松江・出雲の旅③出雲大社
松江からレンタカーを走らせる事40分、登り坂のカーブを曲がると巨大な鳥居がお目見えします。こちらが出雲大社の入口になります。
日本人に生まれたからには一度は伊勢神宮と出雲大社を参拝せねば、そう思って数十年、ようやく念願が叶います。
そもそも神社はざっくり大和族の伊勢系統と出雲族の出雲系統に分かれます。○○宮と呼ばれるのは伊勢系統じゃないかな〜(違ったらゴメンね)まぁ、お寺で言ったら密教色が濃い己にストイックな真言宗や天台宗の寺と、割とソフトで大衆的な浄土真宗とでは寺の運営内容も違いますものね。それと同じなのでしょう。
ちなみに私の地元、宗像大社は出雲系統です。
代々神職の家柄の方は、奉職先も同じ系統の神社を選びます。規模の大きな神社で数年奉職し、実家の神社を継ぐパターンなのでしょう。神社はお寺と違って宮司の血統が受け継がれています。出雲大社の代々の宮司は千家の方々、太宰府天満宮は道真公の子孫、西高辻家が宮司を継いでいます。(宗像大社の宗像大宮司家は79代で断絶しました。続いてたら100代は軽く超えただろうに、残念!)
🟨出雲大社境内
とにかく出雲大社は広いです。そして圧倒されるパワー、鳥居一つもケタ違いの大きさです。
宿は出雲大社から歩いて数分の場所を選びました。私は早朝、昼間、夕方と一日に何度も訪れました。当初は他にも出雲市内を観光する予定でしたが、時間の経過と共に様相が変わる出雲大社が見たくて、つい何度も訪れてしまいました。車は宿に置きっぱなし状態です。
🟨神社やお寺の参拝は午前中がおすすめ
どちらの神社やお寺もそうですが、朝一番のお仕事はお社や境内の掃除で始まります。定時になると本殿では朝拝が行われます。
神仏どちらも一日中掃除をする事は変わりません。掃除は己の身体の不浄を祓い、心を清める重要な意味が込められています。
朝8時に訪れた出雲大社は作業着の職員に混じり、巫女や神職の皆さんも忙しそうに境内を掃除をしていました。写真は水色の袴を着けた神職が御幣の付け替えをしている所です。この袴の色だと若い神職の方ですね、紫だと階位が高くなります。
ちなみに、お寺の掃除を作務といいます。だから作業する時の衣を作務衣と呼ぶのです。
ホウキ片手に白衣と袴姿で境内を早足で歩く神職の方々、お社の前を通り過ぎる時は中央で必ず一度立ち止まり、社殿正面に向かって一礼を行います。その所作一つ一つも清々しく、朝の新鮮な空気と相まって、とても良い気分になります。
🟨祈願を受けるなら朝一に!
旅先で訪れる神社やお寺、流行りの御朱印と共に、ぜひ御祈願を受けて欲しいと思います。厄年じゃなくたって、身体健全、開運厄除、延命長寿と願いは多種多様あります。何が良いのか迷ったら、諸願成就か良縁祈願(色恋だけじやないのよ、良い医者に巡り合う事や職場の縁なんかも良縁祈願になるのよ)祈願を受けなきゃ損ですよ〜。
拝殿横に祈願受付所があります。出雲大社は事前予約は出来ません、当日先着受付順です。
祈願受付 8:30〜 入口横の祈願用紙に記入後、銀行みたいな窓口で手続きを行います。窓口の女性が私の住所を宗像(むなかた)とスラスラと読み、私が「さすがですね、普通は読めない人が多いんですよ」と言うと「それは神職ですから…当然で…」と少し得意げな笑顔で仰って下さいました。とても素敵な女性が対応して下さり、緊張していた気分がほぐれました。
祈願開始 9:10〜 それまでに受付を済ませた人達が、その日一回目の祈願のグループとなり、まとめて祈祷を受けます。拝殿内に場所を移し、祈祷を担当する神職が祝詞の中で各々の住所、氏名、祈願の内容を読み上げます。内容は祝詞独特の節回しで読まれますので、他人に聞かれても平気かと思います。ただ自分の名前を聞き逃さないように注意して下さい「気がついたら終わってたよ〜」なんてならないように。
祈祷の最後に舞衣の巫女が神前に舞を奉納します。これを目前で拝見できるのですよ、祈願を受ける価値は十分あるかと思います。天下の出雲大社で奉仕する巫女の舞です。さすが、お若いのに凛とした舞には魅せられました。それと、感心したのは巫女の歩行の美しさでした。拝殿内を音もなく歩く姿はまるで天女のよう、本当にきれいでした。きっと幼い頃から厳しく躾けられたのだと思います。
その後、神職より名前を呼ばれ各々御札の授与が行われます。
こちらはお米が入っていた袋です。多分、神殿で供物にしたお米だと思います。お寺でもご本尊にお供えしたお米や塩を参拝者に配ります。
私は祈願を二つお願いしました。後で受け取った封筒の中を見ると、授与されたお守りと御札はそれぞれ違い、一つは身体守り、一つは護符でした。また金額によって内容も少し変わるようです。
