見出し画像

『横浜改造計画』を具体化する

皆さんこんにちは。みんなのIT協会、代表理事の城谷です。
今日は「新しい横浜」の未来を担う10代だけで考案された『横浜改造計画』に関して、僭越ながら意見を申し上げ、具体化出来るポイントがないか探っていきます。(政治・行政のみ)

【横浜改造計画の詳細が書いてあるページ】

横浜改造計画って何?

株式会社Gaiaxの学生コミュニティ「command"F」の10代の学生のみでディスカッションを重ね,約4ヶ月間をかけて横浜市の未来ビジョンを具体的な政策に落とし込んだ『横浜改造計画』を公開しました!

こんにちは,加藤大河です。
横浜の『未来都市としての在り方』を政治・行政,交通やアート・文化といった様々な方面から「10代の仲間だけ」で考えまとめた横浜改造計画を公開します!

税金はクラファンで集める

市内でイベントを開きたい人や市に店を出したい人、あるいは留学に行きたい人の中でお金が無くて良いアイディアなのに実現できない人もいるだろう。
そこで、横浜市は市のアプリでクラウドファンディングの制度を作る。
そこで自己PRをして、市民から資金を集める。
本来は申請をして税金の補助を受けていた「イマイチイベント」は淘汰され、市民にウケるイベントが行われる。この制度なら、有能な人材に市民が支援をすることで、横浜からイノベーションが始まることもある。

これはいわゆる「自助・共助・公助」の中でも、主に「共助」に相当するものだと考えられます。結論から申し上げると、この政策はかなり問題が多い可能性があります。

メリット→不採算、ニーズのない事業への税金投入の回避、効率化
デメリット→ポピュリズムの先鋭化、社会保障の希薄化、知的文化遺産の形骸化

まず市民自らが税金の使途としてのクラファンを開くことで、税金の無駄を防ぐことが出来ます。これは開港150周年のような微妙なイベントを防いだり庶民感情に合わないものを排除できる効果が期待できます。

一方で「ウケる」「有能な」人材にお金が集まりやすくなる仕組みは、知的文化遺産などの無形資産的な側面を「大衆の人気」という物差しで図ることにも繋がってしまいます。そしてイノベーションは幅広い分野への支援がもたらす事もあるという側面への言及が少々希薄に感じます。ここ数十年の歴史をみれば明白なのですが、政府も民衆も「有能」な人やイベントなどを判断することは難しいのです。

同時に本来は公的な社会保障の充実で賄うべき分野(留学行きたいのにお金ない)などに公助を持ち出す場合、本質的解決手段である給付型奨学金の拡充に悪影響を及ぼす可能性があります。

やるとすれば
税金とは別に市民がクラファンをして、行政が拾いきれないニーズや人々をサポートする仕組み」を推奨します。

市の政策は全てオンライン投票で

横浜市の政策の是非は市のアプリのオンライン投票で決定する。
政治家はプランとアイディアを横浜市会(市議会)に提出し、市民の判断を仰ぐ。
市民がYESと言えば実行。NOと言えばボツ。
まさに直接民主制の究極形態を横浜市に取り入れる。

オンライン投票であれば、仕事の合間にも投票できる。何より当事者意識は相当高まると思う。
投票する画面に政治家の賛否の意見を表明する動画や市会での審議の様子のURLを貼り付けておけば、政治を身近に感じてもらえるだろう。

もちろん緊急性のある政策は市議会や市長の権限で迅速に決定するように制度設計をする。

結論から申し上げると、私はこの政策に賛成です。

ただ現状でどうやって実現するかと言うと、エストニア型の仕組みが最も有効だろうと思われます。OSSで投票システムのコードが管理されており、投票内容はブロックチェーンで管理、そして強制されたときの為に何度も投票できる仕組みになっています。

投票システムのコードはGitHubに最新版がアップロードされており、誰でも見てレビューできる。公開されているシステムには監査用のアプリケーションも含まれる。投票内容はブロックチェーンベースで管理されており、管理者でさえ改ざんできないようになっている。開票のプロセスは、オブザーバーとして誰でも参加し監視できる。

ただ、透明性の一方で、プライバシーの問題も発生する。誰が誰に投票したのかというのは重要な情報なので、できるだけ保持しないよう、データベースに登録される”前に”、個人情報を破棄している。なのにリモートで投票ができるということは、誰かに投票を強制させられる可能性もある。実際にそういう懸念から、日本ではネット投票が進まないという意見もある。ちなみに、TIVIによるi-Votingでは、直前まで何回も投票し直せるようにし対策がされている。

また、選挙の度にシステムはゼロから作り上げられ、ペネトレーションテスト(実際に外部からハッキングを試みて安全性をテストする)やDDoS攻撃の緩和テスト(ボットで大量のアクセスをしてシステムをダウンする攻撃)などのセキュリティを毎回行っている。もちろんこれもコード公開時に、パブリックな目によって、さらに指摘を受けて改善している。

