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マレーシア・クアラルンプール旅行記 1日目後編

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チャイナタウン放浪記

一通りの観光スポットを巡ったものの、時間にゆとりがあったので、そのままチャイナタウンを巡ることにする。
旅程では別日にチャイナタウン観光を入れており、今日は様子見といったところである。

アジアの都市の片隅には市場が常にあり、観光スポットとして紹介されている。
店が雑多に軒を連ね、人が蠢く。たまに隣をバイクが抜けていく。あからさまな偽ブランド品を売っていたりもして、たくましい。

雑多な市場への入口

市場を冷やかしたのち、南下した先の細い小道へと入る。
このあたりは再開発が進んでいるようで、昔からある建物を利用しつつ、カフェやバーなど人を呼び込むスポットが集っていた。

写生する若者たちがいた 確かに絵になる

ここで久しぶりに日本人の観光客を目撃する。
旅を通じてクアラルンプールの観光客層は中華系のかたが一番多く感じた。前回のバンコクでもそうだったように、ツアーで来ている人も多いのだろう。
意外だったのが欧米の層も多いことだ。クアラルンプールは街中でも基本的に英語で表記されているし、英語で問題なく意思疎通ができるという背景もあるのだろうか。日本人がハワイに行く現象に近いのかもしれない。

この地区で気になっていたのは鬼仔巷というフォトスポットだったのだが、到着してみると展示の入れ替えのため休みだった。
図らずも数日後のチャイナタウン観光本編へ楽しみを置いておく形になったため、すぐ隣のカフェで涼むことにした。

Ching Ching(青青) by Pandan Republic

パンダンリーフと呼ばれる緑色の草は、東南アジアを旅行するといつも登場する。バンコク旅行のときも食べていた。
その鮮やかな緑色とは裏腹に穏やかな風味なので、見つけると思わず食べてしまう。もうクセになってきている。

こちらでは店名にあるように、パンダンリーフを用いたスイーツを色々と提供している。
通りに面した注文口ではパンダンソフトクリームが買え、そちらも有名とのことだが、せっかくなので店内へ入ることにした。

カウンターで先に注文をして、2階へと上がって座って待つ。
パンダンを使用したクリームブリュレ(Pandan Brûlée)と、プラムとカラマンシーのソーダ(Sour plum calamansi soda)を選んだ。

柑橘類の一種であるカラマンシーも、パンダン同様に東南アジアを旅していると見かける食材の一つだ。
他の柑橘類との差がわかっているのかと問われると実際怪しいのだけど、日本では見かけない希少性から頼んでしまう。

パンダンとカラマンシーに旅情を感じる

クリームブリュレは一口目からちゃんとパンダンの風味がした。写真では表面の焦げでわからないが、掘り進めたらしっかり緑色をしている。
合間に挟むすっきりとした酸味のソーダが、暑い中歩いてきた身体に沁みていく。
どちらも甘さは控えめで美味しい。海外のスイーツはとても甘いという先入観があったので、いい意味で裏切られた。
店内wifiも快調で、次の目的地の調査をしつつ身体を休められた。


再び歩いてホテルのあるBukit Bintang方面へと戻っていく。
途中でハイセンスな空気が漂うREXKLという施設に寄り道する。ここにはカフェやバー、雑貨店が入り、訪れている人たちもおしゃれだ。イベントスペースとしても使われていらしい。
この施設を代表し、立ち寄った目的でもあるのが、こちらのフォトジェニックな本屋である。

写真を撮る人で賑わう本屋

階段と本棚で構成された迷路のような空間が広がっている。
ここで本を買う人はいるのだろうかと疑うほどに、若者達が本棚の間を練り歩き写真を撮っている。とはいえ、同じ目的で訪れた身であるので、気にせず写真をあれこれ撮って回った。

チャイナタウンを離れると、道は車がひっきりなしに走る大通りとなった。道路に添った細い歩道を進んでいく。
バスや電車で移動していたなら、一瞬で過ぎ去る風景の中にも生活はある。歩いていると、そこにほんの少し自分が重なっている気持ちになって楽しい。

生活感ある風景に惹かれる


未知のケララ料理を食す

繁華街Bukit Bintangに到着して、無事に妻と合流できた。
朝から歩き続けて2万5000歩という歩数を稼いだのは、運動による空腹を狙うためでもある。
食を旅のメインとしている以上はできる限りたくさん食べたい。なんとか色々なものを美味しく食べるべくコンディションを調整する日々だった。ここ最近は整腸剤と胃腸薬が旅の必需品になっている。

