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電脳コイル、再び。

世の中はマトリックスの新作の話で持ちきりだが、もう一つ個人的に気になっているのが『地球外少年少女』。

2007年にTVアニメ「電脳コイル」で原作・脚本・監督デビューした磯光雄さんが、15年ぶりに、原作・脚本・監督を務める2作目のオリジナルアニメ作品。

電脳コイルは前述のマトリックス的なアプローチとは全く異なる「和風」な電脳世界だ。

AIの扱い方はドラえもんや鉄腕アトムのように現実に存在する愛嬌のあるロボットではない。日本の古典的なパートナー・友人のようなものも出てくるけど、仮想空間内で、敵・味方に分かれ多様化・複雑化している。

主人公の女の子は転校早々仮想ペットを誘拐されそうになったり、ライバルの男の子たちとの戦争に巻き込まれ、プログラミングの力で相手に経済的ダメージを与えたり、男の子側の味方をする同じ日に転校してきて考えるだけでプログラムできてしまう女の子との対決など毎回見せ場がある。

子ども達は、日常的にウェアラブルとして使われる「メガネ」を通してそれら仮想空間のいきものやアイテム、マシーンと当たり前に接している。仮想空間では、自分の額やペットに貼るだけで効果のあるお札の様なメタタグ(おそらくは修正や強化するプログラムのコード)や、アイテムを購入するのに使われる通貨にあたるメタバグ、子どもの敵として描かれる球ちゃんやサッチーが神社や神社のマークを描いた円の内部には侵入できなくなるとか・飴細工を彷彿とさせるメタバグの錬金術的なおばあちゃんと言ったノスタルジックなメタファで描かれていたり、闇や影を感じる不気味で不可思議な存在など従来にない独自な世界観を醸し出していて印象に残っていた。

デジタルネイティブな子ども視点でつぶさに描かれる記憶や心理描写などが、物語を俯瞰するオーディエンスにとっての作品全体の印象を「大人っぽく」している気がする。

ディテールも素晴らしく、アニメで描かれるアイディア溢れるインターフェイスや気配や、諸々とても凝った作品だったと思う。

BSでこれまでの作品を一挙公開したが、アスペクト比のミスでやり直し放送するという、昨今の謝罪時代にひっかけた、おそらく「わざと」なプロモーション(違ってたらごめんなさい)も効果的だなぁ。

電脳コイルは現在、Amazonプライム会員なら全話無料で見られるので僕は暇を見つけてAmazonプライムで見ることにする。

新作「地球外少年少女」がとても楽しみ。






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