第2回 Lightroom CC AIノイズ除去 完全攻略への道| ノイズ除去力を知る時①
記事のサマリ
第2回 ノイズ除去力を知る時①
検証内容
定量測定の回。まずはシンプルな検証から参りましょう。
滑らかな無彩色の平面をさまざまな感度で撮影し、AIノイズ除去を適用した結果の輝度ノイズ量を測定しました。
試験機材と試験手順
◾️試験機材
カメラ: SONY α7RIII
レンズ: SONY SEL50F25G
被写体: Xrite カラーチェッカー・パスポート フォト グレーチャート
◾️試験手順
画角を固定してチャートを撮影。
ISO感度を100から102400まで1段ずつ振り、露出を合わせるようにシャッタースピードを調整した。
撮影したRAWデータをLightroom CC(ver 13.31)に読み込ませた。
各感度のデータに対し、AIノイズ除去を適用した。AIノイズ除去の強度は0*, 25, 50, 75, 100の5通りとした。その後、すべてLightroomCCよりjpeg形式で書き出しを行った。
*強度0はノイズ除去をかけずに現像
書き出した全てのjpegデータに対して、グレーチャート部分の以下の範囲を選択し、輝度値の標準偏差を算出した。なお、解析には画像解析ソフト ImageJを用いた。
分析
低感度の領域と高感度の領域とでやや振る舞いが違うことが分かったので、分けて考えます。
■低感度領域
Fig1-1に結果のグラフを示します。
横軸はAIノイズ除去の強度、縦軸は測定範囲における標準偏差を表します。
標準偏差は各ピクセルの輝度値のばらつきのことを示しますので、これを輝度ノイズの量と扱うことにします。
また、Fig. 1-2に撮影写真の切り抜きを羅列します。ノイズの変化を見えやすくするため、1000%表示しました。
■高感度領域
Fig2-1に結果のグラフを示します。読み方は低感度領域と同じです。
また、Fig. 2-2に撮影写真の切り抜きを羅列します。低感度領域と同様に、1000%表示しました。
結果と考察
低感度領域では、強度75まで適用するとノイズ低減効果はほぼ飽和します。それ強い強度を当ててもあまりうまみはなさそう。
高感度領域では低感度領域と異なり、強度を上げれば上げるほどノイズは抑えられることが分かりました。また、強度25で約1段分のノイズ低減効果となる傾向がみられました。
強度100は強すぎです。特に低感度領域では最低感度(ISO100)で撮った画像よりも滑らかになってしまい、違和感に繋がる可能性があると思われます。
今後の課題
今回はすべて適正露出で実験を行ったため、シャドウ部やハイライト部における挙動を確認する余地があります。
他のカメラでの挙動も見てみたいところ。
無彩色部ではなく、色のついた部分ではどうなのか?も気になります。
ベイヤ配列のイメージャでの結果なので、X-Transのイメージャでも試したいです。しかし富士フィルムのカメラ持っていないんですよね。。どなたかRawDataご提供いただけないでしょうか!
おわりに
今回はAIノイズ除去の解析の一つとして、グレーチャート上の輝度値の標準偏差の変化を調べることでノイズの除去力を調査しました。
低感度領域では強度75程度でで十分!
高感度領域では強度を25上げると約1段分のノイズ低減になる!
適正露出以外の明るさはどうなるか?色のついた部位では?他のイメージャではどうか?などなど、残課題多数あり。
まずは第一歩としてまとめました。課題と課題が見つかった印象です。
こちらの深堀も進めつつ、次は色再現あたりを評価してみようと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
機材のご紹介
◾️SONY α7RIII
◾️SONY SEL50F25G
◾️Xrite カラーチェッカー・パスポート フォト
◾️ImageJ
■Lightroom CC
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?