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タイパパラドクス(タイパ思考の罠)2024/6/4 #61

ここ数年タイパという言葉をよく聞くようになってきました。「タイムパフォーマンス」を略した言葉で、「かかった時間あたりの効果や満足度」を意味しています。

試しに日経新聞で「タイパ」で検索してみると、「タイパ」が使われている記事は2020年に登場し、2022年から急に増えてきました。
今年は5か月終わったところですが、その時点で2023年の4割程度の数ということで、このペースですと去年並みには登場してきそうです。

私も掃除や散歩の際に、音声コンテンツを聴くことも多く「それまでであれば1つの事を行っていた時間で、インプットできる」ということでタイパを求める行動をしています。

二宮金次郎や本多静六といった過去の偉人達が「農作業しながら本読んでた」みたいなエピソードを見て「過去の偉人もタイパを重視してたのね!」と、どちらかというとタイパには好印象を持つタイプです。

他方でタイパを追及しすぎた結果、トータルのパフォーマンスが上がってないかも?と感じることもあり、そんなことを書いてみます。

※どうでもいい余談:タイトルはvaundyの曲みたいですが、特にそれと関連した内容は書いておりません・・・


タイパを支えるスマホの威力

先述した「掃除しながら音声コンテンツを聴く」、動画コンテンツの倍速視聴、スキマ時間でのメール・チャットで作業を進める、、、これらはタイパを意識した行動と言えると思いますが、いずれもスマホ(スマートフォン)が行動の基盤となっていると思います。

スマホの登場によって、これまでアウトプットゼロだったスキマ時間が、何かしらのアウトプットができるようになり、その時間の生産性は飛躍的に向上しました。

スキマがあれば入り込んでくるスマホの魔力

ところが、最近ふと「スキマ時間があったらスマホで埋めたい」と思うようになっていることに気づきました。

オフィスの中で昼ご飯を食べている時、子どもを習い事に連れていく電車の中、公園のベンチでひと休みする時などなど・・・

これらの時間って「同僚と雑談する」「子どもとシリトリしながら遊ぶ」「街なかにある自然を眺める」みたいな時間にも使えるはずなのに、「ネットの向こう側」についついその時間を預けてしまう・・・。

いずれの行動も、以下のような効果があると思うのですが、

同僚と雑談:お互いの理解が進んで「心理的安全」な環境づくりに!
子どもとシリトリ:子どもにとって退屈な移動時間を楽しい思い出に!
街なかの自然を眺める:気分がリフレッシュし仕事のヒラメキにつながる!

ただその効果が、その瞬間に測れないことも多いからか、スマホを使う方がより有効な時間の使い方だと思ってしまっているのかもしれません。

そして資料作成や、会議中など、その場で何かアウトプットを出すべき場にあっても、油断するとスマホで別のチャットを見てしまいます。
集中して1つ1つ目の前のことを終えた方がパフォーマンスを上げられる場面でも、スマホでマルチタスク化して、固まったPCのようにパフォーマンスを下げてしまっている。
そんな「タイパのパラドクス(逆説)」と言える状況に陥っていることがあるように感じます。

スマホを作り出した本人も、デジタルデトックスの時間を持っていた

ところで最近、縁があって坐禅を始めました。
曹洞宗のホームページによると、曹洞宗の坐禅は「ただひたすらに座る」ことで、「何か他に目的があってそれを達成する手段として坐禅をするのでは無い」としています。
当然座っている間はスマホは見ない。ただ周囲で発せられる音を聴いたり、流れる風を感じ取ったりして座るだけです。これがやってみると何故かスッキリした気持ちになります。ヒトの心身には、あえて何もインプットもアウトプットもしない時間が必要なのだと感じます。

スティーブジョブズも「禅」を取り入れ、坐禅によって得た感性で、iphoneのような無駄をそぎ落とした製品を作り出したとも言われています。

「魔力」のあるスマホを作り出した本人が、スマホと離れる時間をあえて持っているというのも面白い話だと感じます。

思えば私は「温泉」が好きなのですが、温泉の効能や温浴効果でリフレッシュという側面もありつつ、「スマホと強制的に離れられる環境」になっていることも、温泉の良いところかもしれません。

終わりに

ということで、タイパを追求しすぎると他の大事な時間まで埋めてしまうというパラドクスがあるのでは?ということ、そしてスマホにタイパを追求させる魔力があるので意図的にスマホから離れる時間を持ったほうが良いのでは、ということを書いてみました。

皆さんのスマホとの付き合い方で気を付けていることなどありましたら、教えていただけますとうれしいです。ということで今回は以上です!





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