「市民限定」のTwitterをリリース

横浜市民のみ登録可能のTwitterのようなSNSアプリをリリースする。
そこで行政からの連絡、災害や緊急時連絡を行うことはもちろん、市民は日々の生活を呟き、新しいコミュニティとして活用してもらう。

また議員に対しての不満や要望も呟いてもらうことによって、行政の課題の把握もできる。横浜市よりもさらに小さい単位、区や地域のグループを作って限定公開にしてもいいかもしれない。
地域コミュニティが薄れた現代だからこそ、率先してコミュニティの在り方を見直そう。

結論から申し上げると、私はこの政策に反対です。

メリット→地域コミュニティ的なアプリで完結できる
デメリット→行政ごとのアプリはUX(ユーザー体験)が悪い

なぜならば単純にユーザー体験が悪いからです。同機能のアプリを規模別に複数使い分けるのは、人によっては不満が溜まるだけで情報格差を拡大させる原因になり得ますので、限りなくシンプルに設計することを推奨します。

横浜市民SlackやDiscordを用意したり、PoliPoliを活用して行政に意見する方を薦める方が無駄や車輪の再発明(同じものがあるのに自分で作ってしまうこと)を回避できます。

やるとすれば
行政からの連絡などの片道コミュニケーションに関しては行政毎に、相互コミュニケーションに関しては既存のプラットフォームを活用する」事を推奨します

「横浜パスポート」でより魅力を

横浜市民だけが所有・利用できる「パスポート」を市民に提供する。
このパスポートを市内外の横浜市の加盟店で提示すると、様々なサービスが受けれるようにする。
例えば、公共交通機関の運賃が割安になったり、クーポン券やポイント倍などなど… 用途は尽きない。

結論から申し上げると、私はこの政策に賛成です。

ITに詳しくない人向けには紙のパスポート、それ以外にはスマホでパスポートの提示を可能にすることで、より住みよい横浜になるのではないでしょうか。

後者の場合だとキャッシュレス決済と組み合わせることで、より効果的な割引や特典などを可能にすることも可能な気がしています。

公園の「エンタメ&シェアオフィス化」

プロジェクションマッピングで自分の書いた絵が公園の至るところに出現したり…セグウェイが置いていて自由に乗って公園中を走り抜けたり…
こんな公園は面白くないだろうか?僕なら毎日行く。

もちろん子供だけが使う公園ではダメだ。
親世代も取り込むためには、公園を「シェアオフィス化」することが必要だ。スタバをイメージして欲しい。スタバのようにWi-Fi環境と空調設備が整っていて、かつ自然が目の前に広がる。
こんな場所で働きたいと思わないか?
普段はオフィスで働いて、休日は子供と一緒に公園へやってきて仕事を進める。

結論から申し上げると、私はこの政策に賛否両論です。

公園というありきたりな施設を、より人々にとって憩いの場以上の価値を生む場所へと変える事には全面的に賛成します。エンタメやシェアオフィスの要素を取り入れることにも賛成です。一方で、エンタメ&シェアオフィス化と従来の公園の空間との比率をどうするかは非常に大きな課題になると感じます。

公園はどこまで行っても公共施設であり、公共施設は「属性に限らず全ての市民が同じくらいの便益を受けられる」ように設計することを求められます。エンタメやシェアオフィス化の場合、その便益を得られる人が限定されてしまうというデメリットが大きく存在するのです。故に既存の公園の全ての空間を改造するのは少々難しい可能性があります。

敢えて便益に傾斜を設ける場合、「LGBTカフェ」「超バリアフリーなシェアオフィス兼集会所(高齢者が病院の代わりにたまり場にできる)」など、相対的に社会的に立場が低い人達のエンパワメントに用いる場合が想定されます。これらにエンタメの要素などをかけ合わせたものが、最も批判が少なく大きな社会厚生を生む公的サービスになると思います。

横浜独立構想 サヨナラ神奈川県!

横浜市は一国に値する経済力と人口を抱えているのにも関わらず、「市区町村」の枠組みになっている。
しかも、横浜市民の税金は神奈川県のために使われるものもある。二重行政の無駄もある。
いくら大都市といっても税制上の不平等が生じ、イノベーションが起きにくい環境にあるのだ。なので、神奈川県からの行政的な独立を提唱したい。
神奈川県から独立すれば、ロンドンやニューヨークを相手に戦うことができる。世界のYOKOHAMAを目指して、神奈川県からサヨナラしよう。

結論から申し上げると、私はこの政策に賛成です。

今の横浜は、横浜市民が神奈川県の他の自治体にかなり多くの税金を払っているように感じています。福祉の充実にしろ、イノベーションの創出にしろ、いずれにしても行政単位をもっとスリム化しなければ効率の良い機動的な行政は実現が難しいと考えています。