拝殿退出後、祈願を受けた人は特別に本殿近くで参拝できます。
本殿の門は警備が常駐していて、関係者しか門の中には入れません。一般の参拝客は楼門に設置した賽銭箱の前で参拝します。祈願を受ける人は白いタスキを首に掛けており、そのタスキを掛けた者と関係者以外、中に入れない仕組みのようでした。
神職の案内に従って歩き、警備の人が左側の扉を開け、やっと楼門の中へ入る事が出来ました。本殿はかなりの高床、背伸びしても中は全く見えそうもなく、その入口は正面に階段が設置してありました。神職はその階段を利用して出入りしていました。
朝一番の祈願はご利益倍増気分
神社では朝拝と夕拝の2回、神職により拝礼が行われます。出雲大社本殿も同じように朝拝が行われます。
朝一番に祈願を申し込むと、時間が合えば朝拝が終わる頃に本殿の門の中に入る事ができます。私が入った時は、まだ巫女の鈴の音が聞こえてました。しばらく本殿前で待っていると、朝拝を終えた神職の方が降りてきました。それも一人ではなく数人はいらしたと思います。本殿を朝拝される皆様ですから階位の高い方々なのでしょう、会社なら重役クラスの人々。すれ違いざまに見た狩衣も立派なものでした(千家の方もいらしのたかも…)
僅かな時間ですが、一般人が本殿の朝拝に滞在できる貴重なチャンスが、この朝一回目の祈願です。
ともあれ本殿前に並び直し、それぞれ二礼四柏手一礼と参拝を行いました。これで出雲大社の祈願は無事に終了です。本殿の門を出ると白いタスキは回収されます。
こちらは神在月に八百万の神様方が滞在される社です。とても長い社、これが11月になると神様方で満杯になるのかしら?ちょっと狭くない?ついそんな事を考えてしまいました。
🟨出雲大社のパワースポット
本殿裏側にある素鵞社(そがのやしろ)
八重垣神社で紹介しました。八岐の大蛇を退治したスサノオノミコト(素戔嗚命)を祀るお社が本殿の裏側にあります。こちらがパワースポットです。
素戔嗚命は大国主大神様の親神様で、天照大神の弟神。
この社の真裏にある崖のような岩肌に直接手を触れます。これで背後にそびえ立つ八雲山のパワーを頂く事が出来るそう…。この日も大勢の人達が並んでました。中には両手で岩肌に触れ、長時間佇む人もいました。必死に祈る姿、何か悩みでもあるのか、それとも願いがあるのか…。
私は両手で岩肌に軽く触れ、次の人に代わりました。
このお社の軒下にお汐井が用意されています。どなたでも持ち帰り無料、だからといって欲張らないで、スプーン1杯で効果は十分です。玄関や庭の浄めに効果がありそうな気がします。私が島根県民なら毎月いただきに参りたい。
🟨有名な大注連縄は神楽殿
私も勘違いしていましたが、有名な大注連縄は本殿や拝殿じゃなくて、横の結婚式で使用される神楽殿でした。
とても立派な大注連縄です。
しかし、私の地元の宮地嶽神社だって負けてないもんねー。
↑こちらが最近の宮地嶽神社の大注連縄です。ま、負けてるかしら?
↑出雲大社。う〜ん、どちらも見事な大注連縄です。勝ち負けは関係ない、ご利益、ご利益♪
🟨自然溢れる境内
境内に点在するうさぎのオブジェ。
朝と夕方は地元の人が多く、皆さんそれぞれ散歩やウォーキングを気軽に楽しんでいるようでした。
格式高い出雲大社が意外と敷居が低い事も感心しました。本殿を参拝しなくても散策がてら毎日こちらを訪れる人も多いそうです。
出雲大社の境内の横側に出ると、細い道が続いてます。そこを歩くと普通の民家が立ち並んでいました。民家が途切れ、田畑が広がる穏やかな風景が広がります。車一台やっと通れるくらいの細い道、昔ながらの町並みも沢山残っていました。
長い歴史の中で出雲大社は人々に崇められ崇拝された聖地でもあります。でも実際に訪れた出雲大社は拍子抜けするくらい、地元に溶け込んだ居心地の良い場所でした。
もちろん境内は立入禁止区域もありますから、そこはご注意を。
🟨何度も訪れたい出雲大社
最終日、チェックアウト前に最後の参拝をするため出雲大社へ。
3日間、この地にお世話になったお礼と、再び出雲大社を訪れる事ができますようにとお願いしました。
皆には黙って一人で旅に出ましたが、夜になり結局、友人に電話で出雲の良さを喋ってしまいました。
「え〜!いいなぁ〜!出雲大社かぁ〜」
「とってもいい所だよ!今度一緒に行こうよ!」
今回は一人旅でしたが、次は友人に出雲大社の魅力を案内したいものです。来年にも行きたいなぁ〜。
つい友人に喋ってしまったので、出雲でお土産を買い、帰りはバッグが増える羽目に…。
自分の土産は勾玉のアクセサリー、うさぎ柄のハンカチと身に付ける物を数点選びました。どれもちゃんと愛用しています。
🌸次回は道の駅とグルメを紹介したいと思います🌸