Coast by Kayra

The Starhillというショッピングモールの中にある。旅行前にクアラルンプールのレストランを調べている中、たまたま見た動画で気になった店である。
Google Mapではケララ料理店と書かれているのだが、そもそもケララ料理を知らない。知らないものは食べてみたい、ということで訪れることが決定した。

調べたところケララ料理のケララとはインド最南端の州の名前だそう。こちらではその地方料理をより現代風にアレンジしたメニューが並ぶ。
旅行の後半では胃が疲れてくるため、魅力的なものは早い段階で食べておかなければならない。

店に入ったのが17時台だったので、他に誰もおらず貸し切り状態だった。クアラルンプールは昼も夜も混雑するのは日本より遅め時間帯の印象を受ける。
未知のメニューばかりで迷いつつ注文していると、この2品は似た味付けだから違うのがいいよ、などとウェイターのお兄さんが色々教えてくれた。
料理を持ってくる際にも毎回丁寧に食材などを説明してくれた。一品一品どれもが美味しかったので、一通り紹介していきたい。

Dosa Tacos

南インドのクレープのような料理ドーサを生地に使い、タコススタイルで食す。
上に乗っているスナック的なあれやこれやがこぼれやすく食べるのに苦戦した。
スパイシーな味付けでこれからの料理に向けて食欲が増した。

Vazhappu

続いてベジタリアンメニューの前菜盛り合わせのようなもの。左からバナナの花の蕾のフリット、ビートのチャツネ、さつまいものコロッケとなっている。
バナナの花の蕾なんて見たことがないし、食べられるとは知らなかった。素材由来か生地なのか、モチモチしていて美味だった。知らない食材はそれだけで楽しい。

Crab Putu

Putuというのはココナッツと米粉を混ぜて蒸し上げた、ケララの名物料理とのこと。下部にマサラ風味のカニのほぐしみがみっちりと詰まっている。料理がテーブルについた瞬間から旨みのある香りが漂っていた。
横に添えられたまろやかなカレーソースをかけるとより美味しい。

Avial

こちらも伝統的なケララ料理とのこと。クミンが効いたココナッツのまろやかなソースの中に、芋やカボチャやインゲンなどがごろごろと入っている。
再びベジタリアンメニューなのだが、味気なさは全く感じない。スパイスの力は偉大だ。

ケララは海に面していることもあって、シーフードを主で扱うようだ。他にも魚を丸ごと一匹使った料理や、3〜4人サイズのビリヤニなどがメニューに並んでいた。大人数で来て色々シェアするのも楽しいだろう。


再びツインタワーへ

夕食の開始が早かったため、ホテルに帰って寝るにはややもったいない時間だ。
妻と相談して、旅行中のどこかで行こうと言っていた噴水ショーへ初日から向かうことにした。
場所は本日2回目の来訪となるツインタワーだ。

夜だとツインタワーがより美しい

噴水ショーはツインタワーのふもと、SURIA KLCCというショッピングモールで夜に開催されている。
開始時間が近づくにつれて、続々と観客が噴水の周りを取り囲みはじめていく。

待機時間にも色とりどりに輝く噴水

音楽と共に繰り広げられる噴水ショーは、のんびり見ていられて楽しい。
と思っていた矢先、うねりながら回転する水流が勢いを増してこちらへ飛んできた。噴水の池の淵から数メートルはゆうに超えてきていた。
慌てて場所を移動する大人たちの一方で、水飛沫に吸い寄せられた子どもたちが盛り上がりを見せる。
小休止を挟みつつ曲を変えながら、噴水ショーはおおよそ30分に渡って続いた。
流れる曲のジャンルも多文化を象徴するような幅広さで面白かった。

噴水ショーを見たのちは、すぐそばのBacha Coffeeに立ち寄った。
モロッコのマラケシュから始まったコーヒーショップである。日本には店舗がないようなのでお土産としてドリップコーヒーの詰め合わせを購入した。
そうこうしているうちに夜も深まってきたので、ホテルへの帰路へついた。

長い長い初日が終わった。
横たわると感じる足の疲れからも、初日から詰め込みすぎたのは否めない。
まとめていても驚くことにまだ1日目である。
旅は長く続いていく。

2日目へ続く

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