科学的管理法について

皆さん、経営学がどのように発展してきたかご存知ですか?
今回は経営学の中で最古と呼ばれる理論である、

科学的管理法

に関してご紹介します

背景

※以下は適当な例です

20世紀アメリカ〜

熟練工「社長、今度作る新しい自動車ってやつはどうやって作るんです?」
社長「あん?そんなもの、今まで紡織機作ってた経験でなんとかなるだろ」
熟練工「それでヨシ!ですね。職人の俺らに出来ないことはないですな」
徒弟「(何がヨシ!だよ、、今までのやり方じゃ絶対無理だって)」

このような感じで、20世紀初頭のアメリカでは
・経営者の経験や習慣、勘に頼る「成り行き経営」
・個別の熟練工に頼る経営
が横行していました。

そこで科学的なアプローチで経営を科学しようと試みたのが、
フレデリック=テイラーというエンジニアでした。

彼は「科学的管理法」というアプローチを考案しました

これは
工場労働者の主観的な経験や技能の上に成り立っていた作業を、 客観的・科学的に整理して管理する
というマネジメントのやり方を、
以下の4つの観点から客観的・科学的に実行したものです

課業管理

いわゆる「ノルマ」「タスク」のこと。
一日の仕事量の基準を設定するにあたり、「模範となる労働者ならば達成可能である」と見込まれる仕事量から算出します。

この際、適切な仕事量は絶対に科学的な手法で算出しなければいけません。

現場のカンや経営者の押し付けではなく、労働者の動きを実際に観察し、
客観的に導き出すことが重要です。

・適切な仕事量の分析である「作業研究
・ストップウォッチなどで計測する時間の分析である「時間研究
・どのようなオペレーションが労働者にとって最適かを観察・判断する
動作研究
の3つで成り立ちます。

作業の標準化

これは設定した課業を達成するために、
作業の条件や流れを標準化、つまりマニュアル化することです。

作業研究から明らかになった熟練者の効率性の高い動きをもとに、
必要な道具や一つひとつの作業にかける時間などを明確にします。

これらを明記したものを用語で「指図票」と言い、
初心者でも熟練者の動きに近づくことが出来ます。

差別出来高給制

ノルマを設定し、達成した人には高い報酬を、
未達成の場合は低い報酬を与える
制度です。

強力なインセンティブとなる一方、
ハードルが高いと労働意欲を著しく低下させるデメリットもあります。

職能別職長制

作業管理に最適な組織形態として、
職長の権能を計画と執行に分けることです。

「仕事の企画・立案まであらゆることに責任を負っていると、結局カン頼みの管理となり、グループごとに成果にばらつきが出てしまう」
というデメリットの払拭のための制度。

現在のライン&スタッフ制度の源流とも呼ばれています。

結果

生産現場に「管理」の概念を導入したことで、
現代の経営管理論や生産管理論の源流の1つになり

内部請負制度・徒弟制度の解体で、
経営者が主として労働力を使用可能になり

計画と執行の分離によって、
責任範囲が明確なマネジメントの先駆けとなりました。

批判

生産性は向上しましたが、
労使対立を助長し、労働力を搾取するものだ
として労働組合から強いバッシングを受けたり

心理学や社会学の見地からのアプローチがなく、
効率を重視するあまり、人間性を軽視している
という批判を受けました。

こうした欠点は、後の学者や経営者らの努力で修正・改善が試みられ、
経営学の発展に繋がっています。

今後はそこに関する考察もnote記事にしていきたいと思います

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