見出し画像

任務完了?

2021年2月3日、暦の上では「立春」冬と春の境目の日と言うことで本来ならここから春らしく暖かくなるはずなのですが、とっても寒かったです。
今回、この病院に来たのはある報告をするためでした。
ここは、吹田万博にある「大阪大学医学部附属病院」(通称、阪大病院)です。

数年前、親父がここで大手術を受けました。
心臓の中にある弁膜が長年のカルシウムなどの蓄積で動きにくくなっていました。
そのため正常に閉まることができず逆流する恐れがありました。

執刀医の先生から、3種類の方法があると言われました。
1つは薬物療法つまり薬で治していこうと言う方法です。
飲み薬なので簡単だと言う事でしたが根本的な解決にはなりません。
1つは胸を切り開いて直接心臓にメスを入れ弁膜の交換をすると言うものです。
確実な方法なんですが、胸を開くと言うことで術後の復帰がかなり遅くなるということが欠点でした。
1つは腹腔鏡手術で横腹に少し小さな穴を開け、腕の静脈から心臓へカテーテルを挿入、心臓の壁を少し切って、カテーテルを腹腔鏡の方へ伸ばし、そこから人工弁を入れていく新しい方法があると言うことです。
しかし、この手術の症例が少なくまたとてつもなく高価な手術になります。

本来なら2番目の開胸手術が1番ですが、親父が高齢でありまだ透析もしているので3番で行こうかと言う話になりました。
ここへきて7,000,000円ほどのお金が必要になるのかと思ってぞっとしましたが、すぐにこの方法に行くことになりました。
何故かと言うとこの手術は「治験」の対象になっていると言うことでした。
腹腔鏡による手術に関しては、親父は胆嚢を取った時に経験しているので術後の回復がとても早い事はよく知っていました。
治験になると、手術費用は免除されます!
それに、何ヶ月かもしくは何年かに一回しっかり動いているかどうかも検査を受けることになります。
この検査も少しお金が返ってきます。
親父が「普通にチャージバックでライブするよりもらえるやん!」と喜んでいました。

と言うことで、腹腔鏡とカテーテルによる心臓弁膜の交換手術が行われました。
予定時間よりもかなり早い時間で上がってきたと言うことでとても安心しました。
今回の手術には執刀医の心臓外科さん、透析をしているので循環器内科の皆さん、そしてもし心臓の中のゴミ(血栓)が脳に行って血管を詰まらせないようにするために脳外科の先生も立ち会っていただきました。
本来ならこの手術に行く前に歯医者に行ってすべての歯を抜くことになります。
歯の細菌などが全身に回らないようにと言うことでしたが、親父は断固拒否しました。
当然です。術後演奏できなくなるからです。
しかし、酸素供給用の管をつけるために、鼻の下のヒゲは剃られることになりました。

術後の経過はとても良く、80の体とは思えない位の回復力でした。
そして、何ヶ月かに1回検査に行くことになります。
もう数年が経っていたので、年に一回2月の13日(親父の誕生日)あたりで行くことになっていました。
2月の頭になり、おかんのもとに病院から電話がありました。
親父が死亡したことを報告するのを忘れていたのです。
そこで、死亡診断書を持って病院に行きました。

執刀してくれた先生にまた会えるかと思ったのですが、折り合いがつかず死亡診断書をコピーして帰ってきました。

晩年の親父は、本当に多くの病院の先生に助けられていました。
歯医者、透析の先生、呼吸器内科の先生、眼科の先生、心臓外科の先生…
本当に多くの先生方に助けていただきました。
親父にかわりまして心から感謝したいと思います。
ありがとうございました。

本当は、あまりよく行きたくない病院ではありますが、親父の思い出の地になっています。
コロナの中でそんなに病院には行きませんが、多くの病院の近くを通るとき必ず親父を思い出します。
早く退院して復帰したいと言う気持ちが主治医の先生を困らせる要因になっていたことも思い出です。

入院中のある日、親父とロビーで退院後のライブの打ち合わせなどをしていた時に、看護婦さんが走ってきました。
「古谷さん大丈夫ですか!!!!」
「ピンピンしてるで。どうした?」
「取れてるだけやったんやー。よかった〜・・・」
いつもモニターしている心電図の端子が話し合いの盛り上がりで取れてしまい送信不可能になっていて、ナースセンターの心電図の警告音が鳴り響いていました。
笑い話で済みましたが、看護婦さんはえらい怒ってました(笑)

とにかく看護婦さんとはよく話したりして仲が良かったです。
もちろん困らせてはいましたが主治医とも仲が良かったようです。

こうやって一個一個が片付いて思い出になっていきます。
一つ一つ方の荷が降りていくのがとても嬉しいようで悲しいです。

どんどん思い出にしていて前へ進んでいこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

読んでいただきありがとうございます。 もしよろしければ、サポートもよろしくお願いします。 サポート頂いたお金は、各バンドの運営資金等に使わせていただきます。