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【エッセイ】日常生活リハビリ中


 久しぶりに電車に乗った。
空いていた座席に座ったけれど、先に座っていた隣の人との間になんだか気まず~い空気が流れて降車駅が待ち遠しかった。

 久しぶりに買い物に出かけた。
新作の洋服やコスメ、雑貨や本、買いたい物はたくさん。「買うぞ~」と意気揚々と出かけたのだけれど、結局見るだけで楽しくなってしまって、何も買わずに満足して帰宅した。

 久しぶりに友達と遊べた。
 会話の途中の沈黙も懐かしかったけれど、その沈黙の時間も惜しむように、いつも以上に踏み込んだ話をした。帰り際、お互いちょっと照れくさくなって、「遊び方、忘れてるね」と笑いあった。

久しぶりって、ドキドキ、ハラハラ、ワクワクする。
勿論、すべて元通りではない。新しいこともたくさんで、間違えてしまうこともある。
レジで会計するとき、ついお金を手渡ししてしまい、
「あ」
「あ」
店員さんと目が合って、
「すみません」
「いえ」
お釣りを受け取るときはトレーで。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
お互いマスクの下に笑顔がこぼれたのを感じた。

まだまだ道は途中だろうけれど、私の想像に及ばないたくさんの人の働きとたくさんの人の協力があって今があること。
そして、久しぶりのこと、新しいことに翻弄されているのは、みんなお互い様なのだと、忘れないでいたい。

日常生活リハビリ中。


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