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そうだ珈琲屋になろう。 その6

沖縄の旅は「ヒロ・コーヒーファーム」に行くことが目的だったが、それ意外も自分にとって為になる旅だった。

節約をしたかったので宿はゲストハウスを初めて利用した。

実は言うと予定していなかったことなのだ。

本来自分の事なので一人で行かなければいけないのだが、私は友人を誘った。

当時は外食も一人ですることができないくらいで、一人旅なんて考えられない事だった。

とはいえ個人的な用事でましてや多くの友人は仕事をして暇などない。

唯一バイト暮らしでバックパッカー経験者の友人をダメもとで誘ってみた。

彼は沖縄での一人旅も経験済みで、久しぶりもあって快く付き合ってくれた。

そして彼に従うように2週間の旅が計画されたのである。

長期になれば宿代がかかるのは当然でゲストハウスも必然だった。

珈琲屋を目指しているわけだから当然接客業でコミュニケーションが重要になる。

しかし当時の私は人見知りで不特定多数の人がいる部屋で寝泊まりするゲストハウスなんて恐怖でしかなかった。

しかも聞けば夜にもなると一緒に酒を交わすこともあるらしい。

不安しかない状態で私は経験することとなる。

実際はどうだったのかというと大したことはなかった。

意外にもゲストハウスを利用している人は様々で、沖縄移住の仕事探し拠点だったり、夕食など自炊なので食事する時間など皆が同じというわけではない。

よって接する時間はまちまちで、さらに寡黙な人もいるから気楽に過ごすことができた。

だが何より私が良かったのはその苦手だったコミュニケーションをとった事である。

多くの人と話すと色々な人がいることに驚く。

沖縄の魅力にとらわれ移住を目指している人。

人間関係をこじらせ逃げるように来た人。

沖縄返還日と同じ誕生日だということが何かの運命と感じて家族を捨ててきた人にはびっくりした。

もちろん旅費を抑えるためにただ利用している人もいる。

それぞれの経緯など聞いてるだけでも面白かった。

そして私もコーヒー農園を見に来て珈琲屋をやろうとしていることを話すとみんなが応援してくれた。

なかには開業した際は連絡をほしいと言ってくれる人もいて本当に頑張ろうと思えた。

自分だけではなく多くの日が何かに悩み、何かを目指したりしている。

大きさの差はあるかもしれないが、少しだけ転職先が見つからない事がちっぽけに感じて楽な気持ちになった。

人見知りで苦手な事にチャレンジしない性格だったが、あらたな事に挑戦して色々経験することは何かを見出すことができる。

あらたな発見をできた旅になった。

この旅でゲストハウスには何件か利用したのだが、どれも良い出会いになった。

そしてどのゲストハウスも帰る際に言われる言葉がある。

「いってらっしゃい。」

またいつでも来てねという意味らしい。

いい言葉だなと改めて感じた。

(つづく)

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