[旅行記] ポルトガル旅行を思い返して
長らく続けてきたポルトガルの旅行記も、一段落。それぞれの日々でどんなことを見て、感じて、思ったのか、思い出せる限りを書いてみた。
旅の全体を振り返ってみると、もちろんいろいろなことがあって。でもそのどれも今となってはもうおぼろげな記憶になりつつあることに、時間が流れているのだと改めて意識させられたり。
憶えているうちに、書けるだけ書いてみよう。
今回は、旅の総括。感じたことなどをいろいろとまとめてみる。
トラブルあれこれ
旅行記のはじめのところでも書いたけれど、初日、というか到着前からスマホのSIMがお亡くなりになる、というトラブルから始まり、その後もいろいろトラブルがあった。
これまでに書いたことも含めて、こんなトラブルが。
現地SIMに入れ替え中にSIMカードを入れるフレームが折れて、中途半端な状態で残されたSIMとSDカードが使用不可。取り出すこともできないからSIM交換もできず。ここからさらに、スマホそのものが使えなくなったらさすがにまずいので、無理に取り出すのはやめておいた。
2日目にリスボンを巡ったあと、首の後ろの広い範囲でアトピーのようにカサカサな状態に(もともとアトピー持ちではない)。鏡で見るとかなり赤くなっている。痛痒さでタートルネックの服が切れず、首すじに衣類が当たるのがとても嫌な感じに。おそらく、日中に少し汗を書いたのと、でも夜は寒かったのでシャワーを浴びたときに温度を上げすぎていて低温やけどのようになったのかもしれない。その後、ポルトガルを離れる頃まで2週間近くこんな状態に。
初日のリスボンの宿にアイマスクを忘れる。いつも付けているアイマスクが無くて、なんとなくそわそわ。その後、最終日にリスボンに戻ってきたところで回収できたので、宿の人には本当に感謝。
ポルトにて、アパートの解錠方法は事前にメッセージでもらうセルフ方式だったのだけど、教えられたとおりにしても開かない。というか、電子タイプのナンバー入力方式で、どう考えても一部の数字キーが押せていない感覚。結局、事務所の方まで出向いたり、そこで「あなたのやり方が悪い」で何回も往復したり。最終的には事務所でスペアキーを受け取ってなんとか入れることに。
帰りの空港にて、ポケットからうっかりパスポートを落としてしまったらしく、後ろの人が慌ててこちらに届けてくれる。普段はこんなことないのに、帰る間際になってうっかりしすぎ……。
こう書いてみて思うのは、いろいろとあったけれど後から考えたら全体としては大きな事件もなく、ケガや病気になることもなく、良い旅だったな、と。でも、まあ、そのときは結構焦るのだけど。
一番つらかったのは、首すじの肌トラブル、かな。
マデイラの宿のホストさんが、オーガニックな保湿クリームを提供してくれたので、それで結構効いた気がする。ホント、助かった。
オススメの町
いくつか訪れた町の中で一番良いところだな、と思ったのは、ブラガの町。訪問した旅行記にも書いたけれど、数多くの素敵な教会、落ち着いていてのんびりした佇まいがとても心地よかった。
食事代や物価も大きな街に比べたらかなり安めだし、美味しい食事処もそれなりにあったし、電車でポルトまで1時間ほど、30分おきくらいに出ていたりと、そこまでアクセスが悪くないし。
比較するのは本当は良くないとは思いつつ、ポルトの街は、歴史的建造物がたくさんある点ではとても魅力的だったのだけど、いかんせん混みすぎ。そしてタバコの煙が酷すぎ。
ポルトガルではどこも基本的に屋外でなら喫煙にNGは無いようで、歩きタバコも店の軒先でも、あらゆる場所でタバコを吸っているひとだらけ。屋内は完全禁煙なのでそこはまだ良いのだけど、歩いていればとにかくタバコのニオイがない場所はないくらい。タバコのニオイが駄目な自分にはとにかく厳しい街だった。
タバコについては、ポルトに比べるとリスボンはもう少しマシだけど、やはりなかなか辛い。マデイラは、観光客はそこまでタバコを吸っている人が多くなかった印象で、そんなにタバコで嫌な思いをした記憶がない。
観光して楽しいかどうか、というのはそこに求めるアクティビティがあるかどうか、なので人によりけりだと思う。過ごしやすさ、という観点で考えると、ブラガが一番良かった、という結論。
食事について
ポルトガルは物価が安い、という触れ込みだったけれど、コロナ禍以降のインフレと物価高、そして円安の影響もあってあまり安いとは感じなかった。ただ、他のヨーロッパ諸国よりはまだ安い部類に入るのだろうな、という感じではあった。
庶民的なスーパーの pingo doce はいろいろと揃っていて、かつ安くて、自炊をする際にかなり助かった。バラ売りの野菜の買い方を心得てからは、日本と変わらないかむしろ安いくらいの野菜や豆類、そしてパンや米のおかげで、かなり食費を抑えることができた。とはいえ、その分外食でいろいろとトライしたので食費全体だと結構かさんだのだけど……。
