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「競争と段階的な変化に関する研究〜競争地位戦略〜」葬儀業に関係する先行研究#6

あまり知られていないお葬式の業界について経営学の視点からお伝えしています。葬儀業に関係する研究をいくつか紹介します。

競争地位戦略

 競争地位戦略とは、フィリップ・コトラー[1980年]([1])が提唱した競争戦略のための理論である。企業を量的経営資源と質的経営資源の二軸を使用してリーダー・チャレンジャー・ニッチャー・フォロワーという4つにカテゴリーに分類し、それぞれのポジショニングに応じた経営戦略を提示している。

図3-7競争地位戦略
(出所)Philip Kotler (著),‎ Kevin Lane Keller (著)『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジ メント』より筆者作成

リーダーとは、質的にも量的にも経営資源が豊富で、業界内でシェアナンバーワンを誇る企業を指す。基本戦略はフルライン戦略であり、豊富な経営資源を活かして、製品・サービスの生産・開発を特定のものに絞り込まず、幅広い品揃えを元に市場全体をターゲットにする戦略となる。また、リーダー企業は現状の市場シェアを維持するだけでなく、市場自体の拡大に努めなくてはならない。
 チャレンジャーとは、質的経営資源は少ないが量的経営資源が多く、リーダーに次ぐ二番手の企業である。基本戦略は差別化戦略で、リーダーに競争を仕掛けて市場シェアを奪うため、リーダーの弱みや不得意分野を分析し、集中的に経営資源を投入して特異性を生み出すことが求められる。
 ニッチャーとは、チャレンジャーとは逆に量的経営資源は少ないが質的経営資源が多く、市場内で独自のポジションを占める企業である。基本戦略はニッチ戦略で、価格帯やチャネルを限定することによって、業界内の他のカテゴリーの企業では収益性が望めない分野に特化した専門的な取り組みを行う。
 フォロワーとは、量的にも質的にも経営資源が乏しいため、チャレンジャーのようにリーダーに競争を仕掛けることが難しく、ニッチャーのように専門的な取り組みをする優位性も無い企業を指す。基本戦略は模倣戦略であり、リーダーやチャレンジャー企業を模倣することで、開発コストや生産コストを徹底的に抑え、利益率を高めることが必要である。

([1]) Philip Kotler (著),‎ Kevin Lane Keller (著)『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』丸善出版, 2014年
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