見出し画像

[旅行記]美の宝庫だった倉敷

岡山で、前日の予約ではここしか空いていなかった宿は、とりあえず寝られれば十分という最低限をギリギリ満たせなくもない程度だった。やや寝不足を感じつつも早々に後にして、朝早くから倉敷へ向かう。

とはいえ倉敷について、なんか町並みがきれいらしい、ということ以外に前情報を全く持っていない。ふらりと見て終わりかな、と思ったところにポスターを見かける。

あれ、大原美術館ってここにあったの?

なぜか名前だけは知っていた。自分でも知っているくらいなのでかなり有名な気がする。しかもどうやらモネの睡蓮があるらしい。

ここで今までの自分なら、とはいえ美術館にはそこまで興味ないかな、となってしまうところだったのだけど。最近、美術関連で有名な山田五郎さんのコンテンツに触れて、絵画や美術館にも興味が出てきたところだったので、これは行ってみるかと。

しかし開館まで3時間以上あるので待つのがだるいかもなあ、なんて思いながらとりあえず古い町並みの方へ向かう。

これが予想外に見どころが多い。

まずは阿智神社にお参り。ゆるい傾斜の石段を登っていくのが気持ちいい。

地図は見ないで、黒い木の壁のあいだをぶらぶらと散策してみると、なんだか迷路に迷い込んだみたい。直線が少なくて碁盤目状になっていない町の様子は、高山の古い町並みとも違う。

不意に視界がひらけて、柳と水路が。
あ、綺麗だな、と感じる。

このあたりで写真にしたい風景が多くて、時間があっという間に過ぎていく。

なんだか良いな、と思ったこちらの邸宅の瓦は不思議な色合い。掃除をしている方と話してみると、なんでも一枚で今の値段では数万円くらいしたらしいとか。納得。

そうこうしているうちに、大原美術館の開館時間に。

モネやカミーユ・ピサロ、ホドラー、セガンティーニといった、山田五郎さんのコンテンツで見た絵画の実物が。見知った絵があると、おおー、となる。

ひととおり見てまわって、今度はフレンドリートークという、絵画についてあれこれ語ろうというイベントがあったので、せっかくなので参加してみる。この中で一枚だけ持ち帰れるとしたら? という問いに対して選んだのはポール・シニャックの「オーヴェルシーの運河」。

この絵について、学芸員さんや他の参加者の方とあれこれ語る。それぞれの視点が自分にはなかったりして面白い。ここに来るまでまったく知らない絵だったけれど、なんだかこの経験のおかげでずっと忘れない絵になりそうな気がする。

こういう美術の楽しみ方も良いな。

最後にミュージアムショップがあった。プリントされたモネの睡蓮は、たしかに実物とは色が違う。これが山田五郎さんが言われていたやつか。完全な再現は本当に難しい。色って不思議だ。

他にも陶器や仏像があったり、日本庭園があったり。
光に溢れた景色に、思わずシャッターを切る。


美術館を出ると、昼時の町は人で溢れていた。人混みから離れようと、少し離れたところにある市の芸文館公園へ。

ここでも催し物が。JICA関連の国際交流イベントらしい。入口でベトナムからの留学生が案内をしていた。ベトナムに行っていたことを話してみると、打ち解けて現地の細かいことで盛り上がる。

バイオリンとピアノの生演奏をしばらく楽しむ。

ひと通りまわったかな、というところで駅へ向かう。
様々な美に触れた倉敷、予想外に楽しめる町だった。


その後は尾道へ移動。

尾道、前に来たのはもうずいぶん昔になる。あのときは自転車を持って来ていて、しまなみ海道を走るのが目的だった。久しぶりに降り立ってみると、なんだか随分と変わったような気がする。少なくとも、人のにぎわいが以前よりももっとすごい。

今回は自転車を持って来なかったので、それならと逆に坂の町としての尾道を楽しむ。

猫の道とも言われる坂を登っていく。なかなかキツい坂。細い路地に沿うように家がぽつぽつと建っている。こんな場所によく家を建てたと思う。昔は荷物を運ぶのなんてとても大変だったろうに。今だと、電気はいいとしてもガスはプロパンの運搬とか大変そうだけどどうなっているんだろう。実は都市ガスなんだろうか。

坂の上まで登りきって、お寺にお参り。

ちょうど夕暮れどきが近い。暫く待っていると、予想通り、良い夕焼けが見れた。

いいなと思ったら応援しよう!