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【歌詞】タイトル:未定


珍しくイヤホンを外した

傘を叩く雨音が心地よくて

家を出たときは邪魔でしかなかった雨が

とんとんと背中を叩いてくれるようで


髪も整えてきっちり着こんだスーツ

息苦しくてたまらない

お決まりの定型文でなにが面白いの

それでも周りに溶け込む私を

いっそ洗い流してくれないか


目立たなきゃって並べた言葉は

浮きに浮いて空回り

結局自分の言葉が一番響くよねって

同時に自分のオリジナルの少なさに気づいて

冷えた心を濡れたスーツのせいにした


眠れない蒸し暑い夜

窓を叩く雨音を聞きながら

明日言うだろう自己PRを声にのせた

こんな風に凪いだ心で臨みたいのに


好きだから、叶えたいから緊張する

少しでも良く思われたい

でも別のところでの将来を祈られるたび

世界から消されてしまったような

それでも雨は私を濡らす


誰かと比べるつもりはなくても

安心したくて比べてる

安心したくて比べたはずがいつの間にか

自分が誰かの安心材料になっていて

土砂降りのなか傘を閉じた


もうすぐ梅雨前線のニュースは減って

雨が止んでしまっても

自分の心に触った私なら

湿っぽかったのは雨のせいだと

カラッと笑える日がくるかもしれない


柔らかくなったパンプスで

水たまりを踏みつけた

撥ねた泥はそのまま  シャツのボタンも一つ開けて

今日は少し楽しめそうだと

左肩濡らし歩いていく





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