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シナリオ//EXTREAMERS3.2 嵐の日に(後編)


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プロローグ#11 嵐、研究所から岸壁へ全力で疾走するダイ。
ナレーション(レオナ)「研究所から岬のカーブする岸壁の道、ダイはあと100mまで来ていた。カーブの先、強風で荒れた暗い色の海が広がっている。その断崖の際を赤、黄色、青の雨具を着た女の子たちが風にあおられ舞い上がるのを必死に止めようとしているセイヤが見えた」
ダイ「うおぁ!うそだろ、セイヤがんばれ、いま行く」
甲虫型ジープの車内、激しいワイパー、アテンションの音、ゲートが開くのを待っている。
きしみながらゆっくりと開くゲート、待てずに空ぶかしする
ナノ「はやく!はやくして!」
ゲート「Front gate Authentification, gate open, gate open、、」
ナノ「よし!」
土砂を巻き込みながら、ジープをぶっ飛ばすナノ
ナノ「いけ!」
レオナ、ダイのあとを走っている。
ナレーション(レオナ)「ダイの後ろを少し遅れて僕は走っていた、ものすごい風と雨がからだを揺さぶる、そのときマトリックスボールがアラートを発し、真っ赤に光りだす。特異点、何か別の力が今働いている、、、」
レオナ「うぁっ!セイヤ!がんばって、今行く!」
ナレーション(レオナ)「きれいな色の凧が、風で舞い上がり岸壁から海に向かって飛ばされそうになっている、それをセイヤが重心を低くして食い止めようとしている、」
セイヤ「あおい!手を離すな」
ゆい「いやー!」
まどか「ゆいー!」
あおい「わ、わかってる、」

ナレーション(レオナ)
 「僕たちはいまパラレルワールドにいる。帰る方法はまだ見つからない」
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SE/瞬足C.I シャキーン!
テーマソング(ヤワラカナミライ)
 ナレーション(アキレス博士)
 「EXTREAMERSとは、アキレス瞬足計画のために全国から集められた小学生テスト    パイロットたちの総称である。三人一組、スリーマン=セルのチームになって、新しい瞬足のデータをサンプリングするために巨大なバーチャルフィールドマシンの中を走り、飛び、助け合い、駆け抜けてゆく。柔らかな未来に向かって、」
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ジープ車内、嵐、土砂を巻き上げながらラフな走行で急ぐナノ
ナレーション(レオナ)「フロントゲートから僕たちのいる断崖までは道が大きく蛇行している」
ナノ「どこ? ゆい、まどか、あおい!どこにいるの?」
ナレーション(レオナ)「大きく海側に張り出したカーブ、雨をかき分けるワイパーの隙間」
ナノ「なに?、、何してるのよあの子たち!!」
ジープ車内、嵐、ギヤダウンしてさらに土砂を巻き上げながら爆走!
ナノ「何してるのよ、、、」

