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トライアスロン基礎知識#10 スイム緊急事態の対処法

今回の記事ではトライアスロンでの「スイムパートにおける緊急事態の対処法」について紹介していきます。

トライアスロンに慣れないうちは海や川で泳ぐOWS(オープンウォータースイム)に恐怖心を持つ人も少なくないと思います。僕もレースで海を泳ぐ時は未だにスタート前の心配が絶えません。

不足の事態でも適切な対処法を知っていれば、スイムへの不安感は少しでも払拭できると思います。ぜひ今回紹介するポイントを押さえておきましょう。

1. 絶対に覚えておいてほしいこと

トライアスロンのスイムにおいて、体力がなくなって溺れてしまう危険は誰にでも起こりえます。そんな時のために絶対に覚えておいてほしいこと、それは「スイム中でも休憩はできる」ということです。

広い海の中、体力に限界を感じると不安感で周りが見えなくなるかもしれませんが、トライアスロンのレースでは必ずブイ(浮き)、コースロープ(一部のレースのみ)、ライフセーバーのボートなどが近くにあります。それに掴まって休むことはルール上、許可されています。自分の体調に不安を感じたときは、迷わずそういったものに掴まって息を整えましょう。絶対にムリをしてはいけません。

ただし注意点として、ライフセーバーの手を借りてしまうと「救助」を受けたことになり、その時点でレース失格となってしまいます。またブイやロープに掴まってそこに留まっている分には大丈夫ですが、それを手繰って進むことは禁止されています。レースを継続する場合は気をつけましょう。

2. パニック

スイムパートでは緊張や恐怖心から「パニック」に陥ることがあります。スイム中にパニックを起こすと、うまく呼吸ができず、いつもどおりに身体を動かせなくなり、とても危険な状態となります。

そもそもパニックとは何か?

正式には「パニック障害(不安障害)」といい、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こした状態をパニック障害といいます。突発的な生命の危機に直面した時、多くの人はパニック発作を起こすといわれています。(厚生労働省HPより:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_panic.html)

万が一、パニック状態に陥ってしまった場合は、上述した休憩方法、もしくは泳ぐのを一旦ストップして「背浮き」の状態で呼吸を整えることを推奨します。ウエットスーツを着ていれば身体はいつも以上に水に浮きやすくなります。まずはリラックスした状態で深呼吸をして、心を落ち着かせてみてください。

またパニックを起こさない予防策として、あくまで一例ですが下記のような対策があります。

・心拍数を上げすぎない
・胸部を締めつけすぎない

張り切りすぎていつも以上のハイペースで泳いでしまうと心拍数は一気に上がります。マイペースを心がけましょう。また胸部が締め付けられている状態だと息苦しさを感じてパニックの引き金になりかねません。ウエットスーツが適切なサイズか、ゴムが硬くなっていないか等をしっかりチェックしておきましょう。

3. 脚攣り

泳いでいる途中で「脚が攣る」というのも充分に起こりえるアクシデントです。筋肉の疲労や緊張、水温の低さによる冷えなどが原因とも言われていますが、脚が攣ってしまった場合もあわてずに、上述した休憩方法で一時的に脚を休ませてあげてください。しばらくリラックスして休んでおけば、脚攣りの状態は回復し、いつもどおりの動きを取り戻すことができるはずです。

4. レース前にしておきたいこと

上記のスイムパートにおける不足の事態を防ぐため、レース前にしておきたいことが以下の4つです。

・余裕を持ってレース準備を済ませる
・準備体操、ストレッチ
・試泳
・リラックスしてスタートを迎える

トライアスロンのレースは早朝から始まり、トランジションエリアのセッティングや持ち物の確認など、やるべきこと、考えるべきことはとても多いです。時間にはしっかり余裕を持ってレース前の準備を進めてください。また準備体操やストレッチも忘れがちなので、しっかりと身体を運動できる状態にしておきましょう。

レース前には試泳をする時間が定められています。必ず試泳をして、水温や波のコンディション、自分の体調、ウエットスーツやゴーグルの使用感などをチェックしておくようにしましょう。

そして最重要なのは、リラックスした状態でスタートを迎えること。特に初めてのレースでは緊張や不安が大きいと思いますが、できるだけ平常心で落ち着いた状態を保ちたいものです。仲間がいれば会話をしておくことで気が紛れます。知り合いがいない場合でも、近くの人に話しかけてみると同じトライアスリート同士、気持ちを共有しあえることは多いです。

5. まとめ

以上、スイムパートにおける緊急事態の対処法の紹介でした。

トライアスロンという競技の特性上、やはりOWS(オープンウォータースイム)での安全管理は声高に主張され、どれだけ用心しても足りないということはありません。

今回紹介した内容はあくまで一部であり一例であることもご了承ください。もしスイムに不安がある方はJTU、ルミナ、トライアスロンチームなどが主催するOWSレッスンを受けてみることもオススメします。

今回の記事で少しでもスイムパートの不安を払拭してもらえると嬉しいです。

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