驚くほどデリケートな花たち
季節の事象を告げる自然の変化は、たいてい、突然、やってくる。今年のアジサイの終わりは一斉に訪れた。しかも、早い。
去年のアジサイは花の種類によって異なり、どこか未練がましさを感じたような終わり方だった。それなのに今年はアジサイたちが、そろって花を開き、あれよあれよといううちに一斉に枯れはじめた。去年は白いアジサイが、遅めに咲き、赤や青のアジサイが枯れたころに最盛期を迎えていた。
今年は、白いアジサイもふくめて種類は関係なくすでに枯れはじめた。これもまた地球温暖化のせいだろうかと、つい、思ってしまうが、そうとばかりはいえないだろう。
生き物たちはとてもデリケートである。ほんのちょっとした変化でも、たちまちそれに対応、あるいは適応していこうとする狂うとなると、激しく狂ってしまうことがある。
昨年、ぼくが住むマンションの敷地の中で、ヒガンバナが一斉に咲いた。たしか、8月のお盆のころだった。まるで気にとめずにFacebookに写真を載せたら、花が咲くのが早すぎると指摘された。
そこではじめて気がついた。ヒガンバナというくらいなので、9月のなかば過ぎのお彼岸のころに咲くべきだと——。なんと、ひと月も早い開花ではないか。もっとも、そのころに咲くヒガンバナもあるそうだが、ここに咲いているのは普通のヒガンバナだった。
憶測にすぎないが、どうやら、近所のお宅の庭にあったヒガンバナの球根が移植さてきたらしい。そのため、花が持つ時間や季節の感覚に狂いが生じ、ひと月も早く咲いてしまったのだろう。少数は、ちゃんと翌月のお彼岸のころに咲いていた。
掘り起こされて眠りから覚め、咲く時期をまちがえたのだろうか。なんともおかしかった。移植したと思われるお宅でもびっくりしたのがわかるようなケアをなさっていた。ヒガンバナだけに好き嫌いはあるだろうが、今年9月の彼岸のころが楽しみだ。
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