心の空間、特別な時間、心の声だけがつながっているテレパシートンネルのようなもの
ナレーション(レオナ)「そのとき、僕は不思議な時間の中にいた、ゆっくり全力疾走する身体、視界は狭まり赤い雨具のゆい、黄色のまどか、青を着たあおい、あおいの手を握って飛ばされそうになっているびしょ濡れのセイヤ、僕と彼らの中間を走るダイがすべてゆっくりとそしてはっきりと見える。視界の隅に真っ赤に光ったマトリックスボール。あの凧をつかまえないと、ダイ!まだ間に合う!そう決心した、その瞬間、瞬足が足首を、そして足全体を締め付ける、瞬足がまかせてという、トランスフォームだ。ぬかるんだ土砂を限りなくグリップしてゆく、マトリックスボールは今まで正しい判断をしている。そしてもうひとつ、これは仮説なのでだれにも言ってないけど、ぼくらは誰かに選ばれている、そんな実感。目の前で風に飛ばされそうな仲間を引き戻すために、僕は飛びつこうと加速した!ダイを追い抜いた、海が広がる断崖だ!」
ーーー現実空間
レオナ「行けー!」
ダイ「レオナ!」
ーーー 心の空間
ナレーション(ダイ)「セイヤたちまであと少しのところで、レオナの声がした、一瞬ですべて理解する心の声が、あの凧をつかまえるよ!まだ、間に合う!そう、言っていた。その瞬間レオナがオレを抜いていった、そして何のためらいもなくレオナは岸壁から仲間に向かってダイブする。オレはレオナを信じている、仲間を信じている、この世界で無くてはならない仲間だ。僕らは選ばれて特別な時空にいるんだ、あり得ないことが起きている、誰かの意思で。またレオナの声が直接心に届いた、」
ーーー現実空間
ダイ「行けー!」
ーーー 心の空間
ナレーション(ダイ)「瞬足がトランスフォームする、グリップが確実になる。一瞬、最後の理性がよぎった、怖い、そう思った時はもう飛んでいた、、」
ーーー ジープ車内、嵐、
ナノ「だめー!」
ーーー 心の空間
ナレーション(ナノ)「 私にはその光景が信じられなかった、ゆっくり舞い上がり風に翻弄される赤、黄色、青の雨具、ゆい、まどか、あおい、そしてあおいの腕を掴んだセイヤが宙に浮く、それに飛びつこうと岸壁から飛び出したレオナとダイ。
だめー!そう叫びながら、わたしは生まれて初めて神様にお願いをした、子供たちを助けて!と」
ーーー現実空間、嵐
ナレーション(レオナ)「一瞬、ブレーキが遅れた、全輪がロック、アンロックを繰り返しながら滑ってゆく。甲虫型のジープは、岸壁からぎりぎりのところで止まった、さらに勢い余って山側に走って止まる。その間、子供たちが視野から消えた。ハッチを開けて外へ出る」

不思議なチカラ、
風と風が拮抗し穏やかな空間が出現
子供たちを包んでいる。
息をのむナノ「!」
ナレーション(レオナ)「大きな空気が子供たちをつつんでそっと地面の上に降ろしているように見えた。風と風が拮抗してそこだけ時間が止まったように穏やかだった」
地面寸前から軽く落ちる子供たち
子供たち「わっ!」
セイヤ「はやく、雨具を脱ぐんだ!」
ゆい「うん!」
そのとき、風が戻る。
雨具が一瞬にして飛ばされる。
まどか「わぁ!」
ゆい「飛ばされたぁ!うわースッゴーイ!」

ナノ「あんたたち、何やってんの、こんな嵐の中とびだしたりして、死ぬ気? 死んでしまったら、二度とお母さん、お父さんに会えないのよ!ばか!ばか!ばかよ!いったい何やってるのよー!」
ゆい「 だってだってだって、お母さんに会いたいんだものー、お父さんに会いたいんだものー!お家に帰りたいんだものー!あーん!」

ナレーション(レオナ)「ナノさんは怒鳴りながら、雨と涙でぐしゃぐしゃだった。ゆいが泣きながらナノに飛びついてきた、私だってと、まどかが、そして堰を切ったようにあおいが、セイヤが、レオナが、ダイが、ナノにしがみついては泣いた、みんなで泣いた。
ごめんなさい、ごめんなさい、、といって泣いた」

泣いている5人、遠景、それを離れたところから見ているアキレス博士

ナレーション(レオナ)「 アキレス博士は、離れたところから見ていた、そして静かに車をバックさせ研究所に戻っていった。その晩、全員が熱を出した。6人の子供たちとナノが風邪をひいた。ひとり風邪をひかなかったアキレス博士は、食事係になった。
博士のつくった野菜スープはとってもおいしかった」
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SE/瞬足C.I シャキーン!
テーマソング(シナヤカナグラビティ)
ナレーション(ゆい)「ゆいです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(まどか)「まどかです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(あおい)「あおいです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(ダイ)「ダイです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(セイヤ)「セイヤです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(レオナ)「レオナです、ナノさんにおこられました、反省してます、、」
ナレーション(レオナ) 「ふう、EXTREAMERSの冒険はまだまだつづくよ!え?テンションひくい?うそ!えーっとお!次回はアキレス博士の罠!えー!まだテンション低いって?
そんなことないって、、」

 SE/瞬足C.I シャキーン! アキレス!

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(つづく)20220407


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