マレーシア・クアラルンプール旅行記 4日目
旅は折り返しを迎え、観光の割合を減らして、ゆったり過ごす時間が増えてきた。贅沢な休日を過ごすように、のんびりと旅先を巡る。
この日は振り返ってみると食の1日だった。もう一度行きたい飲食店にいくつも出会うことができた。
屋外の石段で朝食を
今日でこれまで過ごしていたホテルを移る。
場所はクアラルンプールから動くことはないけれども、夏休みなので旅の後半は思い切ってラグジュアリーなホテルで過ごすことにした。
到着したロビーから既に位の高さを感じる。ウェルカムドリンクのチケットを渡してもらえたので、後ほどいただくことにする。
部屋の準備は当然ながらまだだったので、一旦荷物を預かってもらい街に出る。
Nasi Lemak Alor Corner
遅めの朝食兼昼食に選んだのは、マレーシアに来たらなら必ず食べようと決めていた料理Nasi Lemakナシレマッだ。
ココナッツミルクで炊いたご飯に、揚げ小魚、ピーナッツ、サンバル、卵、きゅうりを乗せたものが基本的な構成となる。
朝食としてもよく食べられるメニューであり、紹介する店も朝にオープンして、昼前には閉まってしまう。
到着したのは10時くらいと中途半端な時間だったが、買い求める人の列ができていた。
タープテントを用いた屋台に近い形態の店で、軒下にはナシレマッの具材がいくつも並んでいる。
手際よくご飯の上に盛り付けていくため回転は早く、注文の列に加わって数分で順番が回ってきた。
具材の見た目から食べたいものを指差しで伝える。
オプションの具材である鶏肉には、焼いたもの、揚げたものの味違いなどバリエーションがあった。
卵は本当は目玉焼きがよかったのだけれど、伝えきれずにゆで卵が自動で乗せられた。
具材の種類と数で値段は決まっているようで、今回のコンビは10リンギット、おおよそ350円だった。
近くにその場で食べる人用の椅子がいくつか置いてあるものの、人気店のため全く足りていない。
そのため、まだオープンしていない商業施設の入口前の石段を利用し、そこに皆が座って食べていた。同じく空いている場所を確保して、青空の下いただく。
写真右上にあるサンバルソースを混ぜつつ食べる。辛さは控えめで旨みが強い、病みつきになる味だ。
スパイス香る揚げ鳥に、小魚やピーナッツが食感の変化を加えてくれる。見た目を気にせず、全てを混ぜながら食べていく。
ローカルな雰囲気も味わえ、味もボリュームも申し分ない。今後クアラルンプールを訪れるならまた食べに行きたい。
歩いてはカフェ、歩いてはカフェ
安くて美味しいマレーシアの名物料理のおかげでしっかりと満たされた。
今日も今日とて街歩きをしつつ、疲れたところでカフェに入ることにする。
kita coffee
Fahrenheit 88という商業施設の中、非常口を抜けた通路の先にある。
事前に公式のインスタで確認していたのでよかったが、本当にこの先にカフェがあるのだろうかと不安になる立地だ。
オーナーが2022年のマレーシアバリスタチャンピオンとなった方だそうだ。
コーヒーだけでなくスイーツも充実しており、何種類もあるロールケーキがおすすめされていた。
甘いものは別腹ということで、一番気になったLavender&Rose Lycheeのロールケーキをいただく。飲み物は王道のカフェラテにした。
ロールケーキはラベンダーとローズが華やかに香り、ライチを含んだ穏やかな甘味が広がる。カフェラテとの相性も抜群だ。
白を基調にした店内には緑が多く配置され、都会の中に隠された癒し空間だった。
カフェを出たものの、これといった予定はない。
クアラルンプールの中でまだ行っていないエリアということでChow Kitを目的地に据える。再び徒歩旅の始まりだ。
Chow Kit地区の北には地元の市場があったりするようだが、今回は開発が進む南の辺りに行ってみる。
結婚式用の写真を撮る人たちがいたり、お昼時でおしゃれなレストランに人々が列をなしていたりと、明るい活気に満ちていた。
実はここに辿り着くまで、先ほどのKita Coffeeから約3キロ歩き続けている。
もはやマラソンの水分補給と同じ感覚でカフェへと入る。
103 Coffee - Chow Kit
事前に知っていた訳ではなく、Chow Kitに到着して偶々見つけたカフェだが、ここで忘れられない出会いをする。
一般的なコーヒーメニューにとどまらず、スペシャリティコーヒーというカクテルのような一品をいただけるのが特徴だった。
知らないものを味わいたい欲がここでもむくむくと湧いてくる。
スペシャリティコーヒーは数種類あって、悩んだ末にCOLA NO COLAという一杯を選んだ。
コーヒーにカラマンシー、レモングラス、シナモン、トニックウォーターを要素として加えている。
一口飲んで広がるのは、まさにコーラの味だった。本当に衝撃的だ。
別のスペシャリティコーヒーも追加で頼みたくなるほど心動かされた。
素敵な体験ができたこともあり、レジ近くに置いてあるコーヒー豆を買って帰ることにした。
シーズナルブレンドの豆が綺麗に展示されていたので店員さんに声をかける。
「コーヒー豆を買いたいのだけれど、ここにあるのを持っていっていいですか」
「もちろん! 持ってレジで一緒に渡してください」
レジで別の店員さんに渡して、コーヒー豆を含んだ会計を済ませる。
「COLA NO COLAはどうでしたか?」
「とても美味しかったです!」
「よかった! 豆も楽しんでくださいね」
「はい、ありがとう!」
美味しかったことと驚きをもっと語彙を駆使して伝えたかったな、と思う。やはり言語は学ぶだけでなく、自然にコミュニケーションできるためのツールとして使えるようになりたい。
