリギリで入ってきた。そして…顔が合った。




「……おはよう…」



情けないくらい弱弱しい声で僕は挨拶をした。

裕華は下を向き、ちょっとうなずいただけで、さっさと自分の席に座ってしまった。




隣のひとみちゃんに


「ひとみちゃん、ちゃんと話してくれたよね?昨日のこと!僕、昨日一日どんなに苦しかったか…。」



その言葉を聞いて、ひとみちゃんは僕の顔をじっと見ながら…



「ヒロちゃん…苦しかったぁ?大変だったねぇ~!でも、たぶん大丈夫だよ!昨日ね、裕華に会って全部話しといたから」



「え~~?ぜ・全部? で、裕華は?」



「ま、放課後、話があるって誘ってみなさい。この色男」



なんだ、この能天気な女は?でも何かいいきっかけは作ってくれたようだ。
 


「ありがとう、ひとみちゃん。」



「その感謝の気持ちがあるなら、またデートして!」



「それは、勘弁して…」







放課後、ひとみちゃんに肩をたたかれて僕は裕華のもとまで行った。そして、恐る恐る声をかけた。



「裕華、あの〜…話があるんだ。」



「…私も…」





僕と目を合わせようとせず裕華も口を開いた。放課後の教室の片隅、二人はぎこちなくしていた。




「裕華…あのね…」



「ヒロちゃん、先に話してもいい?…昨日ひとみちゃんから電話がきて、いろいろと話を聞いたの、ひとみちゃんがヒロちゃんの事好きだったこと、あの日、腕組んでデートしてたこと、それを聞いたら、とても裕華には出来ないなぁって…ひとみちゃんに完全に負けちゃった。だから…」



なに~?だから〜?

あ~!  し・しまったぁ~!
そう言えばひとみちゃん、妙に笑ってた。
まさか、あいつ…。




や・ら・れ・た……………。あぁ…。

           〜第16話に続く〜

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