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「競争と段階的な変化に関する研究〜3つの基本戦略〜」葬儀業に関係する先行研究#4

あまり知られていないお葬式の業界について経営学の視点からお伝えしています。葬儀業に関係する研究をいくつか紹介します。

3つの基本戦略

 マイケル・ポーター1995によると、個別の企業や事業が、属する業界の中でどのようなポジションをとり、置かれた状況においてどのような戦い方をするのか、という望ましい戦略の方向性であり、具体的には「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つに集約される。
 これらの戦略は、2つの軸によって分類される。軸の1つはターゲットの幅であり、ターゲットとする顧客や分野の幅を、業界全体など広く設定するか、特定の分野に絞って狭く設定するか、という選択が必要となる。もう1つの軸は、競争優位の選択であり、他社よりもローコストを確立するか、品質や品揃えなどに特異性を創造するか、ということである。
 この2つの軸によって、前述の3つの戦略が分類されるが、細分化すると4つの戦略である。「集中戦略」が競争優位の軸の選択によって「コスト集中戦略」と「差別化集中戦略」に分けることができる。
 「コストリーダーシップ戦略」とは、同一商品・サービスを最も安く提供できる企業が勝つ、という考え方で、競争相手よりも低価格で商品・サービスを提供する戦略である。低コストを確立することによって、他社よりも収益を生みやすく、価格競争になった場合の値下げ幅をより大きく持っているといえる。この戦略をとるためには、低コストを実現するための技術力、市場シェアの獲得が必要であり、多くの業界ではリーダー企業がとる戦略である。
 「差別化戦略」とは、他社に比べて価格は高いがそれ以上の価値を提供できる企業が勝つ、という考え方で、商品・サービスを業界内で独自のポジションに置く戦略である。競合相手との競争を避け、高いマージンによってサプライヤーへの交渉力も獲得できる。この戦略は、コストでトップになることが難しい企業のほとんどがとる戦略だが、自社のブランドが優れた特異性があると顧客から認められなくてはならない。
 「集中戦略」は、上記の2つとは切り口が異なり、ターゲットとする市場を絞り込み、より限定的な領域を対象とすることで、経営資源を集中して投入し、局所的にトップを目指す戦略であり、ニッチ戦略と言い換えることもできる。定めた領域に対して、低コストで優位性を得る場合は「コスト集中戦略」、特異性で優位性を得る場合は「差別化集中戦略」となる。

図3-5 ポーターの3つの基本戦略
(出所)M.E. ポーター (著),‎ 土岐坤 (翻訳),‎ 服部照夫 (翻訳).『競争の戦略』を元に筆者作成


 ポーターは、いずれかの戦略に企業は集中して一貫性を持つべきであると説いているが、どの戦略にもリスクは伴っており、また優位性は永続しないことを認識して取り組むべきである。

表3-3 基本戦略のリスク
(出所)M.E. ポーター (著),‎ 土岐坤 (翻訳),‎ 服部照夫 (翻訳).『競争の戦略』を元に筆者作成

( ) M.E. ポーター (著),‎土岐坤 (翻訳),‎服部照夫(翻訳)『競争の戦略』ダイヤモンド社,1995年

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