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フランス葬儀事情#06

世界のお葬式に関する話題をお伝えしています。
※2011年にフランスの葬儀業界を視察した際の内容を業界誌で「フランス葬儀業界探訪記」として特集して頂いた内容の抜粋となります。記載されている数値は当時のものになります。

ベルトラン社訪問「暑いと忙しいんです」
ベルトラン社はパリ市内に数店舗支店のある、中堅葬儀社です。
社長さんにアポイントをとってもらっていたのですが、前日が非常に暑かった為、仕事が立て込んで忙しいとの事でキャンセル。
社長さん自らエンバーミングを行っているため、暑い日が続くと仕事が立て込むそうです。(今回の旅程は最初の1日を除き、快晴が続き、日本より一足先に夏を体感したようでした)
せめて店舗を見せてもらおうと本店に伺いましたが、そこでも一歩先にご依頼のお客様が着てしまったということで、店内にも入れませんでした。


ふと店舗の向かいを見ると、病院(老人ホーム?)のようです。黒い服で出入りする方が多いのでもしや、と思っていると、やはりご出棺のようです。
ご家族やご友人と思わしき集団の中には、プランナーと思われるスタッフも居ます。少し離れたところには、体格の良い4人組が居ます。雰囲気からして棺の運び手ではないか、と思っていると、全員揃ってその場を離れてしまいました。既に彼らの出番は終わったのかな、とご家族とプランナーの打合せ現場を見守っていると、10分ほどして4人組が戻ってきました。どうやら出番までどこかで休憩していた様子。おもむろに霊柩車の移動を始め、ご家族の乗ったバスと共に出棺していきました。
押し出しの効く体型といい、途中でも休憩に行ってしまうふてぶてしさといい、まさに「葬儀屋さん」という印象を感じました。


さて、ベルトラン社の件は通訳さんに交渉してもらい、開設したばかりの新店舗なら社員さんにお話が伺えるということで、急いで向かいます。


ベルトラン社新店舗は、並木道に面したガラス張りの明るいオフィスでした。
外に面してエントランスと応接室があり、奥にはやはり棺のカットモデルが展示された部屋があります。
来客時の打合せは、応接室と展示のある奥の部屋どちらでも行えますが、棺の見える場所での相談を嫌がる方も多い、ということで、応接室をメインで使います。展示室で相談する場合に備えて、目隠しのついたても用意する、ということです。


対応してくれたジュピーさんに、宗教離れの影響について伺ったところ、宗教儀式を生活の中でしなくなったことが一番顕著で、葬儀の時だけ宗教儀式を行う人も多いということです。日本との共通点を感じますね。
実際にジュピーさん自身も、キリスト教徒だが埋葬ではなく火葬で十分だと思っているということで、カトリック教徒が70%を超えるというフランスでも宗教儀礼の形骸化が進んでいることを感じました。

近くには大手葬儀社2社の店舗が1ヶ所ずつあり、競合しています。病院も近隣に2ヶ所あり、商圏としては充実しているようですが、さすがに病院に営業にいくことははばかられるそうです。
実際に訪れた店舗はまだ新設されたばかりということもあり顧客も少ないので、今後は老人ホームなどに営業をかけるということでした。

ベルトラン社は昔ながらの家族経営の葬儀社です。お話を聞かせてくれたジュピーさんは、別の大手葬儀社から転職してきたばかりだということでしたが、以前の会社と比べて、お客様との距離・社員間の距離が近く、心のこもったコミュニケーションがとれるところが素晴らしいと感じているそうです。
このあたりも日本と大差が無いのではないでしょうか。


フランス葬儀事情#07に続きます。

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