アジアにおける自由と民主主義、ビジネスの中心地であった香港が中国共産党に飲み込まれた今、シンガポール一強のアジア自由経済体制を見逃すのは大きな損失になります。

日本のどの自治体よりも先進的な取り組みをドンドン行い、東京や大阪を超え、ニューヨークやロンドンとも戦えるアジア最大の貿易・IT・イノベーションハブを横浜に作り上げましょう

そのためには横浜が仮に独立しても日本自体の法律を変えないとだめな部分が多々あるので、上記のようなビジョンを基に日本そのものを大きく0から作り変えて行く土壌を作らないといけません。

「U-18総選挙」で生の政治教育を

⑴ 議員が学校に来て党の政策を紹介
⑵ 生徒間で政策についてディベート・ディスカッション
⑶ 実際の国政政党に投票
⑷ 得票数の最も多い政党の政策は市会で審議される
⑸ その様子を生配信し、授業のフィードバックに

結論から申し上げると、私はこの政策に反対です。

私は若者の政治に対する関心を高める事には大きく賛同します。
しかしこのやり方には、非常に大きな問題があります。問題は

「政党という概念が主体となっている(Issue-Driven(課題起点)ではない)」
「政党という要素は選択する場合において、必ず選択者によって偏る」
「得票数の測り方が多数決である場合、必ずしも民主主義的な教育に良いとは限らない」

という大きな3点に分けられます。

やるとすれば
「政治家が学校に来るのではなく、特定のトピックに関して問題点をグループごとに洗い出す。その問題点毎に政策を考案する。その政策をグループごとに発表し、良い点や疑問点を討論し合う。遮ったりせずロジカルに」
これを徹底することだと思います。

政治家を呼ぶ場合、少数政党が必然的に不利になるので、設計としては良くないです。そして政治家が出す政策が起点である場合、課題が起点でないので本質から確実に遠ざかったところからのアプローチを強いられます。

そして多数決ですが、数学的に多数決は民意を代表するとは限りません。
この場合、「どういうルールで得票するか」という得票ルールをまずは紹介して、皆で考えることが大事になります


なので必ず市で審議されるべきは「最も得票数が多かった政党の政策」ではなく、「皆で選んだ得票ルールによって最もスコアが最大化された、特定のグループの政策セット」です。

「セット」なのがミソです。政策は1つでは全体像が全く見えないので、学生側が創造したグランドデザイン全体への反応を要求するべきなのです。レベルの高い要求ですが、一気にこのくらい高いハードルを設けないと主権者意識は永遠に高まりません。

スマホは「完全無料」配布

日本のスマホ普及率は85%(2019年)だ。
ほとんどの人がスマホを持っている状況だ。ただ横浜市はスマホ普及率100%を目指したい。
「誰も置き去りにしない社会」の実現のためだ。市民全員がスマホを所持しているという事実があるだけで、スマホを活用した市のアプリ開発やペーパーレス化が一気に進む。
スマホ・ネット環境がない人と、スマホを買い換える必要のある人を対象に、横浜市が用意したデバイスとルーターを無料配布する。
デフォルトの仕様に横浜市のアプリをインストールさせておけば、操作に慣れていない人も問題なく市の情報やサービスを受けることが出来るだろう。

結論から申し上げると、私はこの政策に賛否両論です。

個人的な感情では、「誰も置き去りにしない社会」の創造のために、皆にデバイスを配布するのも1つの手だと思います。一方で問題点としては

・課題ドリブンではない(1つ上の政治参加と同じ)
・予算的に相当無理がありそう
・既に教育機関から電子デバイスが配布されている
・電子デバイスの中でも「スマホ」である必要性がどこにあるか


などが挙げられます。個人的には行政単位毎にスマホを全員配布は流石に無理がありすぎると思います。「あくまでも市民の自由意志に任せ、その購入にものすごい補助金を設ける」などがより良いのではないかと考えます。

その場合に発生する情報格差に関しては、私が代表理事を努めている"みんなのIT協会"でしっかり対処します(宣伝)

終わりに

政治・行政以外の政策に関しては全面的に賛成します。

私はまだ中高生の方々がここまで立派なグランドデザインを描いていることに、非常に大きな安堵感を覚えました。

「日本人は政治に興味がない」「若者は政治に興味がない」とよく言われますが、きっかけさえあれば皆さんきっと覚醒するのだと思います。

かくいう私も、ITに特化した"先進党"の副代表をやっていたこともあります。

私のような専門家とは呼べないようなレベルでも色々出来たのですから、やる気さえあればとにかくやってみればいいんです。周りの視線とか体裁とか気にしないことが一番です。

説教臭くなると一気に老害感が半端ないので、このくらいにして、、笑

横浜改造計画を考案された皆さん、本当にお疲れさまでした!!
僕はいつでも壁打ちの相手になります。

同じ横浜市民として、より良い横浜の明日を共に作り上げていきましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?