東京スカイツリーを建設する職人さんから「心理的安全性」の要素を感じ取った
皆さんは東京スカイツリーに行ったことはありますでしょうか。
高さ634mということで、東京近郊の色々な場所からその姿を見ることができます。
このスカイツリーの建設について先日始まった「新プロジェクトX」にて特集されていました。
そこではスカイツリー建設に関わった設計事務所、ゼネコン、資材製造メーカーやその職人たち、鳶職の人たちなどなど多くの人がクローズアップされ、建設当時を振り返っていました。
その中で鳶職の人たちのエピソードが昨今よく聞くようになった「心理的安全性」に通ずるところがあり、それについて書いてみます。
(先週放送されたTV番組のネタバレも一部含みます)
出遅れた建設チームが巻き返していく
スカイツリーの足元は、三脚のように最も少ない単位で安定が得られ、その合理的な形状により周辺の圧迫感や日影等の影響等も考慮し、三角形になっているそうです。
(スカイツリーの公式HPを参照)
その建設に際しては、三角形の頂点ごとに3つの会社が担当。下から順々に積み上げて行くので、どこかの会社のスピードが遅れるとほかの会社も作業が先に進められないという構図になります。
プロジェクトXでは、3つの会社のうち抜擢された若きリーダー「半田さん」率いる会社と、カリスマ鳶「森川さん」率いる会社に注目しています。
いずれの会社も各地の建設現場で実績を挙げている業界のトップとも言える存在。
とはいうものの、カリスマ「チーム森川」がテキパキ仕事を進めていくのに対し「チーム半田」は遅れがち。
半田さんはチームの職人さん達に「いつまでにこうしろ」といった具合に、命令口調で厳しく接し、結果現場を離れる職人さんも出てしまう。
転機は3つの会社が合同で行った花見。
お酒が入り始めると、これまで交流することが無かった別の会社のメンバーと話すように。
半田さんはこれ以降、チーム森川を訪ね仕事の進め方についての話を聞くことに。
(「お、盗みに来たな」とイジりつつ、教えてくれるチーム森川にもホッコリするところです)
聞いた話をチーム半田に持ち帰り、メンバーに「こんな話を聞いたんだけど、みんなどう思う?」と対話するように。
するとメンバーからもアイデアが出るようになったのだとか。
こうしてチーム半田も「やってやるぞ!」と、盛り返してきて、最後は「ゲイン塔」(アンテナ用の鉄塔)と呼ばれる部分の施工を手掛けます。
完成間近に東日本大震災に見舞われつつも、工事を完了し、半田さんはスカイツリーの頂点に最初に立つことになりました。
建設のエピソードから感じた心理的安全性とは?
このエピソードを見ながら「職人さんの世界も心理的安全性が機能するんだな」と感じたのですが、ここで「心理的安全性」とは何かについて触れてみます。
以前読んだ『心理的安全性のつくりかた』という本から引用しますと、
ということで、「チーム半田」も花見の後は意見を気兼ねなく言える状態になったと思われ、それが作業スピードという成果にもつながったように見えます。
また、3つの会社(チーム)を「スカイツリーを建設するひとつの組織」と見なすのであれば、花見をキッカケにチーム間でやり取りする機会が増え「チームスカイツリー」の心理的安全性も高まったように見えるなと。
多くの仕事はチームプレイで進めることが多い訳ですから、心理的安全な組織をつくることの重要性は、職人であってもデスクワーカーでも変わらないのだなと感じました。
ちなみに以前書いた南極点到達を競ったアムンセンとスコット。
アムンセンは南極点到達のために活用できそうなアイデアをメンバーから求めたのに対し、スコットは上意下達のチーム運営でした。
その影響もあったのか、南極点到達レースはアムンセンが勝利しています。
(半田さんはスコット型リーダーから、アムンセン型リーダーに移行していったのかもしれませんね)
(レースの詳細は以下で書いていますので、ご興味ある方はどうぞ)
難しい仕事をやり遂げるには
無事完成したスカイツリー。
前代未聞の高さで、突風や雷にも見舞われながら、死亡事故ゼロで完成させたというのも素晴らしいことだと思います。
この写真を見ても、これだけの高さで作業を無事やりきった関係者の方々は、改めて凄いなと感じます。
これに関連し番組の最後、森川さんが述べていた感想が印象的だったのでそちらを引用して終わろうと思います。
目標を皆で共有し、その皆が一体となるチームをつくる。その結果、難しい仕事も達成できる。
組織ではたらく者として、今回登場した人のようなモチベーションをもって働いていきたい。そう感じたエピソードでした。
今回は以上です。どなたかの参考になりましたら幸いです。
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