あとで調べてみると、こちらの店も大会受賞歴を有するバリスタを抱えており、2024年エアロプレスの世界大会にもマレーシア代表として出場されるとのことだ。
Chow Kit地区以外にもいくつか支店があるので、是非行ってみてほしい。
その後、Chow Kitからそのまま南下して、インド系の方が多く暮らす地域を歩いてみる。
チャイナタウンでも感じたが、街並みや人で色合いがガラッと変わるのが面白い。
ここはさらりと抜けて、歩き回る旅は続く。
Penang Chendul Berjaya Times Square
3日目のマラッカ旅で心残りだったのが、チェンドルというかき氷を食べれなかったことだった。
クアラルンプール市内にもいくつもチェンドル専門店があるようで、気になったうちの一つを目指してみることにした。
Berjaya Times Squareというローカルなショッピングモールの地下にあった。チェーン店でここ以外にもいくつか店舗がある。
カウンターで注文し、渡されるブザーが鳴ったら取りに行く。日本のフードコートと同じスタイルで提供される。
一番スタンダードと思われるトッピングにしてみた。
氷に染み込むココナッツミルクのまろやかさと椰子砂糖の甘味が良い。パンダングリーンの麺状のゼリーと煮られた小豆がどっさりと乗っている。
ゼリーが氷の上でもやわらかいままなのがすごいと思っていたら、食べていくうちに凍ってきてカチカチになった。早々に食べるのが吉である。
泳いで、飲んで、食べて
チェンドルを食べ終わり、よい時間になったのでホテルへと戻った。
別行動だった妻と合流し、観光は一時中断してホテルステイを楽しむことにする。
何せ2日だけ奮発して泊まるのだから十分に満喫したい。荷物の中から水着を取り出しプールへと急いだ。
昼下がりのプールで泳ぐ人は少なく、プールサイドでのんびりと日光浴をする人が多かった。
空いているプールを泳ぎと歩きの中間くらいの動きで存分にうろうろする。
歩き回った体がほどよくほぐれてリフレッシュできた。
少し早めに晩ごはんへと向かおうとした矢先、天候が悪化して雨が降り始めた。
徒歩からGrabに移動手段を変えるも、平日の帰宅ラッシュと雨によるGrab需要の増加で全くやってこない。
どうせ待つならと、チェックイン時にもらったウェルカムドリンクチケットを利用することにする。
マレーシアに降り立ってから初めてのアルコールである。イスラム国家であるので、酒の提供が限られていることをこれまで実感していた。
久しぶりの酒は美味いと悦に浸っていたが、機内で飲んでいたので実際は一週間も空いていない。それだけ旅の一日の密度が高かったのだろう。
複数のカクテルからマイタイを選んだ。正直なところ、ベースも何もわからないまま、名前の南国感から頼んでいる。
一方、妻はキューカンバーモヒートという渋いチョイスで、うっすらとした差を感じた。
飲み切る頃には、ホテルのエントランスにGrabが到着した。向かうはマレー料理の店だ。
Irama Dining
クアラルンプールに到着してからここまで、ちゃんとしたレストランでマレー料理をいただいていなかった。
事前調査で選んでいたこちら、店内の雰囲気、料理のおいしさ、ともに期待を上回る良店だった。おすすめなので細かく紹介していきたい。
Grabがなかなか来ないという出遅れがありつつも、クアラルンプールの夜は遅く、店内には1組しかいなかった。
ただ後から続々とやってきて、帰る頃には外のテラス席まで埋まり始めていた。
渡されたメニューには1枚にびっしりと料理が書き込まれている。全ては読み解くことができないまま、気になる品々をオーダーすることにした。
Udang Masak Lemak Tempoyakは、エビ(Udang)にターメリックとココナッツのソースがかかっている料理だ。
Tempoyakというのはペラ州(Perak State)で特に用いられる、ドリアンを発酵させた調味料とのことだ。
街中で売られるドリアンは、その匂いに怯えて全く食べなかったのに、気付かぬうちにここで摂取していたことを、この旅行記を書きながら知る。
全く気づかなかったので、ドリアンくささはなかったはずだ。ただただエビの旨味とココナッツカレー風味の味付けが美味しかった記憶が残っている。
サイドはレモングラスとパンダンリーフのご飯と、ハーブやスパイスが効いた味付きご飯の2種である。ごはんものにも個性があり、どちらも美味だった。
Ayam Pandan、ここでもお馴染みパンダンリーフが登場する。ちまき状になったパンダンリーフの中に鶏肉が入っている料理だ。
包まれた鶏肉を取り出して、照り焼きソースのような甘さがあるタレにつけて食べる。
Gorengが揚げるという意味なので、豆腐Tauhuを揚げた料理となる。タレは先ほどのAyam Pandanとおそらく同じだった。想像通りの味で、手放しに美味しい。
まとめる中で頼んだ料理数を見かえすと少ない。旅行中にたくさん食べ続けている疲れが出ていたようだ。
まだまだメニューはあり、頼んだものが全て美味しかったので、ここも再び訪れたい。
Irama Dining以外にも路地に沿ってレストランが軒を連ねており、この周辺全体の雰囲気がとても良かった。
ホテルのプールから見えていたクアラルンプールタワーに見下ろされる。
ここまで滞在していても、食に関して飽きることがない。
それどころかまとめている中で新情報を知り、奥深さを思い知らされる。
まだまだいたいと思いながらも、旅の終わりは近づいてくる。
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