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投資を自分ごとにする

近況アップデート

最近言語化したのですが、私は「人生を豊かにする投資」を実践したいし、広めたいと思っていることに気づきました。
投資はあくまで手段なので、そこに付与する意味や方法次第で、得られるものは大きく異なります。投資のあり方は多様で良いという前提で、その中でも、実践していると人生が豊かになりやすい投資のあり方を模索するのが私のやりたいことなんだ、という整理です。その上で、人生を豊かにする投資における重要なキーワードが、「自分ごと化」なのでは?と思い始めています。

きっかけ

そう思い始めたのは、知人と話していた時に、「良い街づくりの肝は幅広い住民を巻き込むこと。重要なステークホルダーなのに、既存のやり方だとごく一部の人しか参加できていない」という話を聞いたことがきっかけです。その話を聞いた時に、「投資は投資をする人の生活に直接的な影響はなく、自分ごと化しにくいな」と直感的に思いました(街づくりはお金だけでなく、生活の様々な側面に影響がある話なので、相対的には自分ごとになりやすいように感じています)。逆に投資が自分ごと化すれば、個人にとって良い投資≒人生を豊かにする投資に近づくのでは?と想起しました。

自分ごとって何?

読んで頂いた方の中には、「いやいや、投資は自分のお金の増減に直結するから、自分ごとになるじゃない」と感じた方もいるかもしれません。確かに、投資家は直接的な利害関係者ですが、上場株式等に対する金融投資は、多くの場合お金だけの関係で、投資先の状況が自分ごとにはなりにくいなと私は感じました。

不安に突き動かされた投資

そこから自分ごと化って何だろう?という疑問からスタートして、投資が自分ごと化しにくい理由を考えました。すると、恐怖や不安に突き動かされた投資だと自分ごと化しにくいという要因が浮かんできました。
老後2,000万円問題はその最たるものですが、不安と投資は相性がいいと思っています。ですが、不安を起点に投資を始めると、投資=お金の話というフレームで捉え、正解っぽいもの(=理論的にはこうとか、他人はこうしているという話)を無意識に探してしまい、本来あり得る投資をする上での多様な意味付けやそれに基づく投資方法が捨象されてしまいがちになると思います(例えば長期分散投資は、方法としてとても合理的だと思うのですが、それが唯一の解だとは自分は思いません。また、長期分散投資にも多様な意味付けがあり得ると思っています)。
投資=お金の話というフレームで考えた時に見える世界を端的に表していると私が思うのが、「株に惚れるな株価に惚れろ」という格言です。「市場は、結果的に正しい少数派にならないと儲からない、厳しい環境だ。リターン追及以外の要素を持ち込んだらやられるぞ」という戒めで、一面では正しいと自分も思います。
今振り返ると私も、ファンドマネジャーとしてお客さんの資金を運用していた時には、パフォーマンスを出さなければ生き残れないという不安に突き動かされていました。投資のプロセス自体は刺激的で楽しかったのですが、投資=お金の話、というフレームにはまってしまい、投資先企業のミッション、働く人の想い、製品サービス、といったものは自分ごと化していませんでした。

整理

改めて考えると、不安や恐怖に突き動かされているときは、自分の生存・利益に意識が向かうことで視野が狭まり、人生の豊かさって考えにくいのはとても自然なことです。余裕って大事ですね。ということで、不安をエネルギーにした投資とは違ったあり方を模索する上で、自分ごと化した投資というのが重要なキーワードだ、と整理ができた気がします。

個性に合った投資支援

こうした気づきもあり、私が行っている個人投資家向け株式投資支援サービスでは、ユーザーさんの個性や強みを活かし、自分ごと化できるところからスタートするようにしています。ユーザーさんが好き、気になる、価値観が重なると感じる企業やテーマを取り上げて、一緒に学んでいくことで、楽しみながら株式投資を身につけていくやり方です。
リターンを上げること、そのために必要な技術を身につけることは決しておろそかにはしませんが、せっかくの限られた時間を投資の学習に使うのであれば、豊かな人生につながるものにしたいと思っています。まだまだ試行錯誤中ですが、長期的には株式投資から得るトータルのリターン(お金、学び、喜び)は、株価に惚れるやり方よりも、ずっと高くできると信じてユーザーの方と一緒に学んでいきたいと思っています。興味を持っていただいたらぜひこちらからご連絡ください。

https://menta.work/plan/3493

補足

自分ごと化については、こちらの本がとても面白かったです。

知のデザイン ―自分ごととして考えよう
諏訪正樹、藤井 晴行共著
https://www.amazon.co.jp/dp/B01E8LX10W

本書では冒頭で、自分ごととして考える(≒自分ごと化)ということは、「あるできごとや知識・情報が自分のからだや生活にとってどういう意味を持つのかを一人称視点で考えるということ」と言っています。自分ごととして考えることについてはすごくさらっと書いてあるだけなのですが(笑)、学びや研究の基盤として、本書の内容を通底している要素だと感じました。

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