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ニンジャの話 その2 刀はどこに?

前回までのお話はこちら

喘息による呼吸困難で1年に6度も緊急入院したこともある父。ストレスも相まって最悪のヘルスコンディションから回復するには環境を変えることが必要でした。

私が6歳の頃には静養のために父の実家近くの海沿いの民家を借りて夏休みを過ごしたこともあります。海に潜って捕まえたタコや伊勢海老を無造作に鍋に突っ込んで漁師鍋みたいなものを作っていたことを覚えています。

また別の海岸に父の母と兄弟で小さな家を買って静養したこともありました。当時まだ小さかった私は遊びに行く家という認識でしたが、後日両親から聞いた話でなんとかして身体に良い環境をと考えて起こした行動であったと知りました。問題は私たちが住む名古屋からは距離が遠く、長い休みの時しか利用できないことでした。

話は変わりますが、その当時の父の趣味は刀剣集め(渋い!)でした。自宅には刀や鍔、古銭などが多く収蔵されていました。気持ちが落ち着くのか父は頻繁に自宅で刀を鞘から抜いてタンポで手入れしていました。これらはもうすでに処分してしまい手元にはありませんが、抜き身の真剣を見ると緊張感が走り、刀を手入れしている父を見るとかっこいいなと思ったものです。

父の体調がいい週末は家族でよくドライブに行きました。ドライブ先はほとんどは愛知県、岐阜県、長野県の村落です。遊園地や行楽地にはトント行った覚えがありません。なぜか人があまり踏み入れさなそうな村落に向かうと、徐に父は車を降りて地元の人と話し込んでいます。私たちは車の中で待ちぼうけです。実はこのドライブ。実は父の趣味と関係がありました。父は古い蔵のある古民家を探し、そこにお住まいになっている方とお話しして不要で打ち捨てられているような刀剣を購入しようと考えていたそうなのです。今でいうところの1人出張お宝鑑定団みたいなものです。家族サービスかと思いきや父の刀剣コレクションの充実が目的でした笑。

生きていてくれるだけでラッキーと思っていた母もストレス発散になる父の趣味である刀剣集めには協力的であり私たちは近隣の村落の農道を隈なく走り蔵のある家を訪問するというレアな休日体験を続けることになります。

そしてある日、父はのちにニンジャとなる古民家と出会うことになるのです。

明日に続く!

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