ポルトガル旅行の際に、自炊できる環境はないけれど外食でとにかく食費を抑えたい、という場合は、「本日のスープ(Sopa do Dia)」と何かしらのパン類ひとつを頼む、というのが一番安上がりで満足感ある食事になる気がする。
ポルトガルのスープは野菜や豆が中心で具だくさん、しかも量がかなりたっぷりあることが多いので、満足感があるだけでなく栄養バランス的にもかなり良さそう。パン類は、サンドイッチなどはあまり種類が無いのでシンプルなものばかりになるけれど、ボリューム的には結構あるので、この2つでかなり満腹感は得られるはず。若い男性とかでないのなら。というかむしろ、女性や中年以降の日本人にはこれくらいで十分な感じ。タンパク質がちょっと足りないかもなので、どこかでバランス取る必要はあるかもだけど。
飲食店やスーパーなどでも、いわゆる惣菜系のような少し「ちゃんとした食事」の流れのものは、高くなりがち。一方で、ファストフード的なもの、特にバーガー系の "Sande" はボリューミィで中の具材もしっかりと入っていることも多くてオススメ。1個でもかなり満足感がある。ただ、これだけだと今度は野菜不足な感じにはなるので、ここもどこかでバランスを取る必要あり。朝か夜にスーパーでカット野菜などを買って食べる、とかかな。
若い人たちが食べているものを見ていると、やっぱりちょっとファストフードに偏りがちに見えた。チェーン店のハンバーガー屋ではないのだけど、似たような構成のセットメニューでフライドポテトが大量に付いてくるような。フレンチフライやいわゆる「チップス」っぽくもなかったし、アメリカンな食文化がかなり濃くなってきているのかな、と感じた。
閑話休題。とりあえずこんな感じで食費を抑えることはできるので、普段はうまく抑えつつ、本当に食べたいものがあれば、そのときには迷わず大いにお金を掛ければ良いと思う。メリハリが大事。もちろん、アクティビティを優先させても良い。
ただ、美味しい食事の体験は結構忘れがたいものになったりするので、あまり興味ない人でも一度くらいはお金かけても良いのでは、と個人的には思ってる。
暮らすように旅をすること
今回のポルトガル旅行では、「暮らすように旅をすること」を意識していた。
2泊3日のような短い旅であれば、最初から最後まで思いっきり非日常の振る舞いでいることもできると思うのだけど、2週間にもなる長めの旅であれば、そこはもう生活と不可分な感覚になっていく。その長さは人にもよるだろうけど、自分の場合は7~8日くらいが境になる気がしている。
暮らすように旅をする、と言っても漠然としているのだけど、ひとつは食事。
外食ばかりではなく自炊をすること。現地の食材を使ったらどんな食事ができるのか。どんな味がするのか、といったあたりを試してみたいと思っていた。
「その土地の、ごく普通の生活をしている人たちが何を食べているのか」というのは自分の知りたいテーマのひとつでもあって。だからスーパーにもよく行くし、外食も高めのレストランではなくいわゆる町の食堂というような店を探すようにしている。
また、ひとつは強行軍にならないこと。
普段、1日中歩くような生活をしていないのだけど、旅行のときは気になるものが多くありすぎて、気づいたら本当に朝から晩まで歩きっぱなしということもよくある。でもこれをやってしまうと、足と腰まわりに負担がかかりすぎてしまって、3日も続けると痛みが引かなくなってしまうことも。(だから、海外旅行の持ち物リストの中でも湿布薬はマスト)
歩き慣れていない都会人、と言われればそれまでなのだけど。腰については、以前手術をしてから長い時間の負担には耐えられないようになってしまった。現在では普通にしている分には心配は特にないけど、やっぱりいろいろと身体にガタは来ている。無理をしすぎないことが、結果的に長く楽しむためのコツ。
この2つのポイントを抑えるために、今回は自炊ができるアパートメントのような宿に連泊するスタイルを取った。冷蔵庫が使えて、食材や作ったものもストックできる場所。とはいえ、毎食自炊自炊で通すことを目的にはしていないので、そこは臨機応変に考えられるようにしてはいたけれど。
また、移動移動の旅はどうしても次の宿をどうするか考える時間が必要になってしまう。そこでなんとなく気が重くなるのが自分なので、そういったネガティブな時間を減らすためにも、連泊で旅の拠点として構えるスタイルを選ぶことにした。
結果的には、うまくいったように思える。宿が固定化されてしまったことで、「あー、もっとこっち行きたかったかな」ということがなかったわけでもないけれど、やりたいことは概ねできたし、精神的にも肉体的にも余裕を持って旅をすることができた感覚が今も残っている。
無理をしない。生活の延長線。そんな旅をすることが、振り返ってみるとしっかりできていたように思える。
旅の荷物
旅の荷物は、ほぼこれまでと同じようなスタイルだった。ずっと使ってきている35Lの登山用バックパックと、小さめのカメラバッグの中にカメラ&交換レンズ2本。
バックパックの中身は
3日分の着替え + 折りたたみダウン + 上着1枚
洗面用具などの生活小物
充電器などのデバイス小物
薬類
折りたたみバッグ(街歩き用)
折りたたみ傘(この時期のポルトガルは雨が多かったのでとても重宝した)
水のペットボトル
というくらいなので、中身全体で5kgくらいだったと思う。
それでも、1日ずっと背負うような日はやっぱり腰が痛みはじめたりして、物を背負って歩くのはちょっとしんどいな、と思ってしまうことが多かった。
これがいつものスタイルだったのであまり気にしていなかったのだけど、ふと最終日になって、折りたたみバッグの方にバックパック荷物を入れてみたらどうなるかと思って試してみた。
折りたたみバッグは18リットル。その中に、なんと上の荷物がなんとか全部収まる、ということに気づいた。
バックパックは35リットルの登山用で、海外旅行の際にはいつもこれを使っている。ヒップベルトも付いていて腰への負担は軽減できるようになっていたり、親指を掛けるところがあって(名前忘れた)肩周りの負担が軽減できたりと、確かに使い勝手はとても良いのだけど、990gという重さと、今の荷物にはちょっと過剰ともいえる大きさは、なんとなく合っていないように思える。
海外から何かを持ち帰ってくる予定があれば別だけどそういう予定もなく。荷物も以前より厳選していった結果、35リットルというサイズは不要らしい。
あと、LCCでマデイラ島まで行くとき、ラージバッグの追加料金(大体2500円くらい)が必要になってしまった。往復で5000円程度。なんとなく勿体ない気分。
追加料金なしのスモールバッグは Max 45 x 36 x 20 cm というサイズなのだけれど、自分のバックパックはかなり圧縮しても若干収まらないような、でも許容範囲内のような、という微妙なサイズ感。揉め事の種はできるだけ減らしておきたいと考えて、ラージバッグは事前に追加しておいた。
結果的にもうちょっと小さいバッグでもなんとかなったわけで、こういうこともあるから今後の旅に向けてサイズダウンを図ってみようかと。
それこそ、折りたたみバッグの18Lで十分かもしれない。冬場の装備でもなんとか収まるくらいだったから、夏場ならもっと少なくて済むだろうし。背負いやすさや様々な機能性は登山用バックパックには及びもしないけれど、110gという軽さでバックパックよりも800gも軽いとなれば、流石に全然違ってきそう。
もうひとつ折りたたみバッグがあればさらに良いかもしれない。もしくは、アタックザックのような小型軽量なバックパックをメインとして持っていくか。ただまあ、手持ちのバッグを無理に増やす必要性も感じないので、今あるものでなんとかなる範囲で考えてみるのが良い気がしている。
いずれにしても、まだまだ旅の荷物は考え直す余地があるわけで。なんていうか、こういうのを考えるのも楽しかったりする。
ミニマルな旅のすごい人といえば高城剛さんが思いあたるのだけど、あの人は10Lのバックパックで海外も旅していたとか。あそこまでのストイックさと、10Lというサイズはさすがに真似できないけれど、でもだいぶ近づいてきているような気はしてきたかな。
その他
旅の思い出のひとこと記録たち
「サシミ」が普通に通じてる世界:
「スシ」は世界で通じる認識だったけど、まさか「サシミ」まで普通に通じるとは思わなかった
オリーブオイルと胡椒はあるのに塩が無いってどういうこと
キッチンつきのアパートでの話。でも、しかたなく作った塩なしの野菜スープは、意外なことにしっかり美味しかった。塩って、実は無くてもなんとかなるのか、と目からウロコ。鐘の音とウミネコの鳴き声
ポルトの街に朝から晩まで流れる二大BGM。
ナイフで切って、でも皮は剥かない
市場で見かけたおじいさん。フルーツ片手に隣のベンチへ。徐ろにナイフを取り出し、フルーツを切って、でも皮は剥かずに食べる。そうそう、皮の内側のところが、美味しいよね。みんな親切だった
バス停で時刻表とにらめっこしていたら、「何番? すぐに来るよ。どこか行きたいところある?」と聞いてくれた高校生。
スーパーでガラスケース内のチーズの買い方を教えてくれた老夫婦。
乗る列車が違うことを教えてくれた御婦人。
親切にメニュー解説してくれたお姉さん。
なんだか、優しい人たちばかりだった記憶しかない。
ありがとうポルトガル。
いつかまた、めぐり逢